障害者雇用で書類選考用の履歴書と職歴書を作る予定なんだ。どうやってつくったらいいかわからないんだけど…
障害者雇用の場合は、障害特性・配慮事項などを書き加える必要があります。ポイントを整理していけば書類選考を突破する確率を上げられますよ♪
障害者雇用において、履歴書・職務経歴書の出来栄えはその後の働きやすさにも直結する大事な書類です。どういったポイントに気をつけて作成すべきかを、今まで数十人の書類添削を行った筆者が、支援員目線で解説していきます!
この記事を見れば知ることができること
- 障害者雇用における履歴書、職務経歴書の役割
- 障害者雇用での履歴書の書き方
- 障害者雇用での職務経歴書の書き方
それでは一つずつ見ていきましょう。
目次
障害者雇用における履歴書・職務経歴書の役割
まずは障害者雇用における履歴書・職務経歴書の役割を確認しておきましょう。
役割・立ち位置がわかると、作成するときの向き合い方が違ってきます。ズバリ、障害者雇用における履歴書・職務経歴書は、自分の障害と向き合うための行動・考えができているか、情報整理ができているかを確認するための資料として用いられます。
具体的には以下の通りです。
行動面→(中途採用の場合)前職の退職理由となった出来事を繰り返さないための自己研鑽や体調管理をしているか(ex体調不良での離職の場合はしっかり通院をできているか、就労移行などに通所してブランクをうめるための実績や訓練を積んでいるか)
思考面→志望動機などに無理が無いか、(訓練も含めた)実績が無いのに難易度の高い職種にチャレンジしていないか
情報整理→障害への配慮事項が整理されている、一方的な無理な物言いになっていないか
特別支援学校から就職する新卒採用でもない限り、中途採用で障害者雇用に臨む人が多いと思います。採用担当者がチェックするのは、前職退職後から応募するまでの間に適した準備をしているかという点に集約されます。
障害者雇用であっても、採用担当者は障害のプロではありません。採用担当者自身も内心で不安を抱えていることは少なくありません。
採用後も問題なく働けることを示すため、適切な準備をしてきたことをメッセージとして残すのが、障害者雇用における履歴書・職務経歴書の役割となります。
相手の安心感を与えられる出来になっているかってことね。といっても難しいなぁ、そもそも不安を抱えているのはこっちだっていうのに…
ポイントを絞っていけば作成しやすくなりますよ。これから解説していきますね。
履歴書の書き方
それでは実際に障害者雇用における履歴書の書き方を見ていきましょう。
今回はL活のテンプレートを参考資料として活用しています。PCを使える人ならば、応募書類はぜひテンプレートサービスを使った方がオススメです。すぐに修正できるので、書類のブラッシュアップがしやすいです。
基本情報

①日付
履歴書の日付は手渡しの場合は提出年月日、郵送の場合は投函日を記入しましょう。
②生年月日
履歴書の書式に従って西暦か和暦のどちらかで書きましょう。西暦・和暦は職務経歴書も含めて、どちらかに統一して書くようにしましょう。
③証明写真
概ね3か月以内に撮影した写真を貼り付けることが望ましいとされます。1年以上前のものを使いまわすなどは辞めましょう。案外だいぶ前に撮ったかどうかはわかるものですよ笑
撮影する際はスーツで撮るようにしましょう。スピード写真でも構いませんが、お金に余裕があるのであればスタジオで撮ることをオススメします。
④E-Mail
メールアドレスを記入してください。近年はメールでの選考のやり取りも主流になってきました。Gmailなどのフリーで使えるメールを作成しておくようにしましょう。
⑤現住所
都道府県から正確に書いてください。建物名・部屋番号も忘れずに記入してください。
学歴・職歴

学歴
学歴は中学校卒業時から書くようにしましょう。中学校卒業までは留年などによる空白が生じにくいため、中学卒業時から書くのが通例とされています。大学・専門学校は学部学科名まで書くようにしましょう。
職歴
職歴欄は学歴から一行空けて書くようにしましょう。社名で留めても良いですし、部署名まで書いても構いません。もし入社した時と現在とで社名が変わっていれば、社名の後に「(現 〇〇コーポレーション)」などと書くようにしましょう。
就労継続支援A型事業所も職歴に含まれるため、利用していた人は書くようにしましょう。就労継続支援A型については、以下の記事をご確認ください。
→就労継続支援A型から一般就労へステップアップ!福祉と一般企業のハイブリッド的存在を徹底解説してみた
福祉サービス利用歴
退職後、就労移行や訓練校などに通っていたという方はその期間を単なるブランクと捉えられたくない方は多いです。せっかく通所しているのであれば、「福祉サービス利用歴」という枠組みを作り、通所している事業所の名前を書いてみましょう。
勝手にそういう枠をもうけて書いちゃってもいいの?
今まで何人もの履歴書を添削しましたが、それが原因で選考に落とされたという方は一人もいませんでした。むしろそのことに触れてもらい、話がふくらむことの方が多かったですね。
免許・資格

