精神保健福祉士の仕事に興味があるんだ。でもネットとかで「やめたほうがいい」と言われているから不安だなぁ
精神保健福祉士は専門職であるため憧れる人が多い反面、現実とのギャップでアレルギーを起こす人が多いですね。しっかり実態を理解しておけば問題ありませんよ。
精神保健福祉士は医療・福祉現場を中心に、精神障害者の専門援助を行うために制定された国家資格です。福祉の専門職として、福祉業界志望の方にとっては憧れの一つとされています。
一方、待遇を目の当たりにして辞めていくという人も現実問題存在しています。今回は、なぜやめたほうがいいと言われてしまうのか?それでも精神保健福祉士の仕事をやっていてよかったと感じることを、現役のPSWである筆者が解説していきます。
この記事を見れば知ることができること
- 精神保健福祉士はやめたほうがいいと言われる理由
- 精神保健福祉士になることのメリット
- 精神保健福祉士になったことによる仕事観の変化
それでは一つずつ見ていきましょう。
目次
精神保健福祉士はやめたほうがいいと言われる理由

さっそく、精神保健福祉士はやめたほうがいいとされる理由を見ていきましょう。
ちなみに筆者(エドガワ)は民間企業から障害者就業・生活支援センターに転職後、数年間勤務した後に精神保健福祉士を取得しました。業務としては障害者の就労支援をしています。
①年収が低いから
1つ目の精神保健福祉士はやめたほうがいいと言われる理由は、年収が低いからというものです。
精神保健福祉士の平均年収は男性で403万円、女性が321万円とされています。
令和元年度の国税庁調査によれば、40代前半は男性が582万円、女性が318万円の平均年収とされています。精神保健福祉士そのものに限定すれば、差は顕著(特に男性)であると言わざるを得ません。
理由として、精神保健福祉士は医療・福祉分野に就職先が偏っていることが関係しています。
精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会によると病院・診療所で42.5%、福祉サービス事務所で21.3%と実に60%以上が医療・福祉分野に就職しています。
福祉分野は他業種と異なり、どうしても平均年収が低くなる傾向にあります。就職先の業界の平均年収が低いことで、精神保健福祉士=低年収というイメージが固着していることがわかります。
精神保健福祉士自体が冷遇されているわけではないということです。企業内のPSWとして活躍していて高年収な方もいますよ。
②難しい障害者ともかかわらないといけない
次の精神保健福祉士はやめたほうがいいとされる理由は、難しい障害者ともかかわらなければいけないからというものです。
え?精神保健福祉士って障害者の支援が仕事でしょ?障害者とかかわることを希望している人が多いんじゃないの?
予想を上回るほど難しいケースを抱えて支援に疲弊することが理由とされるようです。
精神保健福祉士志望、特に現役の学生だと支援に対してクリーンなイメージ(人助け、生きがいづくり)を持ちがちです。
しかし、実際の障害者支援は金銭や虐待問題、認知のゆがみによる支援者へのクレームなど、生々しい問題ともかかわらなければなりません。障害者と向き合う内にイメージとのギャップでバーンアウト(燃え尽き症候群)になってしまいがちです。
バーンアウトは支援職には特に多いとされており、支援職員の定着における命題とも言われています。メンタルを取り扱う専門職こそメンタルヘルスが重要ということです。実際に私の周りでも支援歴が長いはずなのに、精神的な不調で休職になった方々も数多く見てきました。
難しい障害者ともかからないといけない→バーンアウトになりやすい→離職や休職という構図が、精神保健福祉士のイメージにもつながってくると推察できます。
③支援と関係ない仕事もやらされる
3つ目の精神保健福祉士はやめたほうがいいとされる理由は、支援と関係ない仕事もやらされるというものです。
職場にもよりますが、支援と関係ない事務処理(書類作成・議事録作成)などが挙げられるでしょうか。あまりに事務仕事が多いと、「専門資格って聞いたのに、支援と関係ないことばかりやらされてる!」と不満を抱えがちになるのもうなづけます。
ただ、一つ伝えておきたいのは専門資格取得=資格業務以外やらなくて良いという免罪符にはならないことです。
私自身も、支援記録作成、行事の運営や外部との連絡調整など、支援業務以外のことを行うことが多いです。むしろ時間で言えば支援以外のことをしている時間の方が多いとすら言えます。
それでも私が仕事をし続けているのは、全部ひっくるめて障害者支援や自分の能力アップにつながっている感覚があるからです。障害者支援の仕事は自分の人生経験や蓄積された経験をフル活用して行うものです。レベル1のまま支援を重ねていても、大きなレベルアップは見込めません。
そのため、支援業務以外のことも積極的に行う姿勢がないと精神保健福祉士はおろか、福祉職を続けていく上でのモチベーションを保つのも危ういでしょう。
こうしたことを踏まえずに専門職へのあこがれだけヒートアップしていると、仕事にギャップが生まれがちになります。
精神保健福祉士でも支援以外のことをやらなくちゃいけないんだね。
ちょっと厳しいことを言うようですが、社会人である以上、自分の望む仕事だけできると思わない方が良いかもしれません。もちろんブラックな職場であるなら話は別ですが。
精神保健福祉士になって良かったと思える3つの理由

