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自己都合退職と会社都合退職の違いは何か?失業給付や転職活動に影響大!

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会社を辞めたいんだけど、自己都合退職と会社都合退職って何が違うの?どっちの理由でも退職は退職でしょ?

自己都合退職と会社都合退職では、失業給付の待期期間や就職活動での取り扱われ方が異なってきます。違いを知っておくとお得ですよ!

自己都合退職と会社都合退職は同じ退職であっても、失業給付の待期期間の差など、細かな点で差が生じます。それぞれにメリット・デメリットがあるため、退職前に確認しておく必要があるでしょう。

今回は障害者の就労支援員として離職支援にも携わったことのある筆者が、自己都合退職と会社都合退職の違いを解説していきます。

この記事を見れば知ることができること

  • 自己都合退職と会社都合退職の違い
  • うまく自己都合退職する際のポイント
  • 自己都合退職を会社都合退職に変更する方法

それでは一つずつ見ていきましょう。

自己都合退職と会社都合退職の違い

さっそくですが、自己都合退職と会社都合退職の違いを見ていきましょう。

自己都合退職とは

自己都合退職とは、文字通り「自分の都合で退職すること」全般を指します。

オーソドックスな退職パターンは以下の通りです。

  • キャリアアップのための転職
  • 親の介護のための退職
  • 結婚に伴っての転居

基本的には、会社命令を原因としない退職はすべて自己都合退職にあたります。

会社都合退職とは

会社都合退職とは「会社状況によってやむを得ず退職すること」を指します。

一番わかりやすい例としては倒産・廃業が挙げられます。

倒産が会社都合っていうのはわかるんだけど、パワハラでメンタルを病んでしまって退職した場合とかはどうなるの?

実はすべて会社都合退職として取り扱われます。

倒産・廃業以外に、パワハラ・セクハラなどの会社の状況によって引き起こされた理由での退職は、会社都合退職として取り扱われます。

「嫌気がさして自分の意志で辞めたから、自己都合じゃないの?」と思い込む人は多いですが実は勘違いです。

セクハラ・パワハラなどは、本人が仕事を続けたかったのに、会社が原因で”やむなく”辞めざるを得なくなったと言い換えることが出来ます。自分で引き起こした退職(自己都合)ではないということですね。

「本人に仕事を続ける意思があった」、「辞めることになった原因が会社にあった」という2点が判断基準になります。

自己都合退職のパターンは以下の通りです。

  • 倒産・廃業
  • セクハラ・パワハラなどの各種ハラスメント
  • 不当な賃金カット
  • 長時間残業
  • 退職の強要
  • 能力不足による解雇

あくまで一例にすぎません。実は会社を辞めたいと思っていることが、会社都合に当たる可能性があります。自分にも当てはまっていないかは、退職前にチェックが必要です。

自己都合退職のメリット・デメリット

次に自己都合退職のメリット・デメリットを確認しましょう。

【メリット】退職理由を「一身上の都合」とだけ書けばOK

自己都合退職のメリットとしては、履歴書や職歴書における退職理由を「一身上の都合」とだけ書けばOKという点です。

書類選考で退職理由を深く書く必要はないため、頭を悩ませる必要が無い点は楽と言えますね。一社や二社程度、「一身上の都合で退職」と書いてあっても、ほとんどの会社は気にしません。

もちろん転職の際の面接では、離職理由を聞かれることもあるため、想定問答はしておく必要があります。

【デメリット】失業給付をもらうまでの期間が長い

自己都合退職のデメリットは、失業給付をもらうまでの期間が長いことです。

雇用保険に加入している方は、退職後に失業給付をもらうことができます。退職後は収入減が無くなるため、失業給付は失業者にとって欠かせない社会資源です。

しかし、自己都合退職の場合、会社都合退職の人よりも給付待期期間が長く設定されているのがネックです。

会社都合の場合は、7日間の待期期間の後、すぐに失業給付をもらえます。対して、自己都合退職の場合は、7日間の待期期間に加え、2か月間の給付制限期間が生じます。この2か月の差はなかなかに大きいと思います。

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会社都合退職のメリット・デメリット

続いて会社都合のメリット・デメリットを見ていきましょう。

【メリット】失業給付を早くもらえる

会社都合退職のメリットとしては、なんといっても失業給付が早くもらえることです。

さきほど述べた通り、会社都合退職の場合は給付制限期間が生じません。生活資金としての給付金をすぐに受給できる点はありがたいですね。

【デメリット】退職理由を掘り下げられる

会社都合退職のデメリットは、退職理由を掘り下げられる可能性があることです。

会社都合退職は、「会社都合により退職」と書くのが一般的とされています。

自己都合退職より珍しいケースになるため、転職先の会社からは理由を掘り下げられることになります。その際に、うまく受け答えができるように準備をしておく手間があります。

