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大人の発達障害とは「会社組織に適応できない障害」です。対処法を支援員目線で解説!

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最近、大人の発達障害って言葉をよく聞くようになりました。これって結局何なの?

最近はHSPをはじめ、発達障害に目が向けられていますね。大人の発達障害という言葉もそのうちの一つと言えます。

発達障害は近年、ますます注目を浴びている障害です。「自分も発達障害なのではないか?」と漠然とした不安を抱えている人は少なくありません。

発達障害は専門家をもってしても理解が難しい障害の一つです。今回の記事では、実際の障害定義になぞらえて、大人の発達障害がどういったものなのかを紹介していきます。

この記事を見れば知ることができること

  • 大人の発達障害の定義障害名
  • 大人の発達障害で悩んでいる人の対処方法
  • 障害者雇用で働くかを考える基準

それでは一つずつ見ていきましょう。

大人の発達障害の定義

まず大人の発達障害がどういったものなのかを考えてみます。

発達障害の特徴

「大人の発達障害」という言葉こそ独り歩きしていますが、そもそも発達障害がどういった障害かを皆さんは言葉で答えられるでしょうか?

なんとなくコミュニケーションがうまくいかないとか、不注意が多いということは知られているかもしれませんね。

発達障害は厳密には以下のように定義されます。

発達障害は、生まれつきみられる脳の働き方の違いにより、幼児のうちから行動面や情緒面に特徴がある状態です。そのため、養育者が育児の悩みを抱えたり、子どもが生きづらさを感じたりすることもあります。
発達障害があっても、本人や家族・周囲の人が特性に応じた日常生活や学校・職場での過ごし方を工夫することで、持っている力を活かしやすくなったり、日常生活の困難を軽減させたりすることができます。

厚生労働省

ここで重要なポイントは以下の二点です。

発達障害の特徴

  • 行動や情緒面に障害があるものの、障害の出方は人によって異なる
  • 生まれつきの脳機能の障害である

つまり、発達障害に”なってしまった”んじゃないか?と感じるのは誤解であり、発達障害は生まれつき持っていた特性ということになります。

大人の発達障害は「会社組織に適応できない障害」である

でも元々障害としてあるんなら気づきそうなもんじゃない?自分が気づかなくてもだれかが気づきそうだし。

良い質問ですね!発達障害といっても、人から気づかれにくい程度の特性の人も多くいるんですよ。

先ほど述べた通り、発達障害は生まれつきのものです。そのため、大人になってから急に特性が強くなったり弱くなったりするものではありません。大人独特の障害であるわけでもありません。

つまり、大人の発達障害ではないか?と思われる人は、子供の内は気づかれない程度の障害であったということになります。

では子供と大人の大きな違いは何か?

大人と子供の大きな違いは会社組織に属しているかどうかです。

子供時代は好きな友達とだけ遊んだり、コミュニティに所属することでやり過ごすという選択肢もありました。冗談が通じづらいなどの特性があっても、コミュニティを変えることで対応する方法を取ることもできました。

しかし、大人はそうはいきません。会社に所属すると、否が応でも苦手な人・ルール・仕事に向き合う必要が出てきます。苦手なだけならまだしも、自分でどのように気をつけても同じ失敗を繰り返すことが生じます。

会社組織が一種のフィルタリング機能を果たし、自分の特性と半強制的に向き合わざるを得なくなります。

こうして、会社組織に適応できないままで何年も過ごすことにより、「自分は発達障害なのではないか?」と疑いを持つようになります。

そして大人になってはじめて発達外来などの専門医にかかり、発達障害として診断を受ける…これが大人の発達障害の正体です。

プライベートでは気づかれにくい点を考慮すると、大人の発達障害は「会社組織に適応できない障害」ということもできるかもしれませんね。

大人の発達障害の種類・障害名

次に大人の発達障害にはどのような種類があるかを見ていきます。

大人の発達障害といっても、発達障害には変わりありません。しかし、大人(≒会社組織に所属)になってから気づく点を考慮すると、顕在化しやすい障害種別があるのは確かです。

ここでは大人の発達障害として取り上げられるやすいものを取り上げています。

発達障害全般については、以下の記事にてまとめていますので参考にしてみてください。

発達障害の人が仕事探しをする時のポイントを教えます【診断名より特性理解が大事】

広汎性発達障害(自閉症スペクトラム障害)

広汎性発達障害は自閉症やアスペルガー症候群といったコミュニケーション上の障害をひとくくりにした言葉です。

最近では自閉症スペクトラム障害の方が一般的な呼び方になってきました。なお、知的障害を伴う自閉症の場合は、発達障害ではなく、知的障害で分類されることがほとんどです。

自閉症スペクトラム障害は人の感情の読み取りが苦手なアスペルガー症候群の傾向が強い方もいれば、逆に感情を敏感に読み取りすぎてしまう特性の方もいます。

また、興味関心の幅が限定的だったり、視覚や聴覚が過敏といった特性を持っている人もいます。この自閉症スペクトラムだけでも特性の出方が様々ですので、不安な方は専門医に相談しましょう。

