コロナが収まる気配ないけど、障害者雇用にはどのくらい影響があったのかな?
コロナは障害者雇用にも多大な影響を及ぼしていますよ!
例話4年1月現在、オミクロン株が猛威を振るっており、依然としてコロナウイルスは収まる気配がありません。
一般雇用だけでなく、障害者雇用においても、コロナウイルスはとても大きな影響を及ぼしています。実は悪いことばかりではなく、皮肉にも良い影響も生まれることになりました。
今回は、就労支援員として、常日頃コロナ禍にでの就労相談を行っている筆者が、障害者雇用におけるコロナの影響やメリット・デメリットを紹介していきます。
ぜひ最後までご覧ください!
この記事を見れば知ることができること
- コロナによる障害者雇用の実態
- コロナが障害者雇用にもたらしたメリット・デメリット
- アフターコロナでの障害者雇用の展望
それでは一つずつ見ていきましょう。
目次
数値で見るコロナによる障害者雇用の変化
まずは実際のデータとして、コロナによる障害者雇用への影響はどれほどあったのかを見ていきましょう。
厚労省の「令和3年 障害者雇用状況の集計結果」によると、障害者の雇用人数はコロナ禍においても、右肩上がりに推移していっていることがわかります。
では全くコロナの影響がなかったというと当然そんなことはありません。
私がかかわりのあるハローワーク職員によると、コロナの1回目の緊急事態宣言時は、一時的に求人数が2,3割減になるなど、大きな変化があったようです。
当時は社会的にも大きな変化があり、とても障害者雇用の採用にまで力を回せる企業はありませんでした。私たちの支援センターでも予定されていた実習は軒並み中止になり、就職者数も大きく目減りしていました。
しかし、WITHコロナの時代となり、コロナ蔓延化でも採用活動を積極的に進める企業は増えてきています。
法定雇用率はコロナ禍においても高まっていく
コロナ禍においても障害者雇用人数が増え続ける背景に、法定雇用率の存在があります。
法定雇用率とは民間企業が障碍者を雇用しなければいけない割合のことを指し、障害者総合支援法によって数値が定められています。
現在の雇用率は令和3年3月に2.2%から2.3%に引き上げられています。コロナ禍であっても、現状維持どころか増加しています。
ただ、2.3%という数値への引き上げはコロナ発生前から予告されていたものであり、今後どのように推移していくかは現状で情報はありません。
とはいえ、障害者雇用の法定雇用率は上がりこそすれ下がったことはないこと、現にコロナ禍においても採用数が減少していないことを鑑みると、障害者雇用の採用枠が大きく目減りすることは考えにくいでしょう。
コロナが障害者雇用にもたらしたメリット

それでは、コロナが障害者雇用にもたらしたメリットを紹介していきます。
①障害者でも働き方が選べるようになった
1つ目のコロナが障害者雇用にもたらしたメリットは、障害者でも働き方を選べるようになったことです。
コロナ以前の障害者雇用は、テレワークを取り入れている企業であっても、障害者は会社に通勤することが前提としての採用でした。
というのも、障害者は就業・生活リズムを崩してほしくないという考えから、テレワークでの業務の切り出しは想定されていませんでした。
また、障害者雇用の業務は一般社員の業務を切り出して構成されているものが多いです。軽作業系はもちろん、事務系であっても個人情報を扱う書類のファイリングなど、リモートではできないものが含まれているケースがありました。
ところが、コロナ禍で健常者・障害者ともに半強制的に出勤を控えざるを得なくなってから流れは変わりました。
これまでテレワークを取り入れていなかった企業をはじめ、緊急事態宣言に伴い、業務の性質がどうのこうのと言っていられなくなり、在宅でもできる仕事の切り出しを余儀なくされました。
働き方 | |
従来 | 基本的に会社に出勤して、残業無しで働く。良くも悪くも選択肢が少なかった。 |
コロナ以降 | テレワークやフレックスタイム制など、一般社員にも適用されている制度を自由に活用できるようになった。 (現場系の仕事など一部を除く) |
また、コロナが落ち着いた時期であっても、テレワーク就業を継続する企業は少なくありません。「自己管理できる人はテレワークでも問題ない」と感じ取ってもらいさえすれば、働き方を自由に選べる世の中になったように感じます。
皮肉にも、コロナが企業を変えるきっかけを作ったことで、障害者が働き方を選べるようになったと言えます。地域差や職種によって、できるできないの基準は全く異なりますが、以前よりも障害者雇用のテレワーク求人は格段に増えてきました。
②ワークライフバランスが得られやすくなった
2つ目のコロナが障害者雇用にもたらしたメリットは、ワークライフバランスを得やすくなったことです。
上述したテレワークも含め、以前よりも感染防止のために、在宅の時間が圧倒的に増えました。
その分、資格勉強や友人知人との交流に時間を割けるようになったことはメリットとして挙げられます。
でもコロナで不要不急の外出できなくなっちゃったよ…
そうですね…いったんコロナが落ち着いたと思ったら、また感染者が増えたりと予断を許しませんね…
令和3年後半時点では、徐々に元の生活に戻りつつありましたが、オミクロン株が流行してからは、不要不急の外出ができなくなりました。
以前より在宅時間が増えたとはいえ、人同士の交流の場はもう少々時間がかかるかもしれませんね。
③受けられる求人の幅が広がった
3つ目のコロナが障害者雇用にもたらしたメリットは、受けられる求人の幅が広がったことです。
テレワークの普及に伴い、今までは地方に住んでいてチャンスのなかった求人にも応募ができるようになりました。
dodaチャレンジをはじめとした障害者雇用専門の転職エージェントでは、リモートワーク求人特集が組まれるようになりました。いろいろな働き方を選べる求人紹介をウリにしたエージェントも増えてきています。
単なる好条件の求人ではなく、多様な働き方を選べる方向にシフトしてきていることがわかりますね。
興味がある方はぜひ一度、障害者雇用の転職エージェントに登録してみることをオススメします。登録自体は無料ですし、どんな求人があるか見るだけでも参考になるかと思います。
参考:障害者雇用でホワイト企業に就職したい方にオススメする転職エージェント3選


