就労移行支援事業所の利用を検討しているんだ。どんなところか一発で知りたいんだけど、どうすればいい?
就労移行支援事業所の概要・選び方・オススメ事業所まで全てまとめてみました!
就労移行支援事業所は一般企業に就職したい障害者が利用する通所サービスです。
利用の際には概要はもちろん、どういう基準で選べばよいか、どんなことに注意すれば良いかなど、知るべき点がたくさんあります。
今回の記事を見れば、就労移行支援事業所のことを横断的に学べるだけでなく、関連記事から深掘りすることもできます。最後までご覧くださいね♪
この記事を見れば知ることができること
- 就労移行支援事業所の概要
- 就労移行支援事業所の選び方や注意点
- オススメの就労移行支援事業所
それでは一つずつ見ていきましょう。
目次
就労移行支援事業所とは

就労移行支援事業所とは2年間の訓練期間を通して、(主に)障害者雇用枠での就労を目指す福祉サービスです。
利用対象者
就労移行支援事業所は、一般企業への就労を希望している18歳以上65歳未満の障害者が対象となっています。
障害者手帳を所持していなくても利用できる点がポイントです。就労移行支援事業所は障害者総合支援法のなかの福祉サービスにあたるため、福祉サービス受給者証さえあれば利用できます。
ただし、障害者雇用で就職する場合は障害者手帳が必要となるため、就職段階までには所持しておくことをオススメします。
利用期間
就労移行支援事業所は最大24か月間(2年間)利用できます。
ただし、就職に至らず、さらに訓練の必要があると認められた場合は、プラス12か月間(1年間)の延長が可能です。延長の際には自治体への届け出が必要です。延長の判断は自治体判断による部分が大きいです。

実際のところは平均で8,9か月間で卒業されている方が多いというデータがあります。
どのくらいの期間で就職できるかは、本人の能力、求人状況によって左右されます。意見のすり合わせは定期的に行うことが必要です。
提供サービス
就労移行支援事業所で提供される訓練プログラムは各事業所によって異なります。
ビジネスマナーやパソコンプログラムといったオーソドックスなものから筋トレなどの体力増進のプログラムが充実している事業所もあります。
なかにはe-sports業界への就職に向けて、ゲーム実習、動画編集をプログラムとして提供している事業所もあります。
参考:ACADEMIA
また、近年では在宅訓練が充実していることもあり、家でも出来るプログラミング学習をウリにしている事業所が増えてきています。
利用料金

就労移行支援事業所の利用料金は前年度の世帯収入に応じて変動します。
世帯ごとの収入のため、もし一人暮らしで前年度就労をしていない場合は、費用無料となります。
また、自治体によって通所時の交通費助成があります。詳しくは最寄りの役所の障害福祉課にお聞きください。
利用の流れ
就労移行支援事業所の利用までの流れは、予約→見学・説明→体験利用→利用手続き(福祉サービス受給者証発行)→本利用の順で進められます。
流れの中でイメージがつきづらいのは福祉サービス受給者証発行かと思います。
福祉サービス受給者証の発効は以下の画像を参考にしてください。
受給者証発行のポイントは以下の通りです。
- 申請から発効までに1~2か月ほどかかる
- 発行待ちの状態でも、体験利用扱い(暫定支給)で通所が可能な就労移行支援事業所は多い
- まずはお住まいの自治体の障害福祉課で手続きを行う
受給者証を発行してもらうのに必須な個別支援計画は、自分で作る(セルフプラン)こともできます。
全ての自治体がセルフプランを認めているわけではないため、はじめの利用申し込み時点でセルフプランの有無は確認しておくようにしましょう。
以上が就労移行支援事業所の概要になります。さらに細かく就労移行支援事業所の概要を知りたいという方は、以下の記事をご覧ください。
→就労移行支援事業所とは何か?必要でないと感じるあなたほど必要なサービスです。
定着支援事業で就職後も支援してもらえる
就労移行支援事業所は就職したらサービス終了となるわけではありません。
就職後も半年間のアフターフォローの後、任意でプラス3年間の職場定着支援のサービスを受けることができます。このサービスを定着支援事業と呼びます。
定着支援事業の特徴は以下の通りです。
- 就職後最大3年半までの間で活用できる
- 前年度の世帯収入によって利用料金が発生する
- 支援ペースは月1回がベース
- 通所時に関わりの有った支援員が対応してくれる場合がある
定着支援事業でややこしいのは利用期間の部分だと思います。図で見るとわかりやすいので確認しておきましょう。

先に述べた通り、定着支援事業所は就職後、最大3年半の期間で利用できるサービスです。たとえば、入社後2年を経過してから定着支援事業の契約を行っても、最大で1年半までしか利用できないということになります。
少々ややこしいですが、「利用してから3年間」ではなく、「就職後3年半の内、最大3年間使えるサービス」と覚えておきましょう。
定着支援事業については、以下の記事で解説をしています。
→【2021年版】就労定着支援事業とはなにか?トラブルにならないための3つの掟、教えます。
就労移行支援事業所を選ぶうえでのポイント

