障害者雇用を知る

障害者を雇用しないとどうなるの?→結論、企業が衰退します。

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障害者採用担当になったんですが、正直採用する意味がよくわかりません…必要なのはわかるけれど、雇用しなくても問題ないのでは??

結論から言えば、障害者を雇用しないと長期的に見て、企業衰退の原因になりかねません。

障害者採用担当の方なら「そもそもなんで障害者を雇用しないといけないの?」と考えたこと、一度はあるんじゃないでしょうか?

もちろん口に出した途端、袋叩きにされかねないので、実際に言葉に出す人は少ないでしょう。ただ、言葉で明確に理由を説明できる人もあまりいないのではないでしょうか?

結論から言えば、障害者を雇用しないと企業…引いては社会が衰退していきます。

「え?なぜ配慮を受ける立場の方を雇用しないと衰退するの?」と思った方もいるのではないでしょうか。

今回は、障害者雇用にかかわる方なら知っておきたい、障害者を雇用しないとどうなるか?というメカニズムを解説していきます。ぜひ最後までご覧ください!

この記事を見れば知ることができること

  • 障害者を雇用しないと生じるリスク
  • 障害者雇用をしない企業にありがちな社風
  • 障害者雇用を進める場合に活用できる社会資源

それでは一つずつ見ていきましょう。

障害者を雇用しないことで生じるリスク

早速ですが、企業が障害者を雇用しないことで生じるリスクを紹介していきます。

まず誰もがわかりやすい理由から紹介していき、根幹的なリスクを後半に紹介していきます。

ケース① 金銭的な負担が増加する

1つ目の企業が障害者を雇用しないと生じるリスクは金銭的負担が生じることです。

あ、これはわかります!法定雇用率を下回っていると罰金を取られるんですよね!

そうです、法定雇用率を下回っていると不足分につき納付金を支払わなければなりません。だけど納付金は罰金ではないですよ!

令和5年時点での法定雇用率は2.7%(令和5年度は2.3%で据え置き、令和6年度から2.5%、令和8年度から2.7%と段階的に引き上げ)となっており、法定雇用率は年々上がっています。

現行の法令では、常用労働者が100人を超える法定雇用率未達の企業は、不足している障害者1名につき、月5万円の障害者雇用納付金を国に納めなければなりません。

逆に法定雇用率を越して雇用している企業は、1人につき調整金や報酬金の支給がされます。

障害者雇用納付金は1年に換算すると(1名につき)60万にまで上ります。企業規模が大きくなるにつれ、支出を圧迫していきます。

よくある勘違いとして、障害者雇用納付金を罰金と捉える方もいますが決してそうではありません。

 障害者を雇用するには、作業施設や設備の改善、職場環境の整備、特別の雇用管理等などの経済的負担が伴います。障害者雇用納付金制度は、障害者を雇用することは事業主が共同して果たしていくべき責任であるとの社会連帯責任の理念に立って、事業主間の経済的負担の調整を図るとともに、障害者を雇用する事業主に対して助成、援助を行うことにより、障害者の雇用の促進と職業の安定を図るため「障害者の雇用の促進等に関する法律」に基づき設けられた制度です。

JEED

引用文を見ればわかる通り、障害者雇用納付金は障害者を多く雇用している企業とそうでない企業の人的・費用的負担をフェアにするために施行されている制度です。

平たく言えば「障害者雇用を推進するために、みんなで助け合っていこうぜ」という考えが根幹にあります。

その納付金を、障害者を多く雇用している企業の調整金などに回しているといった具合です。

なので、決して障害者を雇用しないことのペナルティではありません。

とはいえ、障害者を雇用しないことによる金銭的負荷であることに違いはないため、リスクの一つと捉えても良いでしょう。

ケース② 企業名公表で社会的な評価が下がる

2つ目の企業が障害者を雇用しないと生じるリスクは、企業名公表で社会的な評価が下がることです。

障害者雇用が未達成の企業は、ハローワークや行政からの指導・勧告を受けることになります。

それでも改善が見られない場合には国(厚労省)によって企業名の公表がなされます。

この企業名の公表は、ダイバーシティの推進がうたわれている現代社会においては、大きくイメージを損なう措置になります。

また、未達成=即公表というわけではなく、何回かの指示命令がなされた末での措置である点もマイナスイメージにつながります。

雇用の意思が他企業に比べて明確に低いもしくは計画性が無いことの現れですからね。

SNSが普及している今では、ブラック企業としてイメージが広がってしまうおそれがあります。

まぁ個人的な考えを言えば、そういった会社はどんどん淘汰された方が社会にとって良いのでは…とも感じますが(ボソッ

ケース③ 多様性のない社風になる

3つ目の企業が障害者を雇用しないと生じるリスクは、多様性のない社風になることです。

ハッキリ言って、先に述べた2つの要因は表面的なリスクに過ぎません。この多様性のない社風になることことが企業にとって最も大きなリスクになると言ってもいいくらいです。

