パニック障害を持っているんだけど仕事は続けられるのかな?配慮って受けられたりするの?
パニック障害でも仕事を続けている人はたくさんいますよ!内容にもよりますが、配慮を求めることはできます!
パニック障害は特定の環境下においてパニック発作を引き起こす不安障害の一種です。
パニックといっても発作の出方やタイミング・場面は人それぞれです。今回はパニック障害を持っている方,
パニック障害の方にたずさわっている方向けに仕事を続けていくためのポイントをまとめてみました。
最後までご覧ください。
この記事を見れば知ることができること
- パニック障害の概要
- パニック障害が仕事に差し支えるポイント
- パニック障害に対しての企業への配慮の求め方
目次
パニック障害とは

パニック障害は不安障害の一種です。「パニック」といっても、泣きわめいたりヒステリックな状態になることを指すわけではありません。
多くは焦燥感や気持ち悪さなどの不安症状を伴うことが多いです。
アメリカ精神医学会の診断・統計マニュアル(DSM-5)によると、パニック障害は以下のように規定されています。
パニック発作とは(DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル、医学書院より抜粋)突然、激しい恐怖または強烈な不快感の高まりが数分以内でピークに達し、その時間以内に、以下の症状のうち4つ(またはそれ以上)が起こるものです。
注:突然の高まりは、平穏状態、または不安状態から起こりうる
1)動悸、心悸亢進、または心拍数の増加
2)発汗
3)身震い
4)息切れ感または息苦しさ
5)窒息感
6)胸痛または胸部不快感
7)嘔吐または腹部の不快感
8)めまい感、ふらつく感じ、頭が軽くなる感じ、または気が遠くなる感じ
9)冷感または熱感
10)異常感覚(感覚麻痺またはうずき感)
11)現実感消失(現実でない感じ)、または離人感(自分自身から離脱している)
12)抑制力を失うまたは”どうにかなってしまう”こと対する恐怖
13)死ぬことに対する恐怖
パニック症は繰り返される予期しないパニック発作が起きる場合のみ診断されます。
目黒心療クリニック
動機や発汗などのほか、めまいや嘔吐、死への恐怖感までさまざまであることがわかると思います。
ポイントとしては、タイミングが予期できないということです。いつ発作が起きるかわからないという不安状態を予期不安と言います。発作は防げているものの、予期不安に苦しんでいるという方も存在しています。
タイミングがわからないならお手上げじゃないですか…
タイミングがわからなくても、発作が出やすい場面、状況に傾向があるという方も多いです。
パニック障害は明確にいつ起こるかの予測はつかないものの、発作がでやすい状況に傾向がある場合があります。たとえば広場恐怖症は代表的な傾向の一種と言えます。
広場恐怖症は大型ショッピングモールなどの広いスペースに居続けると、周りから見張られているといった不安感に駆られる発作症状です。
広いことそのものへの恐怖というより、発作が起きた時に助けを求められないといった状況下が不安を増大させると言います。
仕事・日常生活に共通して言えますが、発作が起こりやすい環境を避けることで、発作の頻度も下げることができます。また、心療内科などでの服薬治療も効果的な手段となります。
パニック障害が仕事に差し支えるポイント

それでは、パニック障害が仕事にどのように差し支えるかを見ていきたいと思います。
通勤時の発作
パニック障害が仕事に差し支える代表例として、通勤時の発作が挙げられます。
電車やバスといった一度乗ってしまうと出ることができない場所に対しての恐怖感(広場恐怖)による発作が起きます。当然ですが、通勤時に発作が起きると、その後の仕事に差し支えるばかりか、欠勤といった状況にもなりかねません。
また、退勤時の帰宅ラッシュに巻き込まれることに予期不安を感じる方も数多くいます。そのため、都心部への就業自体に困難を覚え、結果として自身が望む仕事に就くことができないという憂き目にあう場合があります。
業務上プレッシャーのかかる場面での発作
次にパニック障害が仕事に差し支える点は、業務上でプレッシャーがかかる場面で発作が生じることです。
パニック発作は上記の広場恐怖以外にも、業務上、心理的プレッシャーが強くかかる場面においても生じます。たとえば、大勢の社員が注目する中でのプレゼンテーションなどが代表例です。
こうしたプレゼンテーションなどの場面は、自身が話している最中は周囲の目線が自分のみに集中します。もちろん、プレゼン中はその場から中座することもできないため、心理的プレッシャーが強くかかります。
はた目からは、単に苦手なだけと見られがちです。障害理解が得づらいだけでなく、キャリアアップの妨げになる点が障害者にとってはつらい点となります。
パニック障害への仕事上での対応方法