次に就労移行支援事業所を選ぶうえでのポイントを見ていきましょう。見学時の参考にしてみてください。
支援員が傾聴をしてくれている
1つ目の就労移行支援事業所を選ぶポイントは、支援員が傾聴してくれていることです。
傾聴とは五感をフルに使って、相手の話を受容しながら聞く姿勢のことです。傾聴できているかどうかの判断ポイントは、一見理屈が破綻しているような意見に対しても、受け止めてくれているかどうかです。
たとえば、「1か月で就職したいんです!」という人が見学に来たとします。支援者目線で言うと、能力のアセスメント(評価)をしていく期間を考えれば、1か月はかなり難しいと言わざるを得ません。そういった場合であっても、まずは支援員が受け止め・共感をしてくれているかを見ることはとても重要です。
というのも、支援員が傾聴を出来ていない場合、いざ職業選択をする段階になって、支援者が事業所側の方針を押し付けがちになるからです。
もちろん支援員の言うことが全て的外れというつもりはないです。ただ、支援員が障害者と関係構築できる能力が足りないと、就職後も不信感がぬぐえず、就職後も悪影響を及ぼすリスクが残ります。
まずは話を聞いてくれる人かどうか…この点は忘れずにチェックしておきましょう。
できるできないをはっきり伝えてくれる
2つ目の就労移行支援事業所を選ぶポイントは、できるできないをはっきり伝えてくれることです。
え?さっき傾聴してくれる支援員が良いって言ってたけど、できるできないをはっきり言う方が良い事業所なの?
傾聴が出来ていることと、相手の言うことをすべて”できる”と言い切ることは別です。
傾聴とは共感の姿勢が大事であって、できるできないを混同することではありません。障害者を否定しないようにする姿勢は大事ですが、かといって本来できないサービスを「できる」と言ってしまえば後々トラブルになります。
先ほどの例で挙げれば、「1か月で就職したい!」という気持ちを受け止め、背景を理解しようと努めてくれるかどうかは非常に重要です。しかし、現実問題として叶えられる可能性が少ないのであれば、あらかじめ障害者側に伝えるのが誠実な姿勢と言えます。
要は、できるできないを伝えた上で、どのように利用者の希望を叶えるかすり合わせることがあるべきスタンスだということです。
支援員が提供できうるサービスを正直に伝えてくれているかは確認しておきたいポイントです。
利用者層のレベルが合っている
3つ目の就労移行支援事業所を選ぶポイントは、利用者層のレベルが合っていることです。
レベルというと能力・スキルを思い浮かべがちですが、それ以外に障害種別や雰囲気も重要な要素です。軽作業系での就労目指している知的障害者中心の就労移行の中に、精神障害者や身体障害者が混じった場合、雰囲気が合致しない可能性があります。
反対に精神・身体障害者中心の就労移行の中に知的障害者として利用を考える場合も、同様のことが言えます。
毎日通う場所になりますので、プログラムや支援員だけに着目せず、全体的な雰囲気が自分に合うかどうかもチェックしておきましょう。
自分の能力を伸ばせそうなプログラムがある
4つ目の就労移行支援事業所を選ぶポイントは、自分の能力を伸ばせそうなプログラムがあることです。
ここでのポイントとしては、自分のやりたいプログラムの”中身”に着目するだけでなく、プログラムに取り組んだことで得られる”結果”を考えてほしいと思います。
たとえば、志望職種と一見関係ないグループワークがプログラムに組み込まれているとします。志望職種との関連性が薄ければあまり興味は抱かないかもしれませんね。
しかし、グループワークプログラムはコミュニケーション能力を身に着けやすくなるため、就職する可能性を上げることに役立ちます。
あくまで一例ですが、「結果的に自分の伸ばしたい能力や課題が克服できるかどうか」という視点でプログラムを見ていくことは非常に重要です。
この視点で就労移行を利用することにより、「逆算して能力を伸ばしていく」という思考が身につきます。こうした逆算の考えは仕事のスキルに直結します。受け身ではなく能動的にプログラムを利用していけるため、成長度合いに差がでてきます。
見学の段階では難しいかもしれませんが、想像をめぐらしながら事業所を選んでもらえればと思います。
以上が就労移行支援事業所を選ぶポイントです。就労移行支援事業所は口コミで評価が分かれています。自分にとって良い事業所を選べるように、以下の記事も参考にしてみてください。
→就労移行支援事業所の実態を紹介!SNSの「ひどい」というレビューはホント?【現役支援員解説】
オススメの就労移行支援事業所3選

