ブラック企業に勤めたくないんだけど、障害者雇用でもそういう会社はあるの?
一般雇用同様、障害者雇用にもブラック企業は残念ながら存在します!
障害者雇用においてもブラック企業は存在します。難しいのは、障害者雇用での働き方は同じ会社であっても内情が見えづらいのでリサーチがしづらい点です。
そこで、就労支援員である筆者が、支援をしてきた中で感じたブラック企業に共通する傾向を書いてみました。最後までご覧ください。
※この記事で書くブラック企業は、障害者雇用枠として働くうえでブラックという意味であり、企業全体がブラックという意味ではないのでご留意下さい。
この記事を見れば知ることができること
- ブラック企業で起こりうるトラブル
- 障害者雇用におけるブラック企業の傾向
- ブラック企業に出くわさないコツ
それでは一つずつ見ていきましょう!
目次
一般雇用と障害者雇用のブラック企業の違い

実は、一般雇用と障害者雇用では、ブラック企業の特徴が異なります。
それを理解するためには、そもそもブラック企業がどういったものかを把握しておきましょう。
以下は、ブラック企業大賞で定めているブラック企業の指標です。
ざっくりと言えば、労働時間・就業時間が劣悪、各種ハラスメントが横行している企業がブラック企業と判断されます。
それでは、障害者雇用におけるブラック企業も同様と言えるでしょうか?
実は障害者雇用の場合、一般雇用よりブラックさが見えづらい構図になっています。というのも、障害者差別解消法や障害者雇用促進法における合理的配慮の存在により、差別の助長にあたる行為は厳しく取り締まられているからです。
もちろん、社員の面前で罵倒する等、あからさまなブラック企業は存在します。ただ、そうした企業は即座に虐待案件として労基署やハローワークの勧告が入るため、結果として極少数の存在になっています。
障害者雇用でのブラック企業の例は以下のものが挙げられます。
<障害者雇用におけるブラック企業の例>
- いつまで経っても業務量を増やしてくれない
- 「障害者だからね」と必要以上に障害者扱いしてくる
- 自分が知らない間に契約打ち切りの話を企業内で進められていた
- 人間関係の悩みに関して、後回しにされて放置状態になっている
ブラック企業(予備軍含む)は、本人のメンタルに影響があるような話題(人間関係、業務量など)を障害者本人に対して話すのを必要以上に避ける傾向があります。
問題を棚上げして、いざ就業継続が難しいという段階になった際、支援機関に本人への伝達を丸投げしてくる企業も存在します。
そうした会社は、障害者との向き合い方を勘違いしていたり、無知にも関わらず知ろうとしないため、根本からの理解を得ることは難しいです。
改善を求めるよりも、そういった会社に就職しないことが最善の手段となるのが実情です。
でもブラック企業が事前にわかれば苦労しないよ…どうやって見分ければ良いのさ…
ブラック企業には一定の傾向があります。それを知っておけば、ブラック企業に就職する可能性を下げられます。
障害者雇用におけるブラック企業の傾向

それでは、障害者雇用におけるブラック企業の傾向を整理していきましょう。あくまで傾向にしか過ぎませんが、一つないしは複数あてはまる会社は警戒しておきましょう。
傾向① 常に求人を掲載している企業
1つ目の障害者雇用におけるブラック企業の傾向は、常に求人を掲載している企業です。理由は二つあります。
辞める人が多いから
常に求人を掲載している理由として、辞める人が多いからであることが挙げられます。
障害者雇用率は令和4年時点で2.3%のため、よほどの大手企業でもなければ常に求人を出すことの方が稀です。
にもかかわらず、掲載し続けているのは、採用者を厳選しすぎているか、辞めている人が多いかのどちらかです。
辞めている人が多い場合、「障害者は辞める人がほとんど」とタカをくくって雇用している可能性があります。そうした企業体質を改善しようと考えているならまだしも、応募者側からはそれを判断する術はありません。
こうしたブラック企業に就職した場合、配慮をろくに受けられないリスクがあるため、応募には注意が必要です。
即戦力しか雇いたくない
もう一つの常に求人を掲載している理由は、即戦力しか雇いたくないというものです。
応募者多数にも関わらず、採用者がいない企業は、ハイスペックの応募者狙いであることがほとんどです。こうした企業は、一般雇用と同等のレベルでの就業能力を求められます。
服薬・通院配慮以上の配慮はできない企業も多いため、一般的な障害者雇用よりもハードルは高いでしょう。
もし応募するのであれば、内定した後もハードな環境になることを承知の上で、チャレンジすること勧めます。
どうすれば見極められるの?
ハローワークやエージェント発行の求人であれば、職員から企業に応募者数を問い合わせてもらえますよ。積極的に聞いてみましょう♪
傾向② 支援者にしか目線を向けていない企業
2つ目のブラック企業の傾向は、支援者にしか目線を向けていない企業です。
見学での企業紹介や面接の場において、支援者にばかり話を振る会社は要注意です。
というのも、そういった企業は、就業できるかどうかの判断を支援者側に丸投げしてくる可能性が非常に高いからです。
本来、障害者雇用は企業と障害者のコミュニケーションによって成り立たせるものです。支援者はそれを補填する存在でしかありません。
ブラック企業の場合、障害者と共に試行錯誤する意識に欠けていたり、余裕がありません。そのため、いざトラブルが起きると、支援機関側から障害者に事態を伝えさせようとするなど、会社にとって楽な方向にシフトしがちです。
ひどい会社になると、支援者にすら話を通さず、自社の上層部で勝手に判断し、就業の継続は難しいと判断してくる会社もあります。もちろん解雇に至る場合、障害者側にも理由があります。
ただ、ブラック企業の場合は、規定事項として話が進められていることが多く、交渉の余地自体が無いケースは少なくありません。
自分自身に向き合う姿勢が見られない企業への就職は、正直なところお勧めできません。
一方で、単に障害者雇用の経験がなく、不安なあまり向き合う姿勢が見られないパターンも存在します。支援者とも情報共有をしながら、企業規模や障害者社員の在籍数も鑑みて判断しましょう。
私自身が就労支援をしていて最も腹立たしく思う会社の典型的なパターンですね。
傾向③ 「ルールだから」が口癖の企業
3つ目のブラック企業の傾向は、「ルールだから」が口癖の企業です。
具体的には、何か就業上の課題があった場合、ルールに沿って物事を対応することを第一優先として、ケースバイケースの対応を閉ざす企業を指します。
もちろん、ルールに沿った対応自体は企業としては当然であると言えます。それ自体が悪いことではありません。
といっても、ルールに沿って順風満帆に勤務できるのであれば、障害者雇用枠で応募する必要はありません。就業後にイレギュラーなケースが起きることはよくあることです。
その際に、「会社のルールだから」を前面に出され、配慮を求めるにも求めづらくなることは障害者社員にとっては不幸なことです。
重要なのは、ルールに沿いつつ、お互いにとって良い就業環境を模索する姿勢です。ブラック企業の場合は、こうした求め自体をシャットアウトしてしまう傾向にあります。
ブラック企業に出くわさないコツ3選