<自閉症スペクトラム障害の特徴(一例)>

  • 興味関心の幅が限定的
  • 同一の行動を好む
  • 変化に弱い
  • 相手の表情や言葉から感情を読み取ることができない
  • 社会性が極端(積極的すぎる、もしくは受け身すぎる)
  • 視覚・聴覚が過敏

環境の変化や感情の読み取りが苦手なことから、主にコミュニケーション面で適応できない人に多い発達障害の一種です。

注意欠陥多動性障害(ADHD)

注意欠陥多動性障害(ADHD)はその名の通り、注意が行き届かないことにより、社会的な生きづらさを抱える障害を指します。人から言われても何度もケアレスミスをしてしまったり、言われたことに集中して聞けないといった特性は代表的なものです。

他人からはやる気の問題として叱られがちなため、障害理解がされにくい障害の一つです。ADHDには注意不足が強い注意優勢型タイプ、多動傾向と重複している混合型タイプとで分かれています。

ADHD傾向の方はどちらに当てはまるかを把握しておく必要があります。

<ADHDの特徴(一例)>

  • 考えをうまくまとめられない(ふりかえりができない)
  • たくさんのことを同時にしないと気がすまない
  • 直感的に考えてしまう
  • 疲れを感じにくい
  • 新しいものを求める
  • 家族にも同様の傾向が見られる

不注意や多動傾向から、何度注意しても仕事のミスが減らないという傾向があります。主に業務面で適応できない人に多い発達障害の一種です。

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大人の発達障害で悩む人の対処方法

それでは、大人の発達障害に悩む人はどのように対処していけばよいのでしょうか?

今回は仕事という側面から、仕事を続けていきたい場合と転職を考えたい場合の2タイプに分けて考えていきます。

仕事を続けたい場合の対処方法

もし今の仕事を続けたいという場合は、自分の障害特性に合ったツールを作ってみることをオススメします。この場合のツールは物以外の人や環境全般を指します。

例えば、不注意が続くという場合には独自のチェックリストを作成するといったものが代表的なツールです。コミュニケーションに不安があるという方は、業務の報連相をするキーパーソンを確立してもらうといった具合です。

もし自分の業務成果に不安があるといった方は上司の方と定期的な面談の場をつくってもらうのも良いかもしれません。

もし人事考課などで上司の方と話せる機会があれば、ぜひ提案することをオススメします。

そんなこと言っても一人で考えるのは難しいよ…

そんな方は障害者就業・生活支援センター(通称:ナカポツ)の利用をオススメします。

ナカポツセンターは各地域に設置されている就労の専門機関です。特徴としては、障害さえあれば障害者雇用で働いていなくても相談に乗ってもらえる点です。

支援機関を活用することで、第三者の目線で仕事の相談や環境整理に関してのアドバイスをもらうことができます。仕事に悩んでいるという方はぜひ活用してみてください。

障害者就業・生活支援センターとは障害者雇用の何でも屋!働くを楽にするためのサービス内容を総まとめ!

転職したい場合の対処方法

転職をしたいという場合は、障害特性に合った専門職への転職をオススメします。

たとえば、こだわりが強く、興味関心が限定的であれば、業務範囲の絞られているシステムエンジニアや経理職などの専門職がオススメです。

キャリアアップをしても異動が無く、同じ仕事の範囲内でのスキルアップを求められる求人を中心に探していきましょう。

逆に他の職種に異動する総合職全般はあまり向いていないと言えます。運よく適性に合えば良いですが、いきなり適応が難しい部署に異動させられるリスクは否めません。

発達障害に向いている職種や仕事探しのポイントは以下の記事にて特集しています。

発達障害の人が仕事探しをする時のポイントを教えます【診断名より特性理解が大事】

転職を繰り返すなら障害者雇用を考えよう

対処方法を取っても、仕事が続かない、転職を繰り返してしまう方は障害者雇用での転職をオススメします。

障害者雇用は発達障害の方にも主流となっている転職手段です。

働き方改革の同一労働同一賃金の法則により、能力さえあればキャリアアップのチャンスがあります。また、障害者雇用であれば、障害者の就労支援機関をフル活用できるといったメリットもあります。

なにより自分の障害特性に配慮してもらいながら働くことができます。精神的に安心しながら働くことができます。二次障害として、うつ病などに罹患するリスクを抑えることができる点も見逃せません。

障害者雇用のメリット

  • 障害を理解してもらいながらキャリアアップができる
  • 未経験の職種であっても雇用される可能性がある
  • 障害を知られるのではないか?という余計な心配をしなくて済む
  • 一般雇用で続かなかった時の心のセーフティネットになる
  • 支援機関を活用できる

参考:【当事者向け】障害者雇用はデメリットしかない!←メリットの方が多いです、断言します

まとめ

  • 大人の発達障害は会社に所属してから顕在化する障害
  • 大人の発達障害には自閉症スペクトラム障害、ADHDが多い
  • 仕事を続けたい場合は各種ツール・支援機関の活用、転職したい場合は専門職や障害者雇用がオススメ

いかがでしたでしょうか?

大人の発達障害といっても、大人独特の障害ではないことがわかったかと思います。まだ知らない自分の個性を知ることができた、より良い対処方法を見つけるきっかけになったと、前向きに捉えていくことが重要です。

友人、家族、支援機関などと今後のことを話す際に、今回の記事をお役立ていただければ幸いです。

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