障害者雇用でフルタイム就労をしてみたいんだ。一般のフルタイム就労と違って押さえておくべきポイントはあるの?
フルタイム就労は障害者雇用で働く人たちにとって、一つの到達点とも言えます。フルタイムで活躍している人はとても多いですよ!
障害者雇用でも健常者社員と同じフルタイム就労で頑張っている方はとても多いです。長い時間働けるようになったことで、経済的・精神的に充実しやすくなります。一つの目標として目指されている方も多いです。
この記事を見れば知ることができること
- フルタイム就労で働くための方法
- フルタイム就労のメリット
- フルタイム就労で働き続ける際の注意点
それでは一つずつ見ていきましょう。
目次
フルタイム就労=正社員ではない

障害者雇用で働く上で、フルタイム就労=正社員ではないことは踏まえておきましょう。
なんでいちいちそんなこと確認するの?
相談者の中には、まれに「フルタイム=正社員だ」という勘違いして就活される方がいるからです。違いが分かっている方は読み飛ばしてもOKですよ。

正社員は無期契約の社員として、はじめからフルタイムで勤務をする社員です。ご存じの通り、(会社によって)ボーナスももらえますし、福利厚生をフルに使うことが出来ます。
対して、それ以外の雇用契約はすべて非正規の社員となります。契約社員を準社員などと呼ぶ会社もありますが、基本的に労働規約では「正社員とそれ以外」の区分しかありません。
フルタイム社員とは「決められた定時をフルで働く社員」ということを指す言葉でしかありません。契約社員やパートであっても、フルタイムで働いている方はいます。つまり、フルタイム=正社員を指すということではありません。
じゃあフルタイムでもボーナスとかをもらえるわけじゃないんだね…
たしかに正社員よりは条件が劣るかもしれませんが、それでもパート社員よりは条件が手厚いですよ!
フルタイム就労は必ずしも正社員ではありませんが、それでもパート社員よりメリットが大きいです。
近年は、同一労働同一賃金の原則により、正社員と同等の仕事をしていれば同じだけの給与がもらえる会社が多くなりました。それだけでなく、勤続5年目以降は本人からの申し出により、無期雇用への転換ができるようになりました。
障害者雇用であっても、昔よりも正社員とそれ以外の社員の格差は確実に埋まりつつあります。
障害者雇用のフルタイム就労で働くための方法

それでは、障害者雇用でフルタイム就労をするための方法をまとめていきます。
①求人紹介先を確保する



1つ目の障害者雇用でフルタイム就労をするための方法は、求人紹介先の確保です。
障害者雇用求人はハローワークで探していくのが一般的な方法です。しかし、ハローワーク求人の場合は就業場所が管轄の区域に偏りがちな傾向があります。
障害者雇用でフルタイム求人を探す場合は、障害者雇用専門の転職エージェントと併用すると、希望求人が見つかりやすいです。
転職エージェントには広く求人を取り揃えている総合型と、テーマ別の求人がある特化型の2種類があります。パーソルが運営しているdodaチャレンジや、ゼネラルパートナーズ運営のatGPが有名です。
積極的な求人開拓や、長期間同じコンサルが担当してくれるランスタッドもエージェントとしてはオススメです。
詳しくは以下の記事をご覧ください。
→障害者雇用でホワイト企業に就職したい方にオススメする転職エージェント3選
②フルタイムで働けるだけの体力を身に着ける
2つ目の障害者雇用でフルタイム就労をするための方法は、フルタイムで働けるだけの体力を身に着けることです。
体力って働いた後に重要なことじゃないの?
いいえ、働く前から必要な要素ですよ。
体力(身体・精神面)は、採用段階から重視されるポイントです。
というのも、企業が障害者雇用を行う背景には法定雇用率の存在があります。令和3年10月時点で全社員の2.3%の障害者を雇用しなければならないとされています。
つまり、法定雇用率を満たすためにも、障害者社員には、健常者社員以上に辞めてほしくないと言う会社もあります。
「法定雇用率のためか…」と思うと、残念かと思いますが、あなた自身の価値は入社後に示せば問題ありません。
そのためにも、フルタイム就労で働けるだけの体力があるかどうかを自分でも確認しておきましょう。特にフルタイム就労であれば体への負荷もかかるため、より厳しくチェックされると思っておいた方が良いでしょう。
体調を整えることは気休めではなく、フルタイム就労を行う上で必須のポイントになります。
③ゆずれない配慮点を決めておく
3つ目の障害者雇用でフルタイム就労をするための方法は 、ゆずれない配慮点を決めておくことです。
配慮点とは、通院時に休みをもらえるようにする、入社して数か月は慣れるために時短勤務にしてもらう…などの就業上、障害に配慮してもらいたいポイントを指します。
フルタイム就労であっても障害者雇用である以上、障害への配慮はしてもらえます。そのためには、どんな配慮をしてもらいたいかを事前に決めておくことが必要です。
採用時に不利になると思い、配慮点を伝えることを不安に感じる方は要注意です!
というのも、障害者雇用として応募している以上、配慮してもらいたい何かしらの事情があるはずです。配慮点を伏せてしまう場合、自分の中で悩みをため込みがちになり、会社を退職するのではないかと思われてしまいます。
障害者雇用に慣れている会社ほど、危うさを感じさせてしまうでしょう。有利になることを狙った発言が、かえって不利につながる典型的なケースです。
配慮点を伝える=不利になることではありません。しっかり面接前に整理しておきましょう。
配慮点の整理方法は以下の記事で紹介しています。ぜひご覧ください。
→障害者雇用で合理的配慮を得る方法教えます【知らないと危ないです】
④支援機関を活用する
4つ目の障害者雇用でフルタイム就労をするための方法は、支援機関を活用することです。
支援機関とは、障害者雇用で働く際に、障害者と企業の間に介入して職場上の環境調整を行ってくれる機関を指します。
各地域の障害者就業・生活支援センターや就労移行支援事業所などが該当します。
支援機関を活用すると以下のメリットがあります。
- 面接同行を通して、フルタイム就労をする上での配慮点を伝えてもらえる
- フルタイム就労をする上で必要な課題などをフィードバックしてもらえる
- すでに働いていても、フルタイムを希望していることを、本人と共に企業へ伝えてもらえる
- フルタイム就労をした後の社内課題に対して、相談にのってもらえる
すでに入社しているかどうかを問わず、フルタイム就労で長く働く上でのサポートをしてもらえます。特に就労支援事業所はビジネスマナーなどの訓練を通して、会社への見学・実習の機会をもうけてくれます。
長いスパンで就職活動をしていきたい方は利用を検討してみてください。
→【2021年版】障害者雇用就職で後悔しないための就労移行支援事業所オススメ3選【現役支援員が解説】

