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ピアサポーターとはこれからの福祉の担い手的存在!?なるにはどうしたらいいの?

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ピアサポーターとは?

ピアサポーターとして働くことに興味があるんだけど、どこでどんな風に活躍できるのかわからないな…

ピアサポーターは支援職に興味のある障害者の方にとっては、一種のあこがれになっていますね!ピアサポーターの活躍の幅は広がっていますよ!

ピアサポーターは障害者当事者が同じく障害を持っている方に対して、自身の経験をもとに助言・支援などを行う人を指します。

近年、ピアサポーター養成研修をはじめとして、ピアサポーターという存在は福祉の世界において一般的な言葉になりつつあります。今回はそんな今注目されているピアサポーターの役割、活躍の場、なりかたまで、徹底的に解説していきます。

最後までご覧ください!

この記事を見れば知ることができること

  • ピアサポーターの定義
  • ピアサポーターになるための方法や活躍の場
  • ピアサポーターの今後の展望

それでは、一つずつ見ていきましょう。

ピアサポーターとは

ピアサポーターは以下のように規定されています。

障害のある人自身が、自らの体験に基づいて、他の障害のある人の相談相手となったり、同じ仲間として社会参加や地域での交流、問題の解決等を支援したりする活動のことを「ピアサポート」、ピアサポートを行う人たちのことを「ピアサポーター」といいます。

千葉県

障害当事者が自らの体験をシェアすること全般を「ピアサポート」、それをする人を「ピアサポーター」として規定されています。

ピアサポーターと聞くと、組織に所属して支援を行う人をイメージしがちですが、実は組織に所属しているかどうかは関係ないんですね。

つまり、友達も障害を持っていて、障害当事者として自分の経験をシェアすれば、それも立派なピアサポートになるんです。

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ピアサポーターの役割

ピアサポーターの役割はずばり、相談者のリカバリーのイメージを形作ることにあります。

リカバリーのイメージを形作る??どういうこと?

一言でいえば、生き方のイメージを示すことが役割として求められます。

ピアサポーターは、健常者では与えられない情報を障害者に提供することができます。

たとえば、病気の感じ方や障害者ゆえの困り感など、文面ではあらわしにくい情報を実体験をもとに提供することができます。相談者の話にも共感がしやすくなるため、ラポールが形成しやすくなる効果が期待できます。

また、ピアサポーターは活動する姿を障害者に見せること自体にも大きな価値があります。

ピアサポーターが活き活きと活動する姿は、社会復帰を果たしたい障害者にとっては、一つのモデルケースとなります。「いずれ〇〇さんのようになりたい」というあこがれが、各種活動のモチベーションとなります。

このような、健常者が提供できない「情報」、「姿」を通して、リカバリー効果を生み出すことがピアサポーターの大きな役割といえるでしょう。

なかには、ピアサポーターがピアサポーターを育成するという形で、リカバリーの連鎖を生み出している事業所も存在します。

働くピアの学校

千葉県流山市にある宙麦会グループでは、精神科デイケアで培ったピアサポーター育成のノウハウを活かし、ピアサポーターが企業や障害者に対して、新たな支援者(ピアサポーター含む)育成を行っています。

ピアサポーターによるリカバリーの連鎖の好事例と言えますね。

ピアサポーターの活躍の場

次に、ピアサポーターの活躍の場について紹介していきます。

ピアサポーターの活躍の場は、主にフォーマル(公式)とインフォーマル(非公式)の場に分かれます。

フォーマル

1つ目のピアサポーターの活躍の場であるフォーマルグループについて紹介していきます。フォーマルグループは組織に所属して活動するピアサポートになります。わかりやすく言えば、会社や福祉施設など、計画的に活動する組織を指します。

フォーマルグループでのピアサポーターの代表例を紹介していきます。

地域活動支援センター

1つ目のフォーマルでのピアサポーターの活躍の場として、地域活動支援センターが挙げられます。

地域活動支援センターでは、障害者の日中活動の場としての機能が求められるセンターです。

具体的にこれをしなきゃいけないと規定されている取り組みがない分、SSTやWRAPなど、ピアサポーターが活躍できるプログラムを多く組み込んでいる事業所もあります。

また、就職をした後も余暇活動の場として活用が認められている福祉サービスになります。OB・OGが活動に関わることもでき、障害者同士の取り組みが増えやすい土壌にあります。

そのため、ほかの福祉サービスに比べ、ピアサポーターが生まれやすい文化と言えます。

精神科デイケア

2つ目のフォーマルでのピアサポーターの活躍の場として、精神科デイケアが挙げられます。

精神科デイケアはリハビリテーションの一環として、デイケア利用者同士でのSSTなどを積極的に取り入れています。そのため、地域活動支援センター同様、障害者が障害者に助言をするという文化が生まれやすいです。

元々、デイケアを利用していた障害者が、通院していたクリニックに支援員として就職をするといったケースもあるようです。

参考:精神障害、仲間の力で回復 広がる「ピアサポート」

特例子会社

3つ目のフォーマルでのピアサポーターの活躍の場は特例子会社です。

特例子会社は障害者を中心に雇用する企業を指します。障害者が中心であるため、企業の発展に伴い、リーダー的な役割で従事する障害者社員も出てきます。

リーダー・マネジメント職となった障害者社員が、自らの経験をもとに後輩の社員を指導するという構図は、ピアサポート活動にほかなりませんね。

私が担当した方の中には、採用活動を業務として行っていた障害者社員の方もいました。

障害者が障害者を育成し、社会生活を構築しているのは一つのリカバリーの形とも言えるかもしれません。もちろん特例子会社に留まらず、一般企業においても同様の障害者同士でのかかわりがあれば、それはピアサポーターと言えます。

