障害者雇用枠で働いているんだけど、そろそろ一般雇用にチャレンジしたいな…どんなことに注意すればいいの?
一言で言えば、障害者雇用と一般雇用の違いを把握して、自分に足りていない部分にどうアプローチするかを考えることが重要になります。
障害者雇用から一般雇用にチャレンジしたい方は、一定数存在します。
理由はどうあれ、将来に希望を見出して行動したいと願うのは素晴らしいことです!一方で、やみくもに一般雇用に乗り越えてしまうと、離転職を繰り返すドツボにはまるリスクもあります。
今回は、障害者雇用と一般雇用に転職する際に踏むべきステップを時系列順に5つ紹介していきます。興味のある方はぜひ最後までご覧ください。
この記事を見れば知ることができること
- 障害者雇用と一般雇用の違い
- 一般雇用に転職する際の課題把握方法
- 一般雇用に応募する際の注意点
それでは一つずつ見ていきましょう!
目次
STEP① なぜ一般雇用に転職したいかを明確にする

まず障害者雇用から一般雇用に転職する際にチェックすべきポイントは、「なぜ一般雇用に転職したいかを明確にすること」です。
条件が良い求人が多そうだからとか、障害者扱いされるのが嫌に感じたからとかじゃダメなの?
もちろんそういう理由でも構いません。転職したい理由は千差万別であり、正解はないので。
一般雇用に転職したい理由は人によって異なります。それぞれに理由があり、正解不正解があるものではありません。
それでも一般雇用に転職したい理由をあらためて明確にすることには理由があります。
障害者雇用から一般雇用に転職したい理由を明確にするメリット
- あいまいな理由での転職を避けられる
- 一般雇用でしか満足できないものかを判断しやすい
少し具体的に説明してみます。
メリット① あいまいな理由での転職を避けられる
1つ目の障害者雇用からの転職理由を明確にするメリットとしては、なんとなくでの転職を避けやすくするためです。
「なんとなく一般雇用の方がよさそう」という理由で転職しようとする人なんているの?と思われそうですが、これ、結構多いんです。
特に障害が軽度であり、障害者雇用・一般雇用どちらの道も開かれている場合、一般雇用の方が色々恵まれていそうと、よく考えないままに転職する人がいます。
もちろん、転職先で職場に適応できればそれに越したことはありません。
しかし、よく考えないままに転職してしまった場合、予想外に高いレベルを要求され、結果的に再度の退職を余儀なくされる人もいます。
少しでも「なんとなく」の気持ちがあるのであれば、障害者雇用・一般雇用のメリット・デメリットを把握し、転職するだけの価値があるのか吟味してから行動するようにしましょう。
メリット② 一般雇用でしか満足できないのかを判断しやすい
2つ目の障害者雇用からの転職理由を明確にするメリットは、一般雇用に転職することでしか満足できない理由なのかを判断しやすくなるためです。
たとえば、給料が高そうだから一般雇用にチャレンジしたいという人から、毎年何人も相談を受けます。確かに、障害者雇用よりも一般雇用の方が給与が高い傾向にあるのは確かです。
行政の給与調査によると、健常者の平均月給は30.6万円、障害者は平均で14.6万円という結果が出ているほどです。
参考:【必見】障害者雇用の給料実態を調査!健常者との差は○万円!収入差の理由や年収アップの方法を紹介
ただ、よく調べれば障害者雇用でも高収入求人はありますし、配慮を受けながらもキャリアアップを踏むことは不可能ではありません。
障害者雇用での高収入求人を紹介するトゥモローブライトでは、過半数が年収400万円以上の求人を取り扱っており、一般雇用とそん色ない年収の求人も取り扱っています。
もちろん、高年収の定義は人それぞれですし、結局物足りないと感じる人もいるかと思います。
しかし、調べた結果がどうこうというのは重要ではありません。一般雇用に転職しない方が良いなんて言うつもりも全くありません。
ここで伝えたいのは、自分が一般雇用に何を求めているかが明確だからこそ、本当に一般雇用でしか得られないメリットなのか調べられるということです。
文字にすると当たり前のことしか書いていないんですが、それくらいリサーチ不足のまま、自分の印象のまま就活している人も多いんです。
比較するにはまず自己分析が大事ってことだね。
そういうことです!自分が何を求めているかが答えられなければ、本当に転職すべきなのかの判断自体ができません。印象だけで行動しないようにしましょう!

