障害者雇用で働き始めてからしばらく経ったんだ。そろそろ将来のためにもスキルアップを考えたいな…具体的に何をすればいいの?
障害者雇用でのスキルアップはイメージがつく人は少ないかもしれませんね。でも実は障害者雇用で働く人こそ健常者以上にスキルアップの意識が必要なんです。
障害者雇用でもスキルアップをはかっていくことはとても重要です。
しかし、障害者雇用=無理をしない働きかたというイメージから、何のスキルをアップさせればいいか助言できる人はとても限られています。
今回の記事では、就労支援員として数多くの相談に乗ってきた筆者が支援員目線でスキルアップについて解説していきます。
最後までご覧ください。
この記事を見れば知ることができること
- 障害者雇用で働く人がスキルアップを考えなければいけないワケ
- スキルアップに励む前に注意すべきこと
- オススメのスキルアップ手段
それでは一つずつ見ていきましょう。
目次
障害者雇用で働く人の8割がスキルアップに関心を持つ

自分みたいに障害者雇用でスキルアップを考える人って少数だよね?
いいえ!むしろ大半の方がスキルアップに興味を持っていると言っても良いです!
障がい者総合研究所の「障がい者のキャリアアップに関する調査Report」によると、実に障害者雇用で働く人の80%がキャリアアップに関心があるというデータがあります。
障害者雇用で働く人にとってのスキルアップをすることは決して珍しくはないことがわかります。
一方で、自身のキャリアに満足しているという割合は35%となっています。
現状に物足りなさを感じているからこそ、スキルアップを考えているという考え方もできます。それを差し引いても、現状の満足度が35%というのは少々さみしく感じます。
障害者雇用で満足しながら働くためには、スキルアップは切っても切り外せない関係にあるということは覚えておくと良いでしょう。
また、上記のアンケートは障害種別やアンケート取得地域は公表されていません。障害種別や地域によっては、当然キャリアアップの対する意識は異なってきます。あくまで参考値としてみると良いでしょう。
障害者雇用こそスキルアップを考えなければいけないワケ

「障害者雇用で満足しながら働くためにスキルアップが必要」っていうのはちょっと抽象的だなぁ…具体的になぜスキルアップが必要になってくるの?
理由は簡単!障害者雇用は一般雇用に比べて、キャリアアップの道筋が整っていないからです。
先ほどの障がい者総合研究所のデータを参考に紐解いていきましょう。
データから見るに、障害者雇用で入社してから仕事の幅が広がったと感じる人は半数を割っています。そして、昇進・昇格をしていない割合は実に87%となっています。
ほとんどの障害者が入社時からキャリアアップをはかれていないということになります。
こうした状況にあるにもかかわらず、企業が障害者雇用のスキルアップ環境に積極的ではない理由は複数あります。代表的なものとしては、以下の通りです。
企業が障害者のキャリアアップを想定していない理由
- 障害者雇用の前提が「雇用率達成」にあるから
- 障害者雇用で働く人には負担をかけたくないから
- 障害者雇用での採用の歴史が浅く、キャリアアップを想定とした業務構築がされていない
障害者雇用を企業が行う背景として障害者雇用率の存在があります。令和3年12月時点で2.3%となっており、今後も引き上げが予想されます。
障害者を戦力と考える企業もある一方で、”雇用率を達成するために採用する”と考える企業も存在しています。また、障害者が退職すれば、当然雇用率も下がります。
保守的な企業は、雇用率維持のために働く障害者に負担をかけたがりません。結果的にスキルアップできるだけの業務が任されにくくなるため、キャリアの構築が健常者以上にしにくくなるというわけです。
また、障害者の戦力化に積極的な企業であっても、ノウハウが少ないため、業務構築がされていない企業も少なくないです。
つまり、障害者雇用で働くのであれば、一般雇用以上にスキルアップを自分自身で意識しておく必要があると言うことです。
スキルアップに励む前に注意すべきこと

障害者雇用でスキルアップに励む前に注意すべきこととして、体調管理が挙げられます。
スキルアップはつまるところ、通常業務に加えて、余暇などの時間を利用して負荷をかけることにつながります。日常の生活リズムにも変化が生じるため、少しでも不安があるという方は、主治医や周りの支援者などと相談することをオススメします。
特にスキルアップという理由で、責任感が伴うダブルワークなどを行う場合は要注意です。金銭のやり取りが生じると、自分の判断だけで中断がしにくいため、自己管理の難易度が高まります。
もし不安がある方は、自分の判断で中断しやすい資格勉強などからスタートするのも良いと思います。
オススメのスキルアップ方法