特例子会社については、以下の記事で特集しています。もし聞きなじみがないという方は見てみてください。

特例子会社のメリット・デメリットを忖度なしで教えます【現役支援員が解説】

インフォーマル

インフォーマルグループは、一言でいえばプライベートでのピアサポート活動全般を指します。

友達同士でも、オープンスペースでの非公式な集まりなど、形式は多種多様です。

いきなりフォーマルでのピアサポート活動は敷居が高い…という方でも、こうしたインフォーマルな集まりを通して、ピアサポート活動に興味を持たれる方も数多くいます。

最近ではSNSを通して、各種相談に乗っている障害当事者の方も見受けられます。ネットを通じてのピアサポート活動とも呼べるのではないでしょうか。

ピアサポーターになるにはどうしたらいいの?

続いてピアサポーターになるにはどうしたらいいのかについて紹介していきます。

ピアサポーター養成研修を受ける

一つ目のピアサポーターのなり方は、ピアサポーター養成研修を受けることです。

ピアサポーター養成研修は、一般社団法人日本メンタルピアサポート専門員研修機構や千葉県などの都道府県が主体となって、行っているピアサポーターの養成を主旨とした研修です。

受けるだけでピアサポーターになれるの?

もちろん受けるだけで自動的にピアサポーターになるわけではありません。

ピアサポート養成研修は、あくまでピアサポーターとしての専門的知識を身に着けることを目的としており、ピアサポーターとしての就職先を担保されているものではありません。

しかし、千葉県のように、ピアサポーターとしての就労あっせんをしてくれる自治体もあります。

千葉県では、福祉人材センター・バンクWEBサイト「福祉のお仕事」と連携をとっています。「千葉県精神障害者ピアサポート専門員養成研修修了」と情報を入力することで、条件を満たす求人があれば紹介をしてくれます。

現状、ピアサポーターとして働くことは過渡期にあるため、必ずしも求人を紹介してもらえるかはわかりかねます。

しかし、ピアサポーターとして働くことに興味があれば、ご自身のお住いの自治体に同様の研修があるか、チェックしておくと良いでしょう。

福祉サービスの利用者からスタートする

2つ目のピアサポーターのなり方は、福祉サービスの利用者からスタートすることです。

先ほどのフォーマルグループで挙げた地域活動支援センターや精神科デイケアで働くピアサポーターがこちらに該当するでしょう。

なぜ利用者からスタートするかというと、ピアサポーターで働く以上、就労するにあたっての精神的な自立や障害理解が一定レベル求められるからです。

ピアサポーターは呼び方こそ違えど、支援者であることには変わりません。そのため、利用者の段階から支援者としての資質があるかを見ていた方が事業所にとっても安心感があるんです。

ピアサポーター側も慣れ親しんだ事業所で働くため、職場への不適応を起こしにくいというメリットがあります。

難点としては、まだまだピアスタッフとしての雇用をできるまでに至っていない事業所の方が大半であることです。

障害者雇用枠で支援機関・特例子会社などに就職する

3つ目のピアサポーターのなり方は、障碍者雇用枠で支援機関や特例子会社などに就職することです。

障碍者雇用枠で就労移行支援事業所のスタッフとして勤務したり、特例子会社でキャリアを積むことでも、ピアサポーターとして活躍することができます。

障害を持ちながら仕事をすることの実体験を提供できることは、それだけで価値があります。

支援機関であればプログラムの立案、会社であれば後輩への指導方法など、多種多様な場面でピアサポーターとしての経験を活かすことができます。

ピアサポーターによる支援はこれから拡大する!

最後に、ピアサポーターによる支援はこれから拡大することについて触れていきたいと思います。

なんでそう言い切れるの?

ピアサポーターとしての支援を進めるよう国が後押ししているからです。

令和3年度の障害報酬改定により、新たに「ピアサポート体制加算」が付け加えられるようになりました。

ピアサポート体制加算は、計画相談支援・障害児相談支援・自立生活援助・地域移行支援・地域定着支援の5事業が対象となる加算です。ピアサポート養成研修者を一定割合配置することによって、事業所の報酬が加算される仕組みになっています。

まだ一部の福祉サービスに限られていますが、国としてもピアサポーターが障害者の不安解消に効果的であることを認めていることが明記されています。

少なくとも次回の報酬改定までは、ピアサポーターの動きは拡大していくものと思われ、今後の活躍も期待大です。

今後の福祉の担い手として今最も注目されている存在と言っても良いのでないでしょうか。

まとめ

  • ピアサポーターはフォーマルとインフォーマルで活動の場が異なる
  • ピアサポーターになるには養成研修を受ける、利用者からスタートする、障害者枠で支援機関や特例子会社などに就職する方法がある
  • ピアサポーターの支援はこれから拡大していく

いかがでしたでしょうか?

ピアサポーターは、ピアサポーター自身や相談者双方にとってのリカバリー効果があります。

今後もますます注目される存在として目が離せませんね。もし興味があるという方はぜひチャレンジしてみてください。

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