STEP② 障害者雇用・一般雇用のメリット・デメリットを把握する

まず障害者雇用から一般雇用に転職する際にチェックすべきポイントは、障害者雇用・一般雇用のメリット・デメリットを把握することです。
STEP①の行程で自分が何を一般雇用に求めているかは明確にできたと仮定します。
次の段階では、障害者雇用でしか得られないもの、一般雇用でしか得られないものを知っていきましょう。STEP①が自分を知る行程とすれば、STEP②は外部を知る行程と言えます。
あれこれ書くよりも、表で見てもらった方がわかりやすいでしょう。
障害者雇用・一般雇用でしか得られないメリット・デメリット
メリット | デメリット | |
障害者雇用 | ・障害特性への配慮を得られる ・障害を知られる心配をしなくて済む ・支援機関をフル活用できる | ・正社員へのキャリアアップがしづらい ・高収入求人が一般雇用より少ない ・健常者と自分の仕事を比べてしまう |
一般雇用 | ・ほかの社員と同様の条件・福利厚生を受けやすい ・レベルの高い仕事にもチャレンジしやすい ・配慮されている負い目を感じにくい | ・障害への配慮は受けられない ・障害がばれる不安につきまといやすい ・障害を起因とした不安点の相談をしにくい |
おおまかな傾向として、障害者雇用は障害への配慮や支援機関の活用がメリット、キャリアアップ・収入関係で一般雇用よりも条件面でデメリットがあるとされる場合が多いです。
対して、一般雇用はキャリアアップや仕事内容が平等の面でメリット、配慮が受けられない面でデメリットとされています。
ポイントとしては、どのメリットに自分は魅力を感じるか、どのデメリットは自分にあてはまらないもしくは我慢できるかを比較することです。
たとえば、収入には目をつむれても、配慮は絶対に受けたいという人は、障害者雇用のままが良いかもしれません。
配慮を受けるよりも、配慮や障害者雇用で働いている自分に負い目を感じる人は一般雇用の方が良いかもしれません。
STEP①でまとめた自己分析の情報を表にあてこんで、考えてみましょう。
もしメリット・デメリットを比較して、メリットの数や質がデメリットを上回っていれば、一般雇用への転職を考えてみましょう。

先ほどお伝えした通り、障害者雇用であってもレベルの高い求人はありますし、一般雇用であっても一部の人に障害を開示して、障害の相談を乗ってもらえるというケースはあります。
あくまでメリット・デメリットは傾向の話をしている点はご注意ください。
自己分析とメリット・デメリットをすべて把握することで、障害者雇用から一般雇用に転職するかが判断しやすくなります。
STEP③ 一般雇用の転職に何が足りないのかを整理する

次の障害者雇用から一般雇用に転職する際にチェックすべきポイントは、一般雇用に転職に何が足りないのかを整理することです。
STEP②までの段階で、正確に自分が転職すべきなのかを整理できたかと思います。次の行程では、一般雇用に転職する上で自分に足りていない点を把握していくフェーズです。
把握の上での方法は2点、今の職場の一般雇用社員と比較する方法と、就業支援機関を活用する方法です。
方法① 今の職場の一般雇用社員と比較する
一つ目の一般雇用で自分に足りていない点を把握する方法は、今の職場での一般雇用社員と自分の働き方を比較する方法です。
今は仕事に就いていないという方は前の職場でも構いません。
もし、今の職場で一般雇用枠に仕事を就いた場合、自分が適応できるかどうかイメージすることが、一番手っ取り早い課題把握の方法です。
イメージの際は、以下のポイントに着目してみてください。
- 業務内容のレベル
- 業務時間・残業の有無
- コミュニケーション面(他部署や外部の人間との交渉が必要かも含む)
- 現在自分が受けている配慮がなくても対応できるか
もしすでに一般雇用社員と大差ない仕事をしており、コミュニケーション・心身面でも不安はないのであれば、求人の応募に踏み切っても良いかもしれません。
足りていない箇所が明確であれば、転職前に課題克服が可能かを考えてみても良いでしょう。
もし転職したい職種が今の職種と違う場合はどうすればいいの?
そういった方はぜひ支援機関を活用してみましょう。
方法② 支援機関を活用する
次の一般雇用で自分に足りていない点を把握する方法は、支援機関を活用することです。
もし応募した職種が今の仕事内容と異なる場合、なかなか日々の仕事では、転職前の課題を把握しづらいです。そういった方に関しては、第三者の目線から自分の状況をフィードバックしてもらうのがオススメです。
一番のオススメは地域の障害者就業・生活支援センター(通称:ナカポツ)に相談してみることです。
ナカポツは手帳の有無、在職・求職、障害種別問わずに、誰でも無料で職業相談を受けることができます。相談だけでなく、職業評価を自センターや外部機関を通して実施しているため、課題点のフィードバックを受けやすいです。
一般雇用に転職した後も、センター内での来所面談や電話相談を受けることもできるため、先々を見据えて利用してみるのも有効な選択肢です。
研究職やIT関係などの専門性が深く問われる業種であったとしても、現状の整理がしやすくなるという意味では、相談して損になることはないかと思います。
参考記事:障害者就業・生活支援センターとは障害者雇用の何でも屋!働くを楽にするためのサービス内容を総まとめ!
また、心身に不安があるという方は、かかりつけの医療機関での相談も忘れないようにしましょう。医療的な見解から、業務負荷がどのくらいか意見をもらえる場合があります。
STEP④ 日々の仕事や訓練・自己学習を通して課題に取り組む