免許・資格は略称ではなく、正式名称で書きましょう。また、同一資格の場合、より上位の資格・点数を書くようにしましょう。たとえば、TOEICを複数回受けていれば、より高い方の点数を書くといった具合です。
志望動機

志望動機は多くの人が悩むポイントです。それというのも、意中の会社が初めから決まっている人が少ないからです。
志望動機は以下のような二段構えで構成していくと作成がしやすいです。
①職種への志望動機を書く
正確性を活かせると思った、前職でも経験があり能力を活かせると思ったなど、自身の特性や経験に基づいて、なぜその職種で働きたいと思ったかを前半部分で書いていきましょう。
②その職種の中でもなぜその会社に興味を惹かれたかを書く
職種への志望理由を踏まえたうえで、なぜその会社を選んだかを考えていきましょう。高い確率で面接でも聞かれることです。
会社への志望動機はホームページなどで社風などを見て、志望動機に落とし込むのが一般的です。もし見学や説明会などで実際に会社の様子を知る機会があるなら、ぜひ活用してみましょう。
見学・説明会については、求人紹介元の転職コーディネーターや支援機関などに相談してみても良いでしょう。
ともあれ「職種への志望動機を書いてから会社に惹かれた理由を書く」がオススメの書きかたです。志望動機がリアルなものになり、自分自身でも腑に落ちやすくなります。
本人希望記入欄

本人希望記入欄には、通院日の配慮、勤務場所など障害に関わる勤務条件の配慮事項を書いていきましょう。
また、契約条件に直接関係しない業務上の配慮(メモを取る時間をもうけてもらうなど)は職務経歴書に書くようにすると、書面上でのすみ分けができて、わかりやすいです。
職務経歴書の書き方
次に職務経歴書の書き方を解説していきます。
職務経歴書はDODAチャレンジのテンプレートを参考資料として活用しています。DODAチャレンジは職種別の職務経歴書テンプレートがあるので、ぜひ活用してみましょう。

職務要約
職務要約はどのような仕事に取り組んできたかの概要について記入していきます。どのような成果・評価があったかは自己PRに書くようにして、職務要約はあくまで業務概要に留めた方が見やすいです。

職務経歴
①企業情報
テンプレートの内容を基に、事業内容、資本金などを記入していきます。ほとんどの情報は企業HPから得られると思います。どうしても不明な場合は省いてしまっても、選考には大きく響きません。
雇用形態も併せて書いておきましょう。
②業務内容
業務内容は箇条書きにして書いていくと良いでしょう。書く順序に正解はありませんが、たずさわる頻度の多い主業務から書き始めるのが良いでしょう。
③主な取り組み
主に担当してきた業務と成果について書いていきましょう。主だった成果が無ければ、どういう目的の元でその業務を行ったか、どのような心構えで取り組んでいたかを書くと良いでしょう。
スキル・自己PR

スキル
スキルの欄をもうけて作成するかは経験した職種と応募先の職種にもよります。たとえば、前職も応募企業も同じ事務系というのであれば、PCスキルなどの関連スキルは書いておくと良いです。
ただ、応募先が全く畑違いの職種の場合、書いてもプラスに働くことは少ないです。その分、自己PRや障害特性についての記述を膨らませることをオススメします。
自己PR
自己PRは志望動機と同様、内容に頭を悩ませることが多い箇所です。
一番楽な方法は数値的な成果があれば、それを社内データと比較してどれだけの成果であったかを示すやり方です。自分の業務で昨年度〇〇パーセント以上の営業利益を出すことができた…などですね。
そんな実績ないよ…どうすればいいの?
安心してください、数値的な成果がある人の方が少ないですし、無くても問題ありません。
もちろん成果があるに越したことはありません。しかし、ほとんどは数値的な成果を残していないことがほとんどです。
というのも、障害者雇用は前職で身体的・精神的にミスマッチングを起こした方が応募者のボリューム層です。能力を発揮する前に退職の憂き目にあった方が多いため、自己PRや自分の長所を口頭で伝えられないという方はよく目にしてきました。
そういった方は自分がどのような心構えでその業務に取り組んできたかを中心に書くようにしましょう。その際に、仕事ぶりについて他者から良いフィードバックをもらったことがあれば、書き添えておくと現実味が増す自己PRになります。記入例を参考に書いてみてくださいね。
また、短期離職で書くことがほとんどないと言う場合には、仕事以外で現在や過去に取り組んできた事柄や他者評価を書くと良いでしょう。
何を成し遂げたかというより、「自分がどんな人柄か知ってもらう」という視点が大事です。
障害について