なんででしょう?正直多様性の有無が会社の存続にどうつながるかイメージがつきづらいんですが…

多様性が無いってことは、選別主義…つまり、会社にとって都合の良い人以外を排除する空気が強まるんです。

障害者雇用制度を社会貢献というイメージでとらえている企業もありますが、それは本質ではありません。健常者と障害者の共生社会を実現することで、多様性を推進していくことが本質にあります。

障害者は法律(差別解消法や雇用促進法)において、合理的配慮が義務化されています。企業にとっては負荷となりうるかもしれませんが、言い換えれば、半強制的に新しい風を吹かせることができます。

当たり前に配慮をしあうマインドは単に障害者の仕事のやりやすさにとどまらず、健常者にとっても安心して働きやすい社風につながります。

逆に、障害者雇用をせずにいた場合、なかなか配慮しあうマインドを根付かせることは難しいです。

会社員なら誰しも感じると思いますが、組織ってツーカーで通じる人を重宝しがちなので、自然と上司にとって能力・人柄的に都合が良い人ばかりが残るようになっていきます。

つまり障害者雇用をしないことで、障害者だけでなく、社風についていけない健常者にも排他的になっていきます。

仮に障害者雇用を進めても、ギスギスした社風では障害者社員の長期定着化は望めず、結果的に雇用率未達になりますしね。

最近はOpenWorkのような社員による口コミサイトもありますし、排他的な社風はあっという間に広まります。人材募集時にネックになるのは言うに及ばずです。現に転職者はこうした口コミサイトの評価に敏感ですしね。

一昔前なら根性論で何とかなったかもしれません。ただ、例話の現在では、多様性の有無は会社の存続にも大きな問題です。

ケース④ 社員の育成ノウハウが育たない

4つ目の企業が障害者を雇用しないと生じるリスクは、社員の育成ノウハウが育たないことです。

障害者雇用をしている企業の場合、制度面にとどまらず、作業ツール、声掛け方法に至るまで、ソフト・ハード面で合理的配慮を行うことになります。

通院配慮やマニュアルの作成、定期面談での心理的ストレスの緩和などが代表例でしょうか。さらに具体的な例は以下の記事に記載していますのでご参考ください。

障害者雇用で合理的配慮を得る方法教えます【知らないと危ないです】

経験のない企業にとっては戸惑うことこそあれど、その過程で数多くの雇用管理ノウハウが積みあがります。

障害者の雇用ノウハウは、健常者社員の育成にも大きく役立ちます。

東大生の4人に1人が発達障害とも言われるように、高学歴であっても一定の潜在的な障害を持っている場合があります。

仮に年間100名雇用している企業の場合、潜在的な障害者が0人ということはまずありえないと断言しても良いでしょう。

診断の有無こそあれど、様々な特性を持った社員に対し、管理者は柔軟な育成を行わなくてはいけません。紋切型且つトップダウンの指導ばかりしていると、下手したらハラスメントになりかねません。

障害者雇用に消極的な企業の場合、育成ノウハウが積み重なっていない場合があるため、特性が強い社員の育成に対してお手上げになってしまいます。

障害者雇用を進めるなら支援機関を頼ろう

障害者雇用の推進は国や地方自治体だけでなく、企業にも課せられた社会的命題です。障害者雇用を進めない場合、雇用納付金を払うといった金銭的負担はもちろん、会社の社風や雇用管理といった会社の存続に関わる部分にまで影響があります。支援員の目線で企業が踏まえておきたい障害者雇用をしないことのリスクを紹介していきます。

ここまでで障害者雇用をしないことのリスクを紹介していきました。

リスクは痛いほどよくわかりました…でも自分たちでうまくやれるのか心配です…

もし企業単独で雇用を進めるのが心配なら支援機関を頼るのがオススメです!

障害者雇用は何も企業単独で進めなければいけないルールはありません。

障害者にはどういった人たちがいるのか、実際募集したら集まるのか、どんな配慮をすればよいのか…など、わからないことは目白押しだと思います。

障害者雇用の進め方がわからない企業は、地域の就労支援機関を頼ってみるのをオススメします。

たとえば、私も務めている障害者就業・生活支援センターであれば、企業開拓も業務の一つに含まれており、地域のネットワークを活用しながら、募集に関しての相談に乗ってくれます。

それだけでなく、障害者が採用となった後も期限を問わず、企業訪問などを通した定着支援を行ってもらうこともできます。

もしお困りの企業は、以下の記事も参考にしてみてください。

障害者就業・生活支援センターとは障害者雇用の何でも屋!働くを楽にするためのサービス内容を総まとめ!

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まとめ

  • 障害者雇用を進めない場合、金銭的な負担が生じるだけでなく、企業名の公表がなされる
  • 障害者雇用を進めないことで排他的社風や育成ノウハウ欠如につながり、健常者も働きづらくなる
  • 障害者雇用の進め方がわからない場合は、地域の就労支援機関を頼る

いかがでしたか?

障害者雇用を進めないことは短期的な負担以上に、長期的な会社の衰退につながることがわかったかと思います。実際、障害者が長く働いている企業は、空気感が良いですし、配慮しあうことを特別視していません。

後から自分たちにもリターンが来るものなので、ぜひ積極的に雇用を進めてもらえればと思います。

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