次の障害者雇用から一般雇用に転職する際にチェックすべきポイントは、日々の仕事や訓練・自己学習を通して課題に取り組むことです。
STEP③までで一般雇用に転職する際の課題が把握できたら、ぜひ日々の仕事や訓練などを通じて、課題にチャレンジしていきましょう。
もし現在仕事に就いているという方は、それを活用しない手はありません。
コミュニケーションに苦手意識があるという方は、いつもよりホウレンソウに意識を配ってみるなど、できるところからで構いません。
仕事に就いていない方で課題があるという方は、就労移行支援事業所などの訓練を利用しても良いでしょう。就労移行支援事業所は障害者雇用への支援がメインではありますが、一般雇用への就職を阻害するものではありません。
一般雇用を想定とした訓練ではないかもしれませんが、訓練内容が自分の成長につながるのであれば利用を検討しても良いでしょう。
参考記事:就労移行支援事業所とは何か?必要でないと感じるあなたほど必要なサービスです。

配慮を受けながら働きたいならセミオープン就労も検討する
もし課題に取り組んでも克服できなかったらどうすればいいの?あきらめるしかないの?
良い質問ですね!そういった方はセミオープン就労がオススメです。
課題に取り組んでも障害がゆえに克服しきれない人もいるかと思います。頑張ればみんな報われるなんていう言葉は、残念ながら障害者雇用の世界では通らないことの方が多いです。
そんな方は、セミオープン就労での転職がオススメです。セミオープン就労とは、一般雇用枠から応募を行い、面接時に障害をオープンにする方法です。
障害があるという理由が不利にはたらくこともありますが、就業に支障のない範囲であると思ってもらえれば就業につながることもありえます。
なかには、下手な障害者雇用求人よりも、企業担当者に偏った知識がない分、質の良い配慮をもらえたり、支援機関の介入を了解してもらえることもあります。
もし、配慮を受けながらも、一般雇用にチャレンジしたい方は利用を検討してみてください。
セミオープン就労については以下の記事を参考にしてみてください。
→障害者雇用の裏技「セミオープン就労」について迫る【障害を開示しつつ高条件求人にチャレンジ可能】
STEP⑤ 求人紹介先を確保する

最後の障害者雇用から一般雇用に転職する際にチェックすべきポイントは、求人紹介先を確保することです。
一般雇用への転職理由や希望職種にもよりますが、大手の転職エージェントを利用しての就職活動が一般的です。有名どころで言うと、リクナビネクストやマイナビエージェントが挙げられます。
今までのSTEPで蓄えた分析材料や取り組みを踏まえて、ぜひ後悔の無い転職活動をしてください♪
まとめ
- 障害者雇用から一般雇用から転職する際は、応募からではなく、転職理由とそれに見合うだけのメリットがあるかをリサーチする
- 日々の仕事や訓練で克服できるか転職時の課題を克服できるかチェックしてみる
- もし課題が克服で切れなければ、セミオープン就労を検討する
いかがでしたでしょうか?
障害者雇用から一般雇用に転職する際は、自己分析と、それぞれの雇用形態の把握がとても重要になります。
また、一般雇用でも支援が可能な機関もあるため、一般雇用だから〇〇に決まっているという思い込みを取っ払って行動していきましょう!