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就労支援員になるには何が必要?仕事内容、必要な人柄、給与まで全て紹介!【現役支援員解説】

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就労支援員の仕事に興味があるんだけど、どうやったらなれるの?どんなことをするの?

就労支援員の仕事に興味を持ってもらえるのは現役支援員にとって嬉しいことです!就労支援とひとくちに言っても、事業所によって業務内容は異なります。

就労支援員への就職・転職は障害者雇用の広がりに伴って、とても増えています。とはいっても、就労支援は訓練や求職・定着支援、リワーク支援など所属する事業によって、業務内容は求められる資質が異なります。

就職してから、「イメージと違った…」と後悔しないように、正確な情報収集が必要になります。

今回は、就労支援員になるための要件から、共通して必要となる能力を解説していきます。就労支援員の仕事に興味を持たれている方はぜひ最後までご覧ください。

この記事を見れば知ることができること

  • 就労支援員の仕事概要
  • 就労支援員になるための方法
  • 就労支援員になるために必要な能力

それでは一つずつ見ていきましょう。

就労支援員とは

就労支援員とは、障害を持つ人に対しての、就業に関わるサポートを行う立場の人間を指します。

近年、障害者雇用率の高まりにより、一般企業では障害者雇用を拡大させつつあります。令和3年12月時点では、全社員の2.3%以上の雇用が求められています。それに伴い、障害者雇用をスムーズに進めるための支援ニーズも高まっています。

就労支援員は、そうした障害者雇用の世界において、障害者や企業、その家族や関係者のパイプとなって支援を行います。

雇用のあり方が多様化している昨今、就労支援員の支援もケースバイケースの対応が求められています。所属組織によっては生活の相談に乗ったり、医療機関への同行などを行う場合があります。

そのため、「求められた就労支援だけやっていれば問題ない」という考え方の人には、向いていない仕事になるかもしれません。

働く場所・仕事内容

それでは、就労支援員の働く場所と仕事内容を見ていきましょう。

就労支援員の仕事は「就労支援をする」点は共通しているものの、所属組織によって支援の方法などは異なります。働く場所別に仕事内容も紹介していきます。

就労移行支援事業所

就労移行支援事業所は、主に障害者に対しての就業訓練(最大2年間)を提供する事業所です。訓練内容はビジネスマナー講習や、PCスキルアップトレーニングなど、事業所によって様々です。

実習の手配や就職後のフォローアップの支援を行うため、障害者以外にも、企業やほかの支援機関との交渉・調整業務が必要となります。

特化した訓練の提供や企業支援なども行う関係上、他業種からの転職が非常に多い点も特徴として挙げられます。

参考:就労移行支援事業所とは何か?必要でないと感じるあなたほど必要なサービスです。

障害者就業・生活支援センター

障害者就業・生活支援センターは。障害の種別・手帳の有無を問わず、就労に悩まれている障害者の各種支援を行う事業所です。

支援内容は、就職支援から、就職後の無期限の企業訪問支援、企業実習の手配など多岐に渡ります。生活面で不安がある方の相談も行います。

逼迫した状況であれば、地域の生活支援センターへのコーディネートを行うなど、地域の就労支援のハブ的な役割を求められるセンターです。

ケースバイケースの対応が求められることや、主に相談を通した支援であることが特徴と言えます。

参考:障害者就業・生活支援センターとは障害者雇用の何でも屋!働くを楽にするためのサービス内容を総まとめ!

ハローワーク

実はハローワークも就労支援の一部に分類されます。障害者専門の求人窓口である専門援助部門で働きます。

仕事・求人の相談はもちろん、必要に応じて企業に問い合わせ対応を行ったりと、交渉能力が求められます。また、精神・発達障害者トータルサポーターという制度を通して、精神・発達障害に対する専門的支援を行っています。

上記の仕事相談はもちろん、場合によって企業への面接同行や履歴書添削を行うなど、よりこまめな支援が求められます。

参考:【2021年版】障害者雇用求人を探すならハローワークへ必ず登録しよう!誰も言わないメリット教えます

障害者職業センター

障害者職業センターは、リワーク、ジョブコーチ支援など専門的な支援を提供する、各都道府県に配置されたセンターです。

障害者以外に、支援機関と企業をつなぐパイプ役を担うケースも多いため、コミュニケーション能力や支援への熱意は必要不可欠です。

職業センター自体は、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(以下機構)が設立した機関です。機構自体が厚労省が設立した組織であるため、行政に立ち位置で就業することになります。

給与や福利厚生は公務員の条件に近くなるほか、専門的な支援を通してキャリアを積める点がメリットである一方で、遠方への転勤があるデメリットもあります。

参考:【保存版】障害者職業センターとはどんなところか丸わかり!手帳が無くても無料で利用できます!