最後に障害特性と配慮事項を書いていきましょう。どのような障害特性や疾病があるかを書いた後に、現在働ける状態にあることを現状と共に記入していきます。
そのうえで、どのような配慮点があれば能力を発揮しやすいかというアプローチで配慮事項を書いていきます。注意点としては、一方的すぎるお願いや抽象的な配慮の伝え方にならないことです。
たとえば、「統合失調症をわずらっているので、病気にご理解ください」と書いたとしても、どこまでが求めていることなのか、どう接してほしいかが人によって解釈が分かれてしまいます。
もし選考に通過できても、入社後のトラブルになりかねるポイントになります。第三者と相談しながら、配慮事項を組み立てていくことをオススメします。
配慮事項の組み立てに関しては、以下の記事を参考にしてみてください。
→障害者雇用で合理的配慮を得る方法教えます【知らないと危ないです】
障害者雇用での書類添削はハローワークで受けることができます。ハローワークのサービスは以下の記事を見てみてください。
→【2021年版】障害者雇用求人を探すならハローワークへ必ず登録しよう!誰も言わないメリット教えます
履歴書・職務経歴書の作成でよく聞かれること
最後に履歴書・職務経歴書を添削する際に、私がよく質問を受けることについて紹介していきます。
書類送付の時に添え状は必要?
添え状が無くても選考に大きくマイナスがはたらくということはありません。とはいえ、添え状はあって困るものではありません。悩むくらいなら作ってしまった方が良いでしょう。
PCがあれば作成もそこまで時間はかかりません。履歴書・職務経歴書同様、テンプレートサービスを使って手っ取り早く作ってしまいましょう。
参考:ビジネステンプレート
書類を作るときは手書きの方が良い?
手書きであってもPCであっても構いません。手書きの方が心がこもっているという見方もできますが、この仕事に携わって10年近く経ちますが、そういった会社は見受けられないです。
ただ、手書きの場合は必ず直筆で書くようにしてください!知的障害を持っていて漢字をきれいに書けないという方の場合、たまに保護者が代筆しようとするケースがありますが、これはNGです。
綺麗に見えるかどうかが大事ではなく、本人が自分で考えて書くことが大前提です。家族であっても第三者が書くとそれこそマイナス印象になってしまうのでご注意ください。
職歴が多すぎる場合はどうすればいいの?
職歴が多すぎて職務経歴書に書ききれないという人から相談を受けることも多いです。
もし紙面に収まらない場合は、いくつも職歴が書けるタイプの職務経歴書テンプレートを活用してみてください。

その分、一社ずつの記述量が減ってしまいます。アピールしたい職歴がある場合はいくつか職歴を抜粋してオーソドックスな書式で書いても良いでしょう。
当然ですが、履歴書には職歴は省かずに書くようにしてくださいね。
まとめ
- 障害者雇用における履歴書・職務経歴書の役割は、自分の障害と向き合うための行動・考えができているかを相手に示すもの
- 履歴書・職務経歴書はテンプレートサービスを活用して効率的に書く
- 他者評価を織り交ぜ書くことにより、自己PRや障害特性の説明が現実味を増した記述になりやすい
いかがでしたでしょうか?
履歴書・職務経歴書はいつの時代もどう書くか頭を悩ませるものです。しかし、一度ひな形さえできてしまえば、受ける会社が変わっても使いまわすことができます。
何より、自分の志望の仕方や相手への障害の伝え方にも最低限の型ができます。つまり、書けば書くほど、面接選考にも良い効果をもたらすことができます。
今回の記事を参考に、ぜひ作成にチャレンジしてみてください。
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