障害者雇用で就職してもすぐに辞めたくなっちゃうんだけど、なんでかな?
理由はいろいろで絞り切れないんだけど、どうしたらいいかがわからない…
離転職を繰り返すのはつらいものがありますね。転職しがちな人は確かに存在していて、一定の傾向があります。まずはそれを認識することからはじめましょう。
配慮を受けて働けるはずの障害者雇用。にもかかわらず、会社を辞めがちな人には実はパターンが存在します。いったいどんな傾向があるのか、そして会社を辞め続けることを防ぐの対応法はどんなものかを紹介していきます。
障害者雇用で働く人はもちろん、そうでない人も最後までご覧ください!
この記事を見れば知ることができること
- 障害者雇用で辞める人の割合・データ
- 障害者雇用で辞める人の特徴
- 辞めることにならないための対応法
それでは一つずつ見ていきましょう。
目次
障害者雇用で辞める人の割合

障害者雇用で辞める人の特徴を見ていく前に、まずは実際にどれくらいの割合で辞める人がいるのかを見ていきましょう。
以下の図は、JEEDが公表している1年間における障害者雇用の離職率です。

厚生労働省「令和2年雇用動向調査結果の概況」によると、一般枠での1年間離職率は一般労働者で約10%、パートタイマーでも約20%となっています。障害者雇用での離職率の方が明らかに多いことがわかりますね。
それくらい企業側は障害者に理解の無い会社が多いってこと。
もちろんそれもありますが、それだけが理由ではありません。
障害者が辞める割合が多い理由として、企業側が理由になっていることも多いのは確かです。
よく挙げられる理由は、一般社員と同じ基準で仕事をあてがおうとしたり、受け入れ準備が整っていないのに障害者枠の求人を出してしまうというものです。
参考記事:【支援員解説】障害者雇用におけるブラック企業とは何か?こんな会社には絶対行くな!
では、企業側だけが理由か?と問われると、私はNOと答えます。一言でいえば、障害者が辞めるのは本人・会社どちらにも理由があると考えます。
これまでに10年間ほど就労支援にかかわる中で、障害者に理解の無い会社に傾向があるように、辞めがちな人にも一定の傾向があるように感じます。
次のセクションでは、実際にどんな傾向があるかを見ていきましょう。
障害者雇用で辞める人の特徴3選

それでは、障害者雇用で辞める人の特徴を一つずつ見ていきましょう。
特徴① 配慮点の整理が浅い
一つ目の障害者雇用で辞める人の特徴は、配慮点の整理が浅い人です。
え?僕は統合失調症なんだけど、今は幻覚や幻聴は無いし、配慮点らしいものは無いんだけどなぁ…
それは要注意!今現在の症状だけなく、過去も振り返って配慮点は整理するものです!
障害者雇用は、企業からの合理的配慮を得られることが最大の特徴です。
「配慮点ってそもそも何?」という方は以下の記事をご覧ください。
→障害者雇用で合理的配慮を得る方法教えます【知らないと危ないです】
ここでくせものなのは、わかりやすい特性(陽性症状など)にばかり目が行ってしまい、自分がどういったことにストレスを感じやすいかを自覚できていないまま、配慮点を整理するケースです。
以下の図をご覧ください。

これは配慮点を整理する時の障害者側が考えるべき分析プロセスです。
実は会社を辞めがちな障害者の方は、体調変化②・・・つまり、主観的・客観的にわかりやすい特性だけを材料に、企業への配慮点を考える方が非常に多いんです。
体調不良はほとんどの場合、何かしらの人的・業務的なことが要因となったうえで、前兆となる体調変化のサインが存在しています。
その原因とサインこそが配慮点を決定づける重要な要素であり、決して見逃してはいけないものです。
ただ、就職に焦っていると、「会社を辞めた今は体調不良無いから、とりあえず面接受けちゃいたいです」といった具合に、分析がおざなりになる人がいます。
そういった方が面接で配慮点を問われても、「体調不良の場合、病院に行かせてさえくれれば大丈夫」などのような表層的な配慮点しか答えられません。
あ、自分も同じ受け答えしちゃったかも…
そんな方は、体調不良になりうる原因とそれに基づいた配慮点を整理しましょう!
上の図であれば、原因と体調不良①(前兆サイン)を鑑みて配慮点を考えないと、つけやきば的な配慮点しか整理できないため、常に退職リスクが伴います。
つまり、会社を辞めうる原因をほったらかしにしたまま働き続けることになりかねないということです。
せっかく障害者雇用にチャレンジするのであれば、配慮点はとことん考えておきましょう。
特徴② 採用されるかに目が行きがち
次の障害者雇用で辞める人の特徴は、採用されるかにばかり目が行きがちな点です。
もちろん、就活する以上は採用を第一の目標にすることは当然なことです。その際に重要なことは、自分の譲れない基準をぶらさないことです。
例えば、生活のためにも給与は〇万円以上が最低条件、通勤時間は必ず50分圏内といったものです。
ところが、障害者雇用で辞めがちな人は、早く採用されたい気持ちが強いがあまり、基準がすぐにぶれてしまいがちです。
以下が実際の例です。
仕事選びの基準がぶれる人(一例)
- 在宅勤務希望だったけれど、給与が高い通勤業務の求人を受けたら受かってしまった。
- 通勤時間が希望より遠かったけれど、他に良い求人が無さそうだったから面接を受けた。
ノリで受けた会社であっても、案外順応するケースも無くはありません…が、大体は就業後に後悔したり、モチベーションが落ちて、また転職したくなる方は後を絶ちません。
文字にすると当たり前に感じるのですが、結構これが自分のこととなると、俯瞰が出来ないというパターンが多いです。どこかで「まぁ何とかなるだろ」という意識が働いているのかもしれません。
ただ、基準がぶれているからこそ、今まで仕事を辞めることを繰り返しているのも事実です。
結局のところ、どこで自覚ができるかに尽きるのもかもしれません。
特徴③ 他責傾向のある人
最後の障害者雇用で辞める人の特徴は、他責傾向にある人です。
他責傾向とは物事がうまくいかなかった際に、他人や環境に対して責任を求める思考全般を指します。他責傾向の強い人の特徴としては、相手に完璧さを求めたり、要求水準が無意識に高いなどが挙げられます。
障害者雇用でこじれる点としては、「配慮点として就職時に伝えたのに守られていない」、「障害があることをちゃんと理解していない」といったトラブルが挙げられます。
もちろん、配慮できると言ったのにいつまでも要求を放置する場合、企業にも非はあります。
ただ、企業側が歩み寄る姿勢を見せているのに、障害者を雇う以上はかくあるべきという姿勢が強すぎるのも考え物です。
企業を形作っているのもまた人ではあるので、意思の食い違いやミスは起こり得るものです。
あまりに攻撃的になってしまうと、かなえてもらえるはずだった配慮もかなわなくなり、結果的に自分の首を絞めることにもなりかねません。
結果的に自分から会社を辞める羽目になってしまうので、要注意です。
障害者雇用で転職の繰り返しを防ぐ方法