就労継続支援A型・B型事業所

就労継続支援A型・B型事業所は、障害者に対しての就労の場を提供する福祉サービスを指します。A型は雇用契約を結んで最低賃金を提供するため、B型よりも、やや高度な就労内容を提供していることがほとんどです。

就労内容は事業所によって異なり、内職などの箱折や清掃の外注、農場経営、PC作業など様々です。就労支援員は、就業の場で障害者それぞれが能力を発揮するために、環境調整や個別支援を行うことが役割として求められます。

また、そこで働く障害者が一般企業にステップアップしたい場合は、障害者就業・生活支援センターに相談をつなぐなどの調整が求められます。

業務の幅は他の事業所よりも狭い一方、個別且つ親身に対応できる能力が必要となるでしょう。

参考:就労継続支援A型から一般就労へステップアップ!福祉と一般企業のハイブリッド的存在を徹底解説してみた就労継続支援B型事業所ってどんなサービス?B型にしかない魅力やA型との違いを徹底解説!

就労支援員の平均年収

就労支援員の平均年収は300万円代中盤から400万円強が一般的です。

平均なのにレンジ広くないか?と言われると申し訳ないのですが、実は就労支援の仕事に限っての雇用統計データは無いのが実情です。

上の図は、厚労省の令和2年賃金構造基本統計調査のデータを元に、キャリアガーデンさんが作成された平均年収の図です。生活支援員という職種の違いこそありますが、リアルなものに近いと感じたので掲載させていただきました。

正社員に限ると、手当込みで20~30万円のところがほとんどです。昇給に関しては、定期昇給よりもサービス提供責任者や施設長にキャリアアップしないと大幅な昇給は望めません。

キャリアアップしていけば、500万円代、600万円代にアップしていくことも可能です。

もちろん事業所によって差異があるため、就労支援員になりたい方は、一般企業以上に昇給基準などは確認しておくことをオススメします。

就労支援員になるには

就労支援員になるには、一般企業同様、転職エージェントやハローワークなどを通して、応募するのが一般的です。

福祉の世界であるため、人柄重視になります。書類選考よりも面接選考の比重がかなり高いという特徴があります。

ただ、機構への就職を目指す場合は、専門性ゆえに基礎学力を求められますので、筆記試験などの対策が別途必要となる点は注意しておきましょう。

無資格でもOK

よく聞かれることとして、就労支援員になるには資格が必要なの?という言葉があります。

ズバリ、就労支援員になるだけなら資格は必要ありません!私自身も無資格で入職しました。というか、どんなことを具体的にやるのかのイメージも曖昧だったというのが正直なところです。

10年弱もよくやれてるな~とも思いますが、就労支援の仕事って結局やってみてからでないとイメージつかないんですよね。つまるところ、資格の有無というより、性格の向き不向きが超大事になるということです。

資格を持っていても、すぐに辞められたらどうしようもないですしね。

それよりも、性格が向いてそうな人を入社させて後から資格を取ってもらった方が運営側からすると都合が良いわけです。そういった意味では、経験者は優遇される傾向にあると感じます。

もちろん資格があるに越したことはありませんが、人柄>経験(別業種含む)>資格の優先順位と捉えておく方が良いでしょう。

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就労支援員になるために必要な人柄

次に、有利になる就労支援員になるために人柄を紹介していきます。選考上においても、支援員としても働き続ける上でも重要な点です。

人柄優先なのはわかったけど、就労支援員に必要な人柄ってどんなものなの?

優秀な就労支援員に求められる人柄には共通していることがあります。

①中立的な目線で物事を考えられる人

1つ目の就労支援員になるために必要な人柄は、中立的な目線で物事を考えられる人です。

この場合の「中立的」とは、一方の立場や意見に右往左往されないことを指します。

就労支援は障害者と企業以外にも、他の支援機関や医療機関など、様々な機関とのパイプ役になることがほとんどです。私が所属する障害者就業・生活支援センターでも、様々な機関との連携を取りながら、就労支援に当たっています。

参考:広島県

支援機関の役割分担化が進んでいる今、一つの支援機関で支援が完結することは稀です。

周りと連携を取っていくことは重要なことです。ただ、周りの意見に左右されすぎて、肝心の障害者自身の意見をないがしろにするケースは実はよくあることです。

いろんな人に良い顔をしようしすぎる、その場でやりすごそうとするクセがある人は特に要注意です。

ただ、障害者の自己決定を尊重した支援と、鵜吞みにした支援とは別物です。障害者の意見を優先しようとするがあまり、周りとコンセンサスを取れなくなり、結果的に障害者自身が損を被ることだってありえます。