しかし、良心的な会社であれば、「大変な思いをされた応募者」ということで理解を示してもらいやすい点も特徴です。一度理解を示してもらいさえすれば、それ以上、退職理由を掘り下げられることはありません。

理由によっては「●●のような辛い環境下であっても、頑張れた人」ということで好印象を与えられる可能性もあります。このように、会社都合退職であることを逆手に取ることもできる点では、「会社都合退職のデメリットはメリットにもなりうる」と言うことができます。

会社都合の方がお得な面が多い

自己都合退職と会社都合退職はどっちがお得なの?と質問されることがあります。結論としては、会社都合退職の方がお得なことが多いと言えるでしょう。

失業給付の給付制限期間が生じないことは言うに及ばずですね。転職面においても、能力不足での解雇を除き、会社都合の方が、「やむを得ない退職だった」ということで理解が得やすいです。

とはいっても、会社都合退職は狙ってできるものではありません。もし当てはまっていればラッキー程度に捉えておきましょう。

自己都合退職を会社都合退職に変更する方法

次に自己都合退職を会社都合退職に変更する方法を紹介します!

え!?今さっき「会社都合退職は狙ってできるものではありません」って書いてなかった!?

もちろん会社都合退職そのものは意図してできるものではないですよ。ただ、自己都合で退職したけど、後で会社都合だとわかった場合は話が別です。

退職者のほとんどは自己都合退職かと思います。しかし、その中の一定数は、実は自己都合に当てはまる理由だったと気づかずに退職されている方が存在します。

よくある例で言うと、会社で長時間残業を強いられた末に、耐えかねて自己都合で退職したケースです。「自分が我慢できなかっただけ…」とネガティブなイメージに捉われがちですが、長時間残業での離職は会社都合として認められます。

ズバリ、後から会社都合に切り替えたい方は、ハローワークでの失業給付申請時に会社都合での離職に該当しないかの確認を行いましょう。流れは以下の通りです。

セクハラ・パワハラなどは音声録音や第三者証言、過重労働はタイムカードなどを基に、会社都合に該当するかの判断が行われます。どのような資料が必要になるかは退職事由によって異なるため、事前にハローワークの雇用保険課へ確認しておくようにしましょう。

「(地元のハローワーク名) 雇用保険課」などのワードでググれば連絡先を確認できますよ♪

また、退職によって心身に支障をきたした場合は主治医の診断書があれば、「特定就職困難者」として失業給付の給付制限をなくしてもらうことができます。厳密には会社都合退職の切り替えにはあたりませんが、事実上の会社都合退職と同じ待遇に切り替えられます。

会社都合退職に切り替えても会社からは追及されない

勝手に会社都合に切り替えても、会社からは追及されることはありません。

会社都合退職への切り替えは客観的な証拠の元に行われる労働者の正当な手続きです。経緯は様々あるにせよ、退職要因を作ったのは会社側のため、全く気にする必要はないです!

退職は申告するだけでも勇気がいることです。そのうえ、倒産など特別な理由を除き、会社都合退職を申し出るのはハードルは高いと言わざるを得ません。

ハローワークでの退職後の切り替え手続きをうまく活用して、円滑に失業給付の手続きを行いたいものですね。

失業保険の手続きに関しては、以下の記事をご覧ください。

障害者が失業給付をもらうための流れを徹底解説!【自己都合退職でも最高360日受給可能】

退職する際のポイント

次に退職を申し出る際のポイントを整理しておきましょう。

規定よりも早く退職申告を行う

1つ目の退職を申し出る際のポイントは規定よりも早く退職申告を行うことです。

たいていの企業には就業規則が置かれており、退職する際に最低何日前に申し出る必要があるか規約がもうけられています。

労働基準法では14日前(2週間前)の申告が義務付けられているため、就業規則にも同様の記載がされているケースが考えられます。

しかし、きっかり14日前に言った場合、業務によっては現場は大パニックになりえます。後任の引継ぎ・業務の受け渡しなど、とてもじゃありませんが、2週間では収拾がつかないでしょう。

「もう辞めるんだから知ったこっちゃねえ!」という人もいるかもしれませんが、余計なケンカを引き起こしてかえって心身が疲労する恐れがあります。

「今自分が受け持っている業務がどれくらいで受け渡せるか」という基準で判断を行い、退職までに十分な期間をもうけるようにしましょう。

会社に嫌気がさしている人の方が多いかもしれませんが、引継ぎはその会社での最後の仕事と思って取り組みましょう!