最後にオススメの就労移行支援事業所を紹介したいと思います。
ここまで読んでくれた方は、結局どこの事業所がオススメなのよ?と気になる方もいるかもしれませんね。
就労移行支援事業所はオールラウンド型、障害特化型、スキル特化型で別れています。それぞれのメリット・デメリット・オススメ事業所をピックアップします。
オールラウンド型
就労移行支援事業所の中でも、オールラウンド型は障害者種別や希望職種を問わず、どの人であっても受け入れを行っている事業所をさします。
メリットとしては、選べる選択肢が多く、大手企業が運営している場合はプログラムの質にも差が無い点が挙げられるでしょう。デメリットは、似たり寄ったりな事業所も多く、いまいち決め手に欠けがちになる点です。
オススメ事業所【LITALICOワークス】
オールラウンド型のオススメ事業所はLITALICOワークスです。
LITALICOワークスは株式会社LITALICOが運営している就労移行支援事業所です。LITALICOの特徴は何と言っても全国展開で高いサービス品質を誇る点です。
マンパワーの多さを活かし、積極的に職員のスキル研修を行っています。支援職である以上、差はあれど、どの職員も最低限のネットワークの構築スキルや利用者とのコミュニケーション能力を有している職員が多い印象を受けます。(上から目線ですいません汗)
2019年4月時点では4,500か所以上のインターン先があると記載がありことも魅力的です。
障害特化型
就労移行支援事業所のうち、障害特化型は「発達障害専門」など、特定の障害への就労支援に強みをもつ事業所をさします。メリットとしては、オールラウンド型などに比べて障害の理解がしてもらいやすい点でしょう。ほかの利用者も同じ障害を持っているため、悩みを共有しやすいです。
デメリットとしては、障害に絞っている分、プログラム内容に偏りがある点です。たとえば、知的障害に特化した事業所だとどうしても軽作業寄りのプログラムになるため、事務系に興味がある場合は不向きとなります。
オススメ事業所【ゼネラルパートナーズ】
障害特化型のオススメ事業所はゼネラルパートナーズです。
ゼネラルパートナーズは、障害者向けの転職サービスや就労移行支援事業所を運営している人材会社です。ゼネラルパートナーズはなんといっても各疾病に特化して事業所展開をしている点にあります。
事業所名 | 対象障害 |
atGPジョブトレ うつ症状コース | うつ病 |
atGPジョブトレ 発達障害コース (旧リンクビー) | 発達障害 |
atGPジョブトレ 聴覚障害コース (旧いそひと) | 聴覚障害 |
atGPジョブトレ 統合失調症コース (旧リドアーズ) | 統合失調症 |
ベネファイ | 難病 |
atGPジョブトレIT・Web | なし(WEB制作スキル特化) |
障害特化型というだけでなく、人材会社のパイプを活かし、自社で障害者雇用転職エージェントatGPを運営しています。企業実習先が豊富である点も見逃せない点です。
スキル特化型
スキル特化型は、ITやデザインなど、特定の内容に特化したプログラム・就職支援を行っている事業所をさします。近年、オールラウンド型との差別化をはかるために増えてきたタイプの事業所です。
メリットとしては、専門職への就職を考えている人にとってはうってつけである点です。興味を持って通いやすい点でモチベーションも維持しやすいでしょう。
デメリットとしては、もし希望が変わって別の分野の就職にチャレンジしたくなった場合、通所の意欲を継続するのが難しくなる点です。
オススメ事業所【manaby】
スキル特化型のオススメ事業所はmanabyです。
manabyの最大の特徴は、デザインやプログラミングなどのプログラムをeラーニングで学べる点にあります。また、在宅勤務を視野に入れて、通所訓練以外に在宅訓練も行うことが出来ます。
遠方でなかなかるうしょできないという方にもオススメです。
LITALICOやゼネラルパートナーズよりも後発の事業所ですが、時代に即したプログラムを取り扱っていると言えます。
オススメ就労移行支援事業所のより詳細な情報は以下の記事をご覧ください。
→【2021年版】障害者雇用就職で後悔しないための就労移行支援事業所オススメ3選【現役支援員が解説】



まとめ
- 就労移行支援事業所は2年間の訓練期間を通して、一般企業への就労をはかるサービス
- 定着支援事業によって就職後もアフターフォローをしてもらえる
- 傾聴できている、できるできないを伝えてくれる、利用者層やプログラムが合っているかどうかを基準に選ぶ
- 就労移行支援事業所はオールラウンド型、障害特化型、スキル特化型の3つに分けられる
いかがでしたでしょうか?
今回はまとめ記事として、就労移行支援事業所について概要から選び方など総まとめしてみました。今回の記事を参考に、ぜひ良い就労移行支援事業所に巡り合えるのを応援しております!
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