ブラック企業の傾向はよくわかったよ、それでもブラック企業に出くわしちゃう可能性あるよね?
就活する以上、可能性はゼロにできません。ただ、出くわさない可能性を下げることはできますよ。
自分にとってのホワイト企業を知る
1つ目の障害者雇用でブラック企業に出くわさないコツは、自分にとってのホワイト企業を知ることです。
当然ですが、ブラック企業は前面にブラックさを押し出しているわけではありません。一部はホワイトでも一部はブラックというように、どんな会社でも良し悪しが入り混じっています。
ただ、自分にとっての良い企業の基準が固まっていれば、目先の就業条件に目をくらむことがなくなりますし、むやみやたらなエントリーを防ぐことができます。
一見関係なさそうに見えるかもしれませんが、自己分析と仕事選びの軸が定まっていれば、ブラック企業への就職リスクを下げられます。
<参考記事>
【2022年版】障害者雇用でおすすめな企業7選【本当のホワイト企業はここだ!支援員目線で解説】
障害者雇用で合理的配慮を得る方法教えます【知らないと危ないです】
支援機関・エージェントを活用する
2つ目の障害者雇用でブラック企業に出くわさないコツは、支援機関・エージェントを活用することです。
支援機関を活用することで、就業前に配慮事項を適切に伝えることができます。また、企業は支援機関に対しては、(良し悪しはともかく)社内の実情を話してくれるケースも存在します。
そういった支援や情報を通して、会社とのマッチングがはかれるため、ブラック企業への就職リスクを下げることが可能となります。
支援機関は数多く存在しますので、以下に代表的な支援機関やエージェントのリンクを貼っておきます。無料見学や相談が可能ですので、積極的にご活用ください。
<就労移行支援事業所>

<転職エージェント>

職場実習を活用する
3つ目の障害者雇用でブラック企業に出くわさないコツは、職場実習を活用することです。
百聞は一見に如かずという言葉があるように、安心して働けるかどうかの判断材料として、職場実習は非常に効果的です。
自治体によっては、企業向けに職場実習の奨励金制度があり、障害者雇用において職場実習付きの選考はポピュラーなものになっています。
求人票ではわからない職場担当・同僚の人柄や仕事の難易度を確認しておくためにも、職場実習を活用することをお勧めします。ただ、職種によっては実習を受け入れられない場合も存在します。
職場実習に関しては、以下の記事にて詳しく解説しています。
→【現役支援員解説】障害者雇用なら職場実習はマスト?メリット・デメリットを徹底解説!
まとめ
- 障害者雇用におけるブラック企業は、問題を後回しにして放置されがちなケースが多い。
- ブラック企業は、常に求人を掲載、支援者にばかり話を振る、ルールを前面に押し出す傾向がある。
- 自分なりのホワイト企業の基準をつくる、支援機関や実習の活用で、ブラック企業に出くわしづらくなる
いかがでしたでしょうか?
障害者雇用におけるブラック企業は、一般雇用とやや毛色が異なることが分かったかと思います。記事でも触れましたが、ブラック企業への就職可能性はゼロにはできません。
実情を知り、適切に社会資源を活用することで、よりよい就活をしていくことを応援しています。
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