障害者雇用でもクビになることがあるって聞いたけど本当?
はい、障害者雇用でもクビ(会社都合退職)になることはありえます。
障害者雇用でもクビになることはありえます。一般的にクビとは、本人が働く意欲があるにもかかわらず、退職を余儀なくされるケースを指します。障害者雇用はクビとは無縁に感じるかもしれませんが、実際に会社都合での退職に至る場合があります。
クビになる方には共通点があり、しっかりと心構えと対応方法を知っておけば、防ぐことが出来ます。今回の記事では、解雇実態から、解雇理由、対応方法まで総まとめしていきます。
この記事を見れば知ることができること
- 障害者雇用の解雇実態
- 障害者雇用でクビになる理由
- 障害者雇用でクビになるのを防ぐ方法
それでは一つずつ見ていきましょう。
目次
障害者雇用での解雇実態
障害者雇用でクビになるってまだイメージつかないんだけど…
解雇実態は実際の統計をみるのが一番手っ取り早いでしょう。
ハローワークを通じた障害者の職業紹介状況などの取りまとめ(令和2年度)によれば、解雇者数は2,191件に上っています。そのうちの2,025件が事業廃止や倒産によるものです。
なーんだ、じゃあクビと言ってもつぶれる会社に入らなければ安心なんだね!
安心するのはまだ早い!統計にカウントされていなくても、事実上クビになっている障害者は多くいるんですよ。
たしかに障害者本人の理由によってクビになっている方は統計上は少なく見えます。
しかし、自己都合退職で処理することになった方は、この統計には含まれていません。私が担当している方の中にも、働きたいという意志はあったものの、自己都合退職で処理をするケースは少なくありません。
理由は、「大げさにしたくない」、「会社に迷惑をかけたくない」など様々です。
統計の数以上にクビになっている人はいることを知っておきましょう。
なんか怖くなってきたよ…
他人事だと思ってほしくないので、少しシビアに書きました。ちゃんと解雇理由と対応方法を押さえておきさえすれば大丈夫ですよ♪
障害者雇用なのにクビになる理由

それでは次に、障害者雇用なのにクビになる理由をチェックしていきましょう。なお、会社の廃業は含んでおりませんのであしからず。
①業務上のルールを守る意思が無い
1つ目の障害者雇用なのにクビになる理由は、業務上のルールを守る意思が無いというものです。

ルールを無視する人なんているの?と思われる人もいるかもしれませんね。「ルール無視」という言葉から連想されるような、仕事をサボると言う人もゼロではありません。
しかし、たいていは障害者本人が「障害によってできない業務」と意見を持っているのに対し、企業側が「さすがにこれぐらいやってもらわないと困る」という意見のくい違いパターンがほとんどです。
結果的に、企業が「業務上のルールを守る意思が無い」と判断せざるを得ないため、離職に至るというケースです。
どちらが悪いというより、相互の歩み寄りが不足していたために起こりがちなパターンです。また、障害者本人の症状の悪化などから認知のゆがみが発生している場合、話し合いが一向に進まないケースもあります。
こうなると支援機関が介入しても泥沼化しやすくなるため、困難なケースにも発展しやすいです。
②休職しても体調が戻らない状態が続く
2つ目の障害者雇用なのにクビになる理由は、休職しても体調が戻らない状態が続くことです。
休職に至る理由は人間関係のトラブルや、業務による肉体的負荷など様々です。会社への印象はどうあれ、今の会社での仕事が続けられないと判断した場合、自己都合で退職を申し入れるパターンがほとんどです。
しかし、休職期間をフルに活用して復職を目指し続ける人もいます。とはいえ、休職期間は無限というわけではなく、最大1年半など、企業によって期間が定められています。
もし休職の期限が来ても体調が戻らない場合は、就業規則に乗っ取り、雇止め(会社都合離職)になるケースがあります。
本人の体調による離職なのに会社都合退職になるの?
基本的に会社都合になるかどうかは、本人自身が就業継続をし続ける意思があるかどうかが焦点になります。ケースバイケースの対応も多いため、企業との相談は必須になるでしょう。
③コミュニケーションが著しく取れないとき
3つ目の障害者雇用なのにクビになる理由は、コミュニケーションが著しく取れない時です。支援をしていて、良く直面するケースですね。