障害者雇用のフルタイム就労のメリット

次に障害者雇用でフルタイム就労をするメリットを紹介していきます。
①キャリアアップの足掛かりになりやすい
1つ目の障害者雇用でフルタイム就労をするメリットは、キャリアアップの足掛かりになることです。
正社員を目指している人にとって、フルタイム就労は少々物足りないという方もいるかもしれません。しかし、障害者雇用からであっても、正社員への登用は可能です。
能力があること、継続して勤務できる自己管理ができることを認められれば、正社員にチャレンジできる会社も増えてきています。
そのための証明として、フルタイム就労はもってこいなんです。
障害者雇用の場合、体力面に負荷がかかって会社を休職・退職することを会社は恐れる傾向にあります。長い時間働くことが出来れば、能力・体力両面で十分に仕事ができることを示すことが出来ます。
正社員狙いの方は、キャリアアップの足掛かりとして、まずはフルタイム就労からスタートするのも選択肢です。
②収入が増える
2つ目の障害者雇用でフルタイム就労をするメリットは、 収入が増えることです。
当たり前の話ですが、パートタイムよりもフルタイムの方が収入は増えます。障害者雇用は最低賃金からスタートの求人も多いため、どうしても収入面で不安が生じがち。
長い時間働くことで収入が増える点はメリットとして見逃すことはできませんね。
障害者雇用の給与相場は知っておくべき知識です。以下の記事で特集していますので、チェックしてみてください。
→【必見】障害者雇用の給料実態を調査!健常者との差は○万円!収入差の理由や年収アップの方法を紹介
③周りからの評価が上がる
3つ目の障害者雇用でフルタイム就労をするメリットは、 周りからの評価が上がることです。
障害者雇用であっても同僚同士、仲間であることは変わりありません…と言いたいところですが、働く時間や仕事の中身が違うと連帯感は生まれづらいです。
どうしても”障害者雇用社員として”頑張ってくれているというフィルターがかかってしまいます。越えそうで超えられない壁のようなものを感じる人もいます。
フルタイム就労であれば、正社員と同じ勤務時間帯になるため、業務内容も含めて一般社員との関わりが生まれやすくなります。
仕事をこなしていくことで、障害者云々ではなく、”欠かせない戦力として”頑張ってくれているという評価へ変わっていきます。
お金も大事ですが、こうした周りから信頼されている評価は、仕事をする上では嬉しいものです。特に仕事へのやりがいを求めている人には見逃せないメリットです。
フルタイムで働けていても振り返りは必ずしよう!

最後に重要なポイントとして、障害者雇用でフルタイム就労をしていても、振り返りは定期的にしていきましょう。
フルタイムで就労できている場合、自分も他人も順調だと思い込んでしまい、体調不良のサインを見逃しがち。
— エドガワ@障害者ワークナビ管理人 (@edo_work_navi) October 30, 2021
うまく働けていても定期的に自己点検をしておくに越したことは無いです。#障害者雇用
フルタイム就労が順調に続いた場合、良くも悪くもその状況に慣れてしまいます。体調やモチベーションの振り返りがおろそかになり、少しづつ体調変化に気づきにくくなります。
本来あってはいけないのですが、支援機関ですら見過ごすことも珍しいことではありません。それくらい微妙な変化であるとでも言えば良いでしょうか。体調不良になった時に、「まさかあの人が!?」という驚きが生まれます。
そのため、いかに順調には働けていても、定期的に社内の担当者、主治医、支援機関などと体調の振り返りをしておくことを勧めます。
多角的なフィードバックを受けるために、複数の違う立場の方と振り返りをすることをオススメします。
まとめ
- フルタイム就労=正社員ではないが、正社員を目指す上での足掛かりにもなる
- 体調・配慮点の整理、支援機関や転職エージェントを活用するとフルタイム就労しやすい
- フルタイム就労をすることで金銭面、精神面に良い影響がある
- どんなに順調に仕事ができていても定期的に振り返りの場をもうけた方が良い
いかがでしたでしょうか?
一概にフルタイム就労といっても、良い条件の会社を見つければ良いわけではありません。事前に整理したりリサーチしておくべきことがあることがわかったかと思います。
今回の記事を参考に、悔いのない就活をしていくことを願います!