年度の切り替わり時期に申し出る方は注意!

2月、3月などの年度末時期に退職を申し出る方は要注意した方が良いです。というのも、年度の切り替わり時期は、次年度の人事調整を終えている時期になります。

その時期に退職を申し出ると、上層部が人事調整をやり直さなければならないため、めちゃくちゃ嫌な顔をされます汗

何を隠そう、私自身がその時期に退職を申し出て、迷惑をかけた経験があるからです…(といっても申し出たことは全く後悔してませんが)

もし波風立たないように辞めたいという方は、年度が明けて落ち着いてからの申し出をした方が無難と思われます。

有休消化できるかを確認する

2つ目の退職を申し出る際のポイントは有休を消化できるかどうかです。

もし退職済みの方とのパイプがあれば、どのくらい有休を消化できたか確認できれば参考情報となるかもしれません。ただ、有休を消化できるかは、同じ会社であっても業務内容や時期によって大きく左右されます。

もし情報を得る手段が無ければ、退職手続きの面談を行う際に確認しておきましょう。

退職の申請方法をチェックする

3つ目の退職を申し出る際のポイントは退職の申請方法をチェックしておくことです。

たいていの会社には退職届がフォーマットとして存在しています。基本的にはドラマのように自分でオリジナルの退職願を書いて持っていくということはありません笑

退職の際には、失業給付申請に必要な離職票など、もらっておくべき書類があります。申請方法と併せて確認しておきましょう。

退職時に提出するもの

  • 退職届
  • 会社支給の備品(社員証、制服など)

退職時にもらうもの

  • 雇用保険被保険者証
  • 年金手帳(会社保管の場合のみ)
  • 源泉徴収票
  • 離職票(退職後に自宅郵送がほとんど)
  • 退職証明書

退職金の有無・金額を確認しておく

最後の退職を申し出る際のポイントは、退職金の有無・金額を確認しておくことです。

退職金の有無は雇用契約時に確認しているかと思います。もし退職金が発生する方は、賃金規定に支給額が書いてある場合があるため、必ず確認しておきましょう。自身で金額を調べられない方に関しては、会社の経理や総務担当者に確認する方法を聞いておくと良いでしょう。

退職を申し出にくい方は退職代行の利用を検討する

どうしても自分で退職を申し出ることが出来ない方は、退職代行の利用をオススメします。

退職代行は近年急増している新規サービスです。私も最近知ったのですが、実は弁護士法に則って運営されている法律事務業務の一つだそうです。

そんな退職代行ですが、「使う人は無責任」、「自分で退職することくらい言え」という厳しい目線で目を向ける人も少なくありません。

しかし私個人としては、体壊すくらいなら使えるものはフル活用して辞めたほうが良いと感じています。私自身、障害者の就労支援をしている身として、体を壊して何年もブランクを作ってしまう方は多く見てきました。早く辞めないがために障害を負ってしまった方は一人や二人ではありませんでした。

外部からは「たかが退職の申し出」くらいという見方もあるかもしれません。

しかし裏を返せば「退職代行を使わざるを得ないくらい、意志発信が困難な状態にある」とも言い換えられます。外部の方は、あくまで自分の職番環境の基準で意見を言いがちです。良い悪いではなく、そもそも意見がかみ合いようがないんです

もちろん自分の口で言えるに越したことは無いですが、次は退職代行を使わないように、良い環境で働くことに目線を向ける方が建設的ではないかと感じます。

退職代行を使ったからと言ってあなた自身の人格が損なわれるわけではありません。

最近では、2万円代という安価で代行してくれるサービスも出てきています。もし退職を検討されている方は検討してみると良いでしょう。

退職代行については、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひご覧ください。

退職代行を使う人はクズなのか?→結論、全くクズじゃありません【問題ない理由を解説】

ネルサポ

まとめ

  • 自己都合退職は自分の都合で退職すること全般を指す
  • 会社都合退職は倒産以外にハラスメントなど企業が原因となる理由での退職全般を指す
  • 会社都合退職の方が失業給付などの面でメリットが大きい
  • 自己都合退職後にハローワークで会社都合退職に切り替えられる場合がある
  • 会社を辞めることを言い出しづらい方は退職代行の利用を検討する

いかがでしたでしょうか?

自己都合退職と会社都合退職では、同じ辞めるでも違いがあることがわかったかと思います。自分の望んだ会社での幕引きができるよう、今回の記事を参考にしてみてください。

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