それでは、パニック障害の発作に対してどのように対応をしていけばよいかを見ていきます。
といっても、通勤やキャリアアップに支障が出るなら、色々お手上げな感じがしますが…
障害による発作であるのであれば、企業側は配慮する義務があるんですよ。
パニック障害への業務上への対応としては、ズバリ、企業に合理的配慮を求めることです!
合理的配慮とは

合理的配慮は障害の有無にかかわらず機会均等の場を提供、調整を与えることをさします。
言い換えれば、健常者と障害者の差を無くす(=平等にする)配慮ということです。
配慮をした分、人事考課などで評価が下げられるといったことはありません。あったとしても、不当な評価付けになります。
とはいえ、企業が提供し得るキャパシティーを超えた配慮は”合理的”配慮からは逸れてしまいます。
また、「精神的な症状で苦しんでいるから健常者より給与を上げてほしい」などの申し出は平等以上のものを求めてしまっているため、要求は通りづらいです。
基本的には企業との交渉の上で合理的配慮は成り立つと捉えておきましょう。
さらに詳しいことを知りたい方は以下の記事をご覧ください。
→障害者雇用で合理的配慮を得る方法教えます【知らないと危ないです】
それでは、パニック障害に対しての具体的な配慮事項を紹介していきます。
勤務地を限定してもらう
パニック障害に対しての対応方法として挙げられるのが、勤務地を限定してもらうことです。
広場恐怖が強い方に関しては、家から遠方の勤務地はなかなか通いづらいものです。
ただ、乗り換えが生じなかったり、数駅程度であれば通勤は可能という方であれば、勤務地を家の近くの事業所に限定してもらうといった手段は有効に働きます。
特定の事業所間での勤務に限定さえしてもらえれば、異動が生じる勤務形態であっても安心です。
注意点としては、「全国転勤を原則とする」という勤務形態の場合です。この場合は、全国転勤を前提とする就業条件になっています。場合によっては、就業条件自体を組みなおすといったケースも想定しておく必要があります。
最近ではテレワークを取り入れる企業も増えています。思い切ってテレワーク主体の企業への転職に踏み切るのも一つの選択肢です。
特定の業務を避けてもらう
次にパニック障害に対しての対応方法は特定の業務を避けてもらうというものです。
周囲の目線に晒されるのが苦手という場合には、発表などを伴う業務を避けてもらうと良いでしょう。ポイントとしては、その分、別の仕事を任せてもらうようにすると一方的なお願いという形になりにくいです。
どの業務を避けてもらうかを企業に伝えるには、なによりどの場面でパニック発作が起きやすいかを明確にしておく必要があります。
過去にパニック発作が起きた場面に共通する状況をメモに残しておき、正確な配慮点として伝えられるようにしておくと良いでしょう。
配慮を得るために支援機関をうまく活用しよう

どのように対応すればよいかわかったけれど、一人で企業に伝えられる気がしないよ…
一人では配慮点を伝えづらいという方は、ぜひ支援機関を活用しましょう♪
障害者に対しての就労支援機関を活用すれば、企業への配慮点や自身の障害特性を支援員と一緒に考えたり、伝えてもらうといったことが可能です。
「配慮してほしいと伝えると、ワガママだと思われそうで不安…」という方は少なくありません。実際にそういう考えの企業も残念ながら存在しているのは事実です。
色々な企業に対応した経験のある支援員の力を借りるのは選択肢として検討してみても良いでしょう。
障害者雇用で入社していない会社であっても、後から障害を開示したうえで、会社の許可さえあれば支援機関の訪問は可能です。
地域の障害者就業・生活支援センターでは、すでに入社済みの会社に対しても定着支援を行ってくれます。以下の記事を参考に利用を検討してみてください。
→障害者就業・生活支援センターとは障害者雇用の何でも屋!働くを楽にするためのサービス内容を総まとめ!
まとめ
- パニック障害は特定の環境下においてパニック発作を生じる不安障害の一種
- 広場恐怖やプレッシャーのかかる場面においてパニック発作は発生しやすい
- パニック発作の要因となる通勤配慮や業務配慮を企業に求めることが職場定着のキーポイント
いかがでしたでしょうか?
パニック発作はいかに自分の発作理由に対して、ピンポイントで配慮を求められるかがカギとなります。
支援機関などを活用し、企業と相互理解をしていけば仕事を続けていくことは十分可能です。ぜひ今回の記事を参考にしてみてくださいね。