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「底辺の職業ランキング」を就労支援員が語ってみた【想像力欠如がもたらす炎上劇】

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今回は障害者雇用関連の記事ではなく、昨今話題の「底辺の職業ランキング」について取り上げたいと思います。

はじめまして、障害者ワークナビ管理人のエドガワです。

普段は当ブログにて、障害者雇用関連の記事を投稿しています。

今回は就職情報サイト「就活の教科書」に投稿された「【底辺職とは?】底辺の職業ランキング一覧」(元記事はすでに削除済み)について、就労支援員である筆者が、ネットの意見や記事を読んで感じた私見を語ってみたいと思います。

普段はあまり時事ネタを取り上げることはありませんが、仕事観に直結する問題と思い、筆を取ろうと考えました。

ぜひ最後までご覧ください。

底辺の職業ランキングとは

「【底辺職とは?】底辺の職業ランキング一覧」は、2021年5月には投稿されていました。

およそ一年の時を経て、SNSで取り上げられたことが契機となり、一気に炎上することになります。この記事をご覧になっている皆さんがご存じの通り、当該記事はヤフーニュースのトップや各種メディアに取りざたされています。

参考:就活情報サイト「底辺の職業ランキング」に批判殺到 12の職を羅列…運営会社は削除し「事実関係を確認する」

「底辺」と表現した根拠がない、ランキングにエビデンスが無く、完全な私見であることが、炎上となったポイントと推察されます。

以下が元記事にて掲載された底辺の職業ランキング一覧となります。

土木系などのインフラ系から、生活に欠かせない福祉系などの職種も含まれています。いわゆるエッセンシャルワーカーが数多く掲載されています。

どれも社会に必要不可欠な仕事なのに、何をもって底辺なのかと首をかしげたくなるように感じたのが正直なところです。

底辺の職業ランキングのネット上の反応

それでは、底辺の職業ランキングに対してのネットの反応を見てみましょう。

偏りがないように、同意意見と反対意見の双方を取り上げたいと思います。

同意意見

底辺の職業ランキング記事に対し、同意している意見は以下の通りです。

全体的に、記事の論調そのものに完全に同調する意見はありませんでした。実体験として、自分の仕事が底辺と感じる人が記事に対して「一理ある」というスタンスを持たれている方が多い印象です。

反対意見

続いて「底辺の職業ランキング」への反対意見を掲載します。

自分の仕事をバカにされたと感じる人から、元記事を発信するに至るまで指摘する人がいない点に危うさを感じている人まで、様々な意見がありました。

個人的にはどちらの意見も大いに共感できました。

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職業に貴賤なくとも人気不人気はある

次に、ネット上の意見を踏まえ、日々私が就労支援をしている中で感じていることを書いていきたいと思います。

綺麗ごと抜きでいえば、「職業には貴賤はなくても、人気不人気は存在する」ということです。

仕事が底辺かどうかは、極論を言ってしまえば個々人の価値観によって大いに左右されます。そのため、底辺であるかないかを断じることは難しいと考えます。

ただ、人から選ばれやすい仕事とそうでない仕事には、明確な傾向があると感じます。

実際私が、障害者就労において相談を受けるときにも「清掃は大変そうだからやりたくない」、「できれば事務系が良い」といったように、希望される仕事と避けられがちな仕事の差を感じることは多々あります。

もちろん、「介護で高齢者に貢献してみたい」といったように、ランキングに入っている仕事を希望される方も一定数います。

それぞれの価値観なので、「そんなことないよ!こういった仕事も良いところはたくさんあるんだよ!」と押し付けることは一切していません。

仮にしたところで、綺麗ごとの強要になりかねませんし、働く本人にとってプラスに働くことはないからです。

長く働けるための環境改善が重要

とはいえ、仕事に人気不人気はあれど、どの仕事も社会に必要不可欠である事実が変わることはありません。

では、なぜ元サイトがランキング内の仕事を「底辺」と切り捨ててしまったのでしょうか。

以下に、今まで相談を受けてきた方の考えを踏まえて、考えられる理由を書いてみました。

<ランキング内の仕事のマイナス面の印象>

  • 給料が安そう
  • 入社難易度が低そう、誰でも就職できそう
  • 体を酷使しそう(残業が多そう)
  • 理不尽な人間関係が多そう

いかがでしょうか?

底辺とは思っていなくても、ひとつくらい似通ったイメージを持っている方もいるかと思います。

ただ、実際のところはどうでしょうか?

例えば、介護でいえば施設介護や訪問介護の区分で、体の負担度や人間関係は異なりますし、倉庫内などの肉体労働なども、働き方改革などの影響で負荷が少ない環境改善が進んでいます。

ただ、こうした改善が進み切っていない企業があること、「大変そう」というイメージのしがらみが、いまだ払しょくされていないことは無視できない問題です。

「就活の教科書」の書き方は言語道断ですが、さらなる給与改善が必要など、エッセンシャルワーカーの環境改善は、今回の炎上を機に、あらためて議論されるべきポイントと感じます。

誰かを傷つける仕事こそが底辺である

ここまでの内容で終わると「社会全体で考えなきゃね」というフワッとした着地点で終わるので、もう少し私見を書こうと思います。

今回の炎上のきっかけとなった「底辺」という考えですが、実は私自身も、仕事を底辺だと思ったことはありました。

ランキング内の仕事というわけではなく、他ならぬ、前職の自分の仕事に対してそう感じていました。

当時は医療・福祉系の企業でプライベートブランドの営業促進を行っておりました。営業促進というと聞こえは良いですが、実態としては自社介護施設の従業員に対して、自爆営業を強いるものでした。

1ミリも社会貢献をしていないとは言いませんが、言ってしまえば自分が頑張れば頑張るほど、誰かを辛くさせてしまう仕事であることは間違いありませんでした。加えて給与も低いため、やりがいのかけらも見いだせなかったのが本当のところです。

あれから10年近くの日々が経とうとしていますが、いまだに当時の仕事には誇りは持てません。これから持つこともないと思います。

その時の経験で思うこととして、あえて仕事に底辺があるとすれば、それは誰かを傷つける仕事こそが底辺だという考えです。

今回の「就活の教科書」の記事も誰かを喜ばせる、タメになるといった類の物ではありません。傷つく人の方がはるかに多いことは想像に難くありません。

こうした想像力欠如も問題ですし、今回の記事によって、本来底辺でないにもかかわらず、底辺たらしめる要因になりかねないことが非常に問題だと感じます。

「底辺の職業ランキングを書いたやつこそ底辺」と思われても、ある種仕方ないとも考えられます。

意見を言うなということではないですが、せめて何らかの論拠を示すべきだったかと思います。

まとめ

  • 「就活の教科書」の「底辺の職業ランキング」の記事が各種メディアで炎上中
  • 根拠なく仕事を「底辺」と表現し、ランキング付けしたのが炎上理由
  • 今回の記事によって、さらなる職業へのイメージダウンにつながりかねない点が非常に問題

いかがでしたでしょうか?

うちのブログもそうですが、想像力を欠いてしまうと、あっという間に多くの人を傷つけることになりかねません。自分も他人事ではなく、発信する相手への配慮を忘れてはならないなと感じました。

障害者ワークナビでは、障害者雇用関連の記事を取り扱っています。興味のある方は、ぜひ他の記事もご覧ください!

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