就労支援員になるにあたり、中立的な目線で物事をとらえる習慣はぜひ身に着けておきたいところです。

②小さな違和感を報連相できる人

2つ目の就労支援員になるために必要な人柄は、 小さな違和感を報連相できる人です。

先ほど述べた通り、支援は常に中立的な目線で臨機応変な対応が求められます。そういった対応能力を”専門性”と呼び、周りから頼られたり感謝されることも多いです。

就労支援のやりがいであり、大変なところでもありますね。

しかし、多少経験があったとしても、臨機応変な対応を一人でこなすのは至難の業です。未経験者であれば言うに及ばずです。

そのため、就労支援員になる場合は、対応しているケースで少しでも違和感があれば、その段階で上司や同僚に報連相するコミュニケーション能力が必要不可欠です。

報連相をすることで、他の支援員の考えを聞く機会を作れるため、ケースの悪化以外に自分の学びにもつなげられます。個々人のスキルは後からつければ良いのです。

とにかく報連相することが就労支援には欠かせません。

③人の意見を受容できる人

3つ目の就労支援員になるために必要な人柄は、人の意見を受容できる人です。

障害を持たれている方は、バックボーンが健常者以上に異なっています。家庭環境に問題があったり、障害によって社会常識をはぐくむ期間、家で引きこもっていたという方もいます。

そうした方が就業に関する希望を話された場合、一般的な常識からかけ離れているというパターンもあり得ます。その際に、頭ごなしに「そんな要望を話しても会社は雇ってくれない」などと頭ごなしに否定することはNGです。

ヘタすれば障害を理解してくれないと思われ、クレームにもつながります。

特に一般企業勤めの長い他業種経験者だと、ついつい否定しがちになる傾向があります。

どんな意見であっても、まずは話を聞いてから、意見をすり合わせていく傾聴姿勢が就労支援員には必要です。

④フットワークが軽い人

4つ目の就労支援員になるために必要な人柄は、 フットワークが軽い人です。

就労支援員は企業とのアポイントや、各支援機関とのケース会議など、予定調整の業務も含まれます。日々の支援業務を行っていると、こうしたアポイント業務はついつい後回しになりがちになります。

しかし、就労支援は水ものです。予定調整などの手間がかかるものを後回しにしていると、しらぬまに対応しているケースが悪化する恐れがあります。

ケースが悪化してから対応をしても手遅れになることも考えられます。そうしたケースを防ぐためにも、就労支援員になる人には、業務のフットワークの軽さ(仕事を後回しにしない人)が求められます。

できるように努力できる人なら就労支援員になれる

なんか就労支援員っていろんなことが求められるんだね…自分でもなれるのかな…

はじめから全部できる人はほとんどいませんよ!入ってから努力できるのであれば問題ありません!

最後に伝えたいこととして、今できなくても、できるように努力できる人なら就労支援員にはなれるということです。

前のセクションでは、就労支援員に必要な人柄や能力について紹介してきましたね。

就労支援員に必要な人柄

  • 中立的な目線で物事を考えられる人
  • 小さな違和感を報連相できる人
  • 人の意見を受容できる人
  • フットワークが軽い人

もちろん最初からすべて兼ね揃えていれば最高ですが、正直はじめから全部できているなんて人は、私も見たことはありません。

仕事は早くても自分の意見を優先して言いがちだったり、傾聴姿勢はできていても仕事を後回しにしがちといったように、どこかが足りていないというパターンがほとんどです。

大事な点は、いずれかの人柄は満たしていることと、足りていない部分は自覚して埋めるための努力(行動化)ができることです。

面接の際に長所と短所を聞かれた場合、上記の点を踏まえて答えるようにしてみましょう。アピールになるだけでなく、入社してからの努力の方向性も見えやすいです。

また、人柄や能力によっては、就労移行の人向けの人もいれば、就労継続A・B型向きの人もいます。自分がどういった事業所が向いているかは、当ブログの他記事なども参考に下調べしてみてくださいね。

ただ、向いていることとやりたいこととが別の場合もあります。最終的にどこを受けるかは自分の判断になります。

まとめ

  • 就労支援員は就労移行や障害者職業センターなど活躍できるフィールドが多種多様
  • 中立的な目線、こまめな報連相、意見の受容、フットワークの軽さが就労支援員には求められる
  • 今現在できていなくても、できるように努力できる人なら就労支援員にはなれる

いかがでしたでしょうか?

就労支援の世界に、他業種の方も含め色々な方が参入してくれるのは力強いです。就労支援は横のつながりがとても重要です。

ぜひ就労支援の世界で共に励めればとてもうれしいです。

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