市役所に行ったら生活の相談先として基幹相談支援センターっていうところを紹介されたんだ。どんなところなの?
基幹相談支援センターは地域の相談支援拠点としての役割を持った生活面の支援機関です。私のような就労支援者にとっても連携先としてかかせない存在です!
基幹相談支援センターは各地域に設置された生活支援機関です。高い専門性で幅広く生活面の相談に乗ってもらえる支援センターです。
困ったときの相談先として、ぜひ基幹相談支援センターはどんなところかを知っておきましょう!
この記事を見れば知ることができること
- 基幹相談支援センターの概要(役割、利用対象者など)
- 基幹相談支援センターのサービス内容
- 他の支援センターとの関わり
それでは一つずつ見ていきましょう。
目次
基幹相談支援センターとは?

基幹相談支援センターは、市町村が任意で設置できる障害者の相談支援機関です。
一般的な相談支援に加え、地域における相談支援事業所などに対する専門的指導・助言、情報収集・提供、人材育成支援、地域以降に向けた取り組みなどを実施することで、相談支援機能の強化を図ることを目的としています。
なんか小難しそうだけど、結局どういうところ?
一つずつ解説していきますから全部覚えなくて大丈夫ですよ、ひとまず下記の点だけ抑えておけば十分です
基幹相談支援センターとは
- 市町村が設置できる生活面の相談センター
- 地域の相談支援機関の中核(基幹)的な役割を担っている
役割
基幹相談支援センターは先ほど述べた通り、地域の中核的な役割を担う重要なセンターです。
個別支援に関しては、障害者の生活相談先として、総合相談窓口の機能を担っています。近年、就労、家庭内虐待、生活困窮、住まいなど、障害者の生活面の課題は多様化しています。
単一ならまだしも、一人で複数のカテゴリーの生活課題を抱えている人も少なくありません。そうした生活面の困難事例を横断的に相談に乗ってくれるのが基幹相談支援センターの重要な役割の一つです。
もう一つの役割として自立支援協議会の運営が挙げられます。
各関係機関を招集して、地域のネットワーク構築や地域の実情に応じた体制整備を行うという役割もあります。
個人レベル・地域レベルどちらにおいても中核的な役割があるということですね。
利用対象者
基幹相談支援センターの利用対象者は、センターが設置されている市内在住の障害(疾病)のある方及びそのご家族、地域の方、関係機関などが対象です。
年齢や障害種別、障害の診断の有無は問わないことがほとんどです。
なお、令和3年3月時点では、基幹相談支援センターは 45%(778 市町村・946 箇所)の市町村が設置されているとされています。ご自身のお住まいの市に基幹相談支援センターが設置されているかは市役所のHPなどでチェックしてみてくださいね。
じゃあ半分の市は設置されていないってこと?もし基幹相談支援センターが設置されていなければどこに相談すればいいの?
基幹相談支援センターが設置されていない場合は、指定一般相談支援事業所への相談をオススメします。
相談支援事業所は一般相談と特定相談の二種類があります。前者の一般相談は生活面の多種多様な相談を受け付けてくれます。基幹相談支援センターと役割が似ているため、障害者や家族、支援機関もアプローチしやすいです。
なお、特定相談はすでに使いたい福祉サービスが決まっている方に対して支援計画を作成したり、各種相談に乗ってもらえる支援機関です。
とはいえ、数ある相談支援機関のうち、どこが一般相談・計画相談かは区別がつきづらいと思います。一般相談支援を行う事業所がどこかはお住まいの自治体の障害福祉課などで問い合わせると良いでしょう。
職員配置
基幹相談支援センターの職員配置は以下の通りです。
- 主任相談支援専門員
- 相談支援専門員
- 社会福祉士
- 精神保健福祉士
- 保健師
配置とはいっても義務付けられているものではなく、あくまで推奨されている人員配置です。
福祉の世界に身を置いているからこそ言えますが、相談支援は経験がものを言う世界です。どんな資格を持っているかよりも、支援員の人柄や接し方が自分と合っているかの方が重要と言えます。
経験の深い支援員は、「障害年金申請には〇〇病院の方がスムーズにいきやすい」、「就労の相談なら〇〇センターと連携を取っておいた方が後々良い」など、経験に基づいたネットワークや情報に精通しています。
同じ支援員として私も勉強になるほどの情報量や支援感覚を持っている人も少なくありません。