コミュニケーションが取れないと聞くと、言語的な問題をイメージしがちですが、そうではありません。この場合のコミュニケーションは、主に業務上の報連相を指します。
障害者本人はわかったつもりになっており、企業担当者が指示した内容とニュアンスを取り違えて、仕事のミスにつながるといったものです。
障害云々問わず、そもそも仕事ができないという人は一定数存在します。
— エドガワ@障害者ワークナビ管理人 (@edo_work_navi) November 2, 2021
ミスが続くと「障害と関係ない部分なのに何でミスが続くんだ!」と企業担当者が落としどころのない部分でストレスをためがち→お互いの働きづらさにつながる。
適性があっていなければ、配慮も何もないという話。#障害者雇用
障害と直接リンクしたミスであれば、企業側が「障害だから仕方ない」と納得する心の処理ができます。ただ、そもそも適性に合っていない仕事の場合、障害にいくら配慮してもミスが続きます。
その場合、「こんなに配慮してるのになぜミスが続くんだ!」と企業側がストレスをためがちになります。結果的に、お互いのコミュニケーション不全から、雇止めを食らってしまうこともあります。
残念ですが、どう頑張っても仕事ができないタイプの人はいます。こればっかりは健常者も同様です。そのため、配慮で何とかする前に、いかに適性が合う仕事を見つけていくかがカギとなるでしょう。
支援者目線で言うと、企業担当者の精神的負荷が強くなる段階まで進むと、危険水域に感じます。こうなると職場全体の業務効率が下がってくるため、障害者側が雇止めになる確率が上がってきやすくなります。
障害者雇用でクビにならないための対応方法

それでは、障害者雇用でクビにならないための対応方法をチェックしていきましょう。
①「できるできない」と「好き嫌い」を混同させない
1つ目の障害者雇用でクビにならないための対応方法は、「できるできない」と「好き嫌い」を混同させないことです。
先に述べた通り、「障害によってできない」という態度が前面に出ていると、企業側も仕事の支持を振りづらくなります。あまりに明らかな場合を除き、できるかできないかは、やってから判断するのが良いでしょう。
企業側は「障害によってできないこと」は配慮をしてくれるケースが多い、というより合理的配慮を行分けなければなりません。
しかし、単純に「苦手だからやらない」という姿勢は配慮をされづらく、好まれません。チャレンジすらしないのは、単純に仕事を選り好みをしていると思われます。
「好き嫌いで判断している」と捉えられないよう、まずはチャレンジする姿勢を見せていくことが重要です。
②積極的に配慮点をすり合わせる
2つ目の障害者雇用でクビにならないための対応方法は、積極的に配慮点をすり合わせることです。
障害者雇用は配慮ありきの雇用の枠組みです。自分の体に無理なく働けることが魅力ですが、そのためには自分から具体的な配慮点を申し出る必要があります。
企業は仕事のプロであって障害者雇用のプロではありません。自分から入社前や採用後に配慮点を具体化しなければ、適した配慮を受けられません。
たまに障害名だけ伝えて入社し、「配慮してくれない」と嘆く方を見ますが、その伝え方では長期間の就労継続は難しいと感じます。
積極的に配慮点を伝える姿勢が続けられると、モチベーション低下や体調不良での入院といった事態を防ぐことが出来ます。結果的にクビになるリスクを減らすことにもつながるというわけです。
配慮点の整理の方法は以下の記事をご覧ください。
→障害者雇用で合理的配慮を得る方法教えます【知らないと危ないです】
③支援機関を活用する
3つ目の障害者雇用でクビにならないための対応方法は、 支援機関を活用することです。
支援機関を活用するメリットは、なんといっても企業との間に介入してくれて、環境調整をはかってもらえる点です。また、配慮点を会社に伝える際も、第三者の立ち位置から伝えてくれます。
それにより、お互いの誤解を解きほぐす効果が生まれ、障害者と企業間のコミュニケーションをうまれるきっかけづくりを行うことが出来ます。
支援機関は就業前、就業後を問わず活用できます。代表的なものをパターン別にいくつか紹介しておくので参考にしてみてください。
就職前に活用できる支援機関
- 就労移行支援事業所
参考記事:就労移行支援事業所とは何か?必要でないと感じるあなたほど必要なサービスです。
- ハローワーク
参考記事:【2021年版】障害者雇用求人を探すならハローワークへ必ず登録しよう!誰も言わないメリット教えます
就職後に活用できる支援機関
- 障害者就業・生活支援センター
参考記事:障害者就業・生活支援センターとは障害者雇用の何でも屋!働くを楽にするためのサービス内容を総まとめ!
- 障害者職業センター
参考記事:【保存版】障害者職業センターとはどんなところか丸わかり!手帳が無くても無料で利用できます!
特に、障害者職業センターは休職中の方が職場復帰に向けて活用できるプログラムもあります。参考記事をチェックしてみてください。


まとめ
- 障害者雇用でもクビになることはありうる
- 主に、コミュニケーション不全や仕事のできる範囲のくい違いなどの理由からクビになることが多い
- クビを防ぐためには、支援機関などを活用しながら企業側と積極的にコミュニケーションを取っていくことが大事
いかがでしたでしょうか?
障害者雇用でもクビになることはありえます。しかし、共通している理由があり、それぞれの対応方法も存在しています。今は活用できる社会資源も増えています。もし一人では困るようなことがあれば、ぜひ支援機関などを活用してみてください。