それでは、精神保健福祉士になって良かったと思える理由を紹介していきます。
年収は高くないし、関係ない仕事や難しいケースも任されるって聞くとあんまり良いイメージないんだけど…
それでも精神保健福祉士は民間企業では得られなかった多くのメリットがありましたよ!
①横のつながりができる
1つ目の精神保健福祉士になって良かった理由は横のつながりができることです。精神保健福祉士というより、福祉業界全般に言えることもかもしれませんね。
精神保健福祉士は障害者に多角的な支援をはかるため、他の支援機関とも積極的に関係性を構築する必要があります。たとえば私は就労支援を担当しているため、医療や生活支援が必要な対象者がいた場合は、別事業所へのコーディネートを行っています。
このように精神保健福祉士は横と横とのつながりを日ごろから構築するために、飲みニュケーションや合同研修などが盛んにおこなわれています。
民間企業に勤めていたころは社内政治が盛んで、社外とのつながりは全くと言っていいほど皆無でした。社外=競合(敵)という価値観が一般的だったため、全体的に閉鎖的な環境でした。
そのため、民間企業からの転職した時には良い意味でカルチャーギャップがあり、とても驚いたことを覚えています。周りの人と助け合うことで対象者だけでなく、自分自身も心に余裕が生まれたことは、精神保健福祉士業務をしていなければ感じられない喜びでした。
②支援という仕事にやりがいをもてる
次に精神保健福祉士になって良かった点は、支援という仕事にやりがいを持てたことです。
私が以前勤めていた企業は高齢・医療福祉関係でした。有料老人ホームを運営している企業だったため、新規利用者が来た場合、「要介護4だ!月利益これくらい上がるからラッキー!」といった具合に利用者を数字として見がちだったのを思い出します。
数字はノルマを達成する道具として扱われ、「福祉って何?」という気持ちに苛まれがちになりました。今だったら完全にモラハラ案件になるようなケースも目にしてきました。
しかし、転職してからは状況が一変。対象者と真正面から向き合うことが良しとされるようになりました。社内政治といった無駄な文化にとらわれることはなくなりました。本当の意味で仕事に向き合えるようになったと言えるかもしれません。
「自分が頑張れば頑張る分だけ誰かが苦しむ」から「自分が頑張れば頑張る分だけ誰からの役に立つ」に変わったわけですから、やりがいを覚えるのは当然かもしれませんね。
③スキルが上がればキャリアアップも可能
次に精神保健福祉士になって良かった点は、スキルが上がればキャリアアップも可能であるということです。さきほど精神保健福祉士は年収が低めと紹介しました。
とはいうものの、結局のところ年収の差異はどこに就職するかで決まってきます。キャリアアップの制度が整っている企業であれば、精神保健福祉士取得者であることを考慮してもらい、専門的な業務に就かせてもらうことも可能です。
良く見聞きする例としては大手民間企業の障害者の採用・雇用担当などが挙げられます。精神保健福祉士を取得していれば、福祉経験者であると評価してもらい、キャリアアップもしやすくなります(もちろん相応の実務経験も必要になりますが)。
再就職をする際も就職の幅が広がるため、取っておいて損はない資格と言えます。
精神保健福祉士の業務を通して、やりがいを持てることの幸せを知った

精神保健福祉士業務をするまでは、仕事にやりがいを持つことは都市伝説だと思っていました。
しかし、支援という仕事は答えが無い分、奥深さがあり、何より飽きません。人によって千差万別の答えや形があるため、とてもやりがいを持つことができます。
こうした仕事でのやりがいは人生に張りを与えてくれます。昔よりサザエさん症候群にもなりにくくなりました笑
仕事=辛いものでしかないという方は、ぜひオススメしたい仕事でもあります。
精神保健福祉士を取って良かったと思える理由は以下の記事でも紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。
→精神保健福祉士は役に立たないと言われる理由、取って良かった理由を紹介【現役PSW解説】
また、資格の勉強法は以下の記事で紹介しています。
→【2022年】精神保健福祉士の勉強法解説!最短3か月で誰でも働きながら合格可能!
まとめ
- 精神保健福祉士は低年収・難しい・関係ない仕事もやることが多いという理由から敬遠されがち
- 精神保健福祉士は横のつながりを持てたり、キャリアアップが可能であるメリットがある
- 精神保健福祉士の仕事はやりがいを得やすく、人生に張りを与えてくれる
いかがでしたでしょうか?
精神保健福祉士は仕事への価値観を変えてくれたと言う意味で、私にとっては大きなターニングポイントになったと思います。
取得するまでは実務経験や通信教育などでの履修経験を積む必要があります。もし興味がある方は以下の記事でわかりやすく解説しています。ぜひご覧ください。
→精神保健福祉士の受験資格が3分で丸わかり!現役PSWがパターン別で解説してみた!
コメント