それでは、障害者雇用でどんなスキルアップをしていけばよいのかを紹介していきます。
オススメスキルアップ① 経理系資格
一つ目の障害者雇用でのオススメのスキルアップ方法は経理系事務の資格です。
経理系資格をオススメする理由として、事務補助業務からキャリアアップがしやすいからです。障害者雇用求人で事務職を狙う場合、事務補助求人が多いです。
基幹業務に携わる事務総合職は経験が豊富でない限り、数が限られているのが実情です。特に都心部と地方では求人数の差が顕著です。事務総合職は精神的負担が大きい分、企業もはじめから業務を任せないケースが多いです。
そのため、事務職でキャリアアップを狙う場合、事務補助求人からスタートし、スキルアップを図っていくパターンが王道です。
なかでも経理系の資格は、資格内容と実務との関連性が強いことが特徴です。
ワードやエクセルなどのOA資格は、正直なところ、あっても特別有利にはなりません。キャリアアップさせるにしても、イメージがわきづらいところです。
対して、経理系の資格は資格で学んだ内容と実際に行う業務が似通っています。資格取得=最低限の専門実務が行えるという心理的な担保として効果的にはたらきやすいです。
経理部署はどこの企業でも存在していますし、すでに働いている企業での異動も叶いやすいという意味ではつぶしが利きやすいスキルアップ方法と言えます。
経理系資格がオススメの方
- 事務職でのスキルアップをはかりたい方
- 数字に抵抗感が無い方
オススメスキルアップ② プログラミング
2つ目の障害者雇用でのオススメのスキルアップ方法はプログラミングです。
プログラミングは私が説明するまでもなく、近年ニーズが増え続けているスキルアップ手段です。
特に障害者雇用でプログラミングをオススメする理由としては、”プログラムはウソをつかないから”です。
急になんかカッコイイこと言ったなと思われた方はスミマセン笑
障害者雇用とは言えど、人同士のやり取りにあることは変わりません。人間関係で配慮を受けきれなかったという理由で離職せざるを得ないケースも少なくありません。
一方、プログラムは良くも悪くも正しくコーディングしなければ反応をしてくれません。
人とのコミュニケーションがうまくいきづらい方であっても、学んだ内容が実務として評価されやすい点はメリットです。もちろんプログラミングを活かした仕事をするからといって、コミュニケーションが必要ないということではないですが。
プログラミングは学びに上限が無いスキルのため、こだわりが強い特性の方にとっては特にオススメです。
学び続けられる方や努力への対価を求めたいという方はぜひ取り組んでみましょう。
プログラミングがオススメの方
- こだわりが強く、興味を持ったことに学び続けられる方
- 自分の努力に対しての対価を求めたい方
また、プログラミング技術のある方はフリーで報酬の案件を請け負うこともできます。
収入アップをしたい方にとってもオススメのスキルと言えます。

オススメスキルアップ③ Webライティング
3つ目の障害者雇用でのオススメのスキルアップ方法はWebライティングです。
「え?Webライティング?」と思う人が多いかもしれませんね。Webライティングとは、他社からの依頼で検索エンジンに表示されるWeb記事(主にブログ)の作成を行うこと全般を指します。
私が今こうして書いている記事もWebライティングの一つです。
近年はクラウドソーシングサービスを通して、Web上で仕事の依頼・受注を通して、仕事を行う形式が一般的になっています。
障害者雇用でWebライティングを行うメリットは、未経験でも副業として収入が得られる点です。障害者雇用は平均月収が約14万円と健常者と比べて差があります。
その点、Webライティングはスキルを上げれば、月に2,3万円以上の収入も期待できるので経済的不安が緩和されます。
その他に、Webライティングで文章力を上げることで、要約能力や資料作成能力の向上が期待できます。事務系職種全般での実務能力の向上がはかれるため、社内評価を上げることもできます。
もし文章を書くことに抵抗が無ければ、取り組んでもらいたいスキルアップ手段の一つです。
ちなみに私も過去にフリーのライターとして収入を得ていた時期があります。
障害者雇用をしながらのWebライティングについては、以下の記事をご覧ください。
→障害者こそ副業しよう!月3万円の副収入ゲットの方法を伝授!【おすすめはWebライター】
Webライティングがオススメの方
- 文章を書くことに抵抗が無い方
- すぐに収入アップをしたい方
オススメのクラウドソーシングサイトは以下のリンクからご覧ください。

複数年同じ会社で勤務するだけでもスキルがあると評価されやすい

最後の心構えとして、障害者雇用でスキルアップしたい方は、なるべく複数年は同じ会社で勤務し続けることをオススメします。
先ほど述べた通り、企業は雇用率の関係で、障害者雇用で一度雇った障害者に辞めてほしくないという傾向が強いです。
そのため、同じ企業で複数年働けた際の評価の上り幅が健常者よりも大きいのです。実績が少なくても、複数年勤められたのであれば、簡単には辞めないのではないか?というイメージから採用される確率が上がりやすいです。
特に軽作業系など体を動かす仕事であるほど、その傾向は高いです。
「雇用率のため」というとドライに感じると思いますが、就職市場ではそれを逆手に取ってしまえばよいのです。
よほどの嫌な企業というわけでなければ、十分にスキルアップできるまで、同じ会社で勤め続けるというのも悪い選択肢ではありません。
まとめ
- 障害者雇用は一般雇用以上にスキルアップを自分自身で意識しておく必要がある
- 経理系資格、プログラミング、Webライティングがオススメのスキルアップ方法
- 同じ会社で働き続けるだけでも、就職市場での評価は健常者以上に上がりやすい
いかがでしたでしょうか?
障害者雇用でのスキルアップは、一般求人以上に意識をしておく重要性がわかったかと思います。とはいえ、記事内でも触れましたが、体調管理を十分にしながら行う必要があります。
今回の記事を参考に、自分なりにスキルアップに取り組んでみてくださいね。