それでは、会社を辞めることを防ぐためには、どのような方法を取れば良いのでしょうか?
対応法① 見学や実習を行う
一つ目の障害者雇用での転職の繰り返しを防ぐ方法は、見学や実習を活用することです。
障害者雇用の場合、お互いのマッチングのために、職場見学や実習をさせてもらえる場合があります。
障害者雇用で実習が勧められるのは、単に環境のマッチングというだけではありません。
— エドガワ@障害者ワークナビ管理人 (@edo_work_navi) December 4, 2022
「実習をした上で尚、その職場に行きたい」という自己決定を強める効果があるからです。
職場実習のメリットは会社の業務・環境を実体験で知ることができるだけではありません。
実習をした上で、なおのことその会社に行きたいという自己決定を強める効果があるからです。
自己決定?なんでそれがメリットなのさ?
いろいろありますが、「もっと調べておけばよかった」という悔いを残さない点が大きいですね。
求人票だけ見て応募を進めた後、もしマッチングがはかれなかった場合、「良い会社だと聞いていたのに…」など、他の人・情報のせいにできてしまう一種のスキが生まれてしまいます。
こんなはずじゃなかったという気持ちのあてどころを無意識に求めてしまうわけです。
もちろん実習をしてもなお、マッチングがはかれないケースだって存在します。
ただ、やるべきことはやった上でのことなので、再転職や支援機関に定着支援をお願いするなどの次のステップに目線を移しやすいメリットがあります。
対応法② 支援機関を活用する
次の障害者雇用での転職の繰り返しを防ぐ方法は、支援機関を活用することです。
支援機関にもいくつかあり、就職前だけでなく、就職後からでも活用できる支援機関もあります。
一つの選択肢としてオススメなのは、地域の障害者就業・生活支援センター(通称:ナカポツセンター)を活用することです。
ナカポツセンターは就職活動における応募書類添削や面接同行以外に、就職後の定着支援まで一貫して実施している支援機関です。
離転職を繰り返している人にとっては、第三者の目線から状況分析をしてもらえますし、就職後も企業に介入してもらえます。会社を辞めてしまう確率を下げるサポートが望めます。
興味がある方は、以下の記事を参考にしてみてください。
→障害者就業・生活支援センターとは障害者雇用の何でも屋!働くを楽にするためのサービス内容を総まとめ!
対処法③ 障害者雇用専門のエージェントを活用する
次の障害者雇用での転職の繰り返しを防ぐ方法は、障害者雇用専門の転職エージェントを活用することです。
障害者雇用専門の転職エージェントに掲載する企業は、ハローワークに掲載する企業と比較すると、採用コストをかけている企業が多いです(ハローワークは無料求人掲載のため)。
つまり、おざなりに採用活動をせずに、純粋に戦力として募集をしている企業の比率が高いということです。さらに、エージェント経由で直接だと聞きにくいことも聞いてもらえる利点があります。
事前に辞める原因がある企業かどうかが確認できるのは大きなアドバンテージです。
欠点として、エージェントによっては地方部の求人数が少ないことや一部業種に偏りが生まれる点です。ハローワークの求人と組み合わせながら手段の一つとしてセレクトすると良いでしょう。
参考記事:障害者雇用でホワイト企業に就職したい方にオススメする転職エージェント3選

まとめ
- 障害者雇用で辞める人は一般雇用の比率よりも高い
- 障害者雇用で辞める人は配慮点の整理が浅い、採用にばかり目が行きがち、他責傾向が強い傾向がある
- 辞めるリスクを避けるために、見学・実習の活用や各種支援機関の活用が効果的
いかがでしたでしょうか?
障害者雇用で辞めるのは単なる運や仕事の内容に限りません。データが示すように、高い離職率には裏付けとなる根拠があります。
もちろん、全ての方に当てはまるわけではありません。どの部分が自分に当てはまるか、当てはまる場合、どういった対応をすればよいかを模索し続けていくことが重要です。