コロナが障害者雇用にもたらしたデメリット

次に、コロナが障害者雇用にもたらしたデメリットとされる部分を紹介していきます。
①収入が不安定になった
1つ目のコロナが障害者雇用にもたらしたデメリットは収入が不安定になったことです。
コロナで働き方を選べるようになった一方、それによって憂き目にあった人たちもいるのは事実です。
というのも、リモートで仕事ができない業種であるにもかかわらず、自宅待機を余儀なくされた人もいるからです。自宅待機となった場合であっても、労働基準法の規定で休業手当は支給されます。
しかし、休業手当は本来の給料の6割程度。10割から6割は大きな減額ですよね。
特に密になっている職場且つ軽作業系の職場において、上記の自宅待機を命ずる企業が多い傾向にあります。コロナが蔓延して数年経つにもかかわらず、週に1,2回しか勤務がない知的障害の方などは少なくありません。
支援機関の立場としては、今後も継続的に企業に働きかけて職場環境の促しが必要だと感じます。
②人間関係が希薄になった
2つ目のコロナが障害者雇用にもたらしたデメリットは、人間関係が希薄になったことです。
人間関係は、職場・プライベート両方に当てはまります。
職場の人間関係でいうと、出勤日数が削減されることにより、職場担当者や同僚とのコミュニケーションが減ってきている方は多く見受けられます。
また、コロナ以降、黙食が当たり前になり、昼休みにコミュニケーションをとる頻度も減ってきています。
こうしたコミュニケーションの減少を防ぐために、定期面談などや業務の振り返りを行っている企業とそうでない企業が存在しています。
コミュニケーション量における不安点を支援機関がフォローしていることもありますが、社会人として働く以上、ナチュラルサポート(企業内支援)は欠かせません。
プライベートに関しては、もともと自分から友人知人を作るタイプではない人は、より孤立化してしまっています。
例えば、知的障害の方だと、コロナ以前では出身の特別支援学校のOB・OG会などを通して、一定の交流の場がありました。しかし、コロナ以降は対面での交流が無くなり、人間関係の希薄化が進んでいます。
各支援機関では、リモートでの交流会などの場をもうけるなど工夫をはかっています。しかし、対面でないと物足りないという声があり、コロナが今以上に沈静化する日が待たれています。
③体調管理が難しくなった
3つ目のコロナが障害者雇用にもたらしたデメリットは、体調管理が難しくなったことです。
上記の人間関係の希薄化から、一人で思い悩む時間が増えて、精神的に不安感が募りがちな人が増えています。また、在宅時間の増加で生活リズムが狂ってしまう人もいます。
結果的に心身の不調が就業にも影響を与え、退職も視野に入れざるを得ない方も出てきています。
コロナ禍においては、今まで以上に家族や主治医、支援機関のバックアップは必要となってくるでしょう。
コロナが収まるとメリットもデメリットもある

コロナは障害者雇用にメリットもデメリットもあるということが分かったかと思います。
裏を返せば、アフターコロナにおいても、メリット・デメリットが存在することになります。アフターコロナでは、コロナによるメリット・デメリットがひっくり返る形になることが想定されます。
コロナ禍 | アフターコロナ | |
就業面 | テレワークやフレックスタイムが柔軟に導入されることになった | テレワークから会社通勤に戻す会社が出てくることが予想される |
生活面 | 在宅時間の増加および対面交流の場の制限で人間関係が希薄化 | 一定の制限はあるものの、対面交流の場の増加となる |
主に就業面では、元の働き方に戻す会社が出てくることが予想され、テレワークに慣れ切った障害者にとっては変化に適応できないことも予想されます。
対して、生活面では対面交流の場が増えるため、自分の思い通りに余暇活動をデザインできます。おうち時間を過ごすも良し、アフターコロナに乗じて、旅行などに興じるのも良しです。
まとめ
- コロナ禍においても、障害者雇用人数は右肩上がりである
- コロナによって、働き方を選べる、ワークライフバランスが得やすい、求人の幅が広くなったというメリットがある
- 収入の不安定さ、人間関係の希薄化、体調の崩しやすさという面でデメリットがある
いかがでしたでしょうか?
不謹慎かもしれませんが、コロナは何も悪いことばかりではありません。うまく今の流れに乗れば、自分の希望に合った生き方を実現できる可能性もあります。
アフターコロナを見据えて、どのように就活や生活をデザインしていくかは、ぜひ一度考えてみてほしいです。