基幹相談支援センターのサービス内容
次に基幹相談支援センターのサービス内容について一つずつ見ていきましょう。
総合相談・専門相談
基幹相談支援センターの代表的なサービス内容として、総合相談・専門相談が挙げられます。
すでに述べた通り基幹相談支援センターは地域のワンストップ相談窓口として、多種多様な相談に乗ってくれます。以下がよくある相談内容です。
- 手持ちのお金が少なくどうしたらよいかわからない
- 体調がすぐれないけれど、このまま家にいたくない
- 子供が引きこもっていてどう対応したらよいかわからない
- 親から虐待を受けていて困っている
上記はあくまで一例です。緊急性が高かったり、一朝一夕ではいけない困難ケースも多いです。
また、複数のカテゴリーに問題がまたがっていることもあり、支援には高い専門性が求められます。基幹相談支援センターはそうした相談にも、どのように対応すればいいかを一緒に考えてくれる支援機関です。
金銭面の確保のための生活保護申請サポートや、虐待防止のための県への通報など、相談者の希望・状況に合わせて対応をしてくれます。
地域移行・地域定着
次の基幹相談支援センターの役割は、各種福祉施設や病院を退院して地域生活を送る障害者の支援です。
地域以降に必要なグループホームなどの住まいの確保や日中生活を送る福祉サービスのコーディネートまでサポート内容は多岐にわたります。こうした取り組みから、基幹相談支援センターは医療機関とのネットワークも密である傾向が高いです。
地域の相談支援体制の強化の取組
次の基幹相談支援センターの役割は、地域の相談支援機関とのネットワーク構築や専門的な支援、助言です。先ほど述べた自立支援協議会などがひとつの取り組み例ですね。
権利擁護・虐待防止
最後の基幹相談支援センターの役割は、障害者の権利擁護・虐待防止です。
障害者差別解消法や虐待防止法により、障害者への差別・虐待は厳しく取り締まられています。差別・虐待に当たる行為を発見したものは通報の義務が生じます。
基幹相談支援センターはそうした通報窓口としても機能しており、事業所内に虐待防止センターを併設しているケースがあります。
該当する行為を発見した方は地域の基幹相談支援センターに相談してみると良いでしょう。
差別・虐待に関しての対応方法などは以下の記事も参考にしてみてください。
→障害者雇用であってもいじめはある【差別を受けたら障害者差別相談センターへ】
他の支援機関との関わり
これまで基幹相談支援センターの役割・サービス内容について述べてきました。
専門性の高いスーパーマンの集団に捉えられる方もいるかと思いますが、マンパワーに限りがある以上、基幹相談支援センターですべてを解決できるわけではありません。
たとえば病状のことは医療機関とのネットワーク・情報共有が必要不可欠です。就労上の悩みであれば、職場訪問が可能な障害者就業・生活支援センターなどの方が効果的に支援ができる場合があります。
そのため、基幹相談支援センターは生活面のハブ的な存在となり、自分たちの事業所ではカバーしきれない点を他の支援機関と連携しながら対応にあたります。
困難性の高いケースを対応する際に日ごろの関係性づくりが活きてきます。「福祉は横のつながりが大事」と言われるゆえんですね。

まとめ
- 基幹相談支援センターは市町村が設置する障害者の生活相談窓口
- 虐待や引きこもりなど、困難性の高い生活面の相談も多く、支援員も専門性の高さが求められる
- 基幹相談支援センターは各支援機関と連携して支援に当たるため、日ごろから協議会などでネットワーク構築を行っている
いかがでしたでしょうか?
基幹相談支援センターは知っておくととても便利な相談窓口です。そんな専門性の高い機関ですら、各種支援機関と相談をしながら支援に当たっています。
障害をお持ちで困りごとを抱えている方は、なおさら他者に相談することを大切にしてほしいと思います。今回の記事をぜひ参考にしてみてください。
コメント