障害者雇用を知る

統合失調症でも仕事はできる!発症後も長く仕事を続けるポイントを解説!

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統合失調症の診断を受けたんだけど、仕事はあきらめなくちゃいけないのかな…

あきらめる必要は全くありません!今は仕事を長く続けるための制度が整っています。うまく活用すれば就業継続や配慮のある職場への転職も可能です。

統合失調症は幻聴・幻覚や集中力の低下などを引き起こす精神疾患です。精神疾患のなかでは比較的メジャーな部類に入りますが、仕事をするとなると負荷が大きい障害です。

仕事を続けるには自分の症状の把握と活用できる社会資源の把握が必要不可欠です。今回の記事を通して、内容を確認していきましょう。

この記事を見れば知ることができること

  • 統合失調症の症状
  • 統合失調症発症後に仕事を続けるためのポイント
  • 統合失調症の就業者が活用できる社会資源

それでは実際に見ていきましょう。

統合失調症の症状

統合失調症は約100人に一人が罹患する精神障害と言われています。

発症はストレスが原因ともいわれていますが、明確な原因はわかっていません。脳の神経伝達に不具合を生じさせることから、各種の症状を引き起こします。

症状は大きく分けて陽性症状と陰性症状および認知機能障害の3つに分けられます。

陽性症状

陽性症状は以下の通りです。

陽性症状は、妄想や幻覚など、第三者が見てもわかりやすいのが特徴です。

症状にも差があり、「四六時中、誰かの笑い声が聞こえてくる」という人もいれば、「ストレスがかかるときに、ちょっと聞こえる気がする」という人もいます。

重度の場合は当然就業にも大きな影響をもたらします。陽性症状が強い場合は主治医から休職の診断を受ける可能性が高いため、ドクターストップがかかったら無理をせずに、療養に充てることを勧めます。

陰性症状

陰性症状は以下の通りです。

陰性症状は、感情が乏しくなったり、意欲の欠如などが症状として現れます。

先ほどの陽性症状と異なり、目に見えて症状がわかりづらい点が特徴です。また、症状から他者との交流を閉ざしがちになるため、周りからの理解が得にくくなります。

就業面に関しては、モチベーションの低下といった形で現れるため、当事者にとってはとても辛い点となります。

とはいえ、症状の一環であることは確かなので、「自分の気持ちが弱いからだ…」と思い悩みすぎる必要ありません。

認知機能障害

認知機能障害は以下の通りです。

認知機能障害は、記憶力の低下や注意力の低下といった形で現れます。

ある意味、就業する上で一番留意しておかなければならない症状とも言えます。

なんで?陽性症状とかの方が働く上でのリスク高そうに見えるけど…

そこが落とし穴です。対応が後回しにされがちなので、職場での課題が広がる一方になります。

認知機能障害は陽性症状などと異なり、顕著に症状という形で現れない場合があります。つまり、認知機能障害によって起こされたミスだとしても、”その人自身の能力が低いから”と見なされるリスクが非常に高いんです。

たいていの場合、企業側も統合失調症という言葉を知っていても、幻覚、妄想を引き起こすというレベルで知識が止まっていることがほとんどです。そのため、職場からの理解がされないままで放置状態となっているケースがあります。

私たちのような支援員が職場に介入するころには、すでに仕事そのものはもちろん、人間関係もままならない状態になっていたということも珍しくありません。

明らかに仕事でミスが続いている…という場合には主治医や外部の支援機関と相談することをオススメします。

実は発達障害が主障害の場合がある

統合失調症の症状そのものとは関係ありませんが、実は発達障害の方が主障害だったという方もいます。

発達障害からくる人間関係トラブルによってストレスが生じ、それが統合失調症を引き起こしているといったケースです。

こうしたケースの場合、障害者自身が発達障害があることを知らないままだったりします。統合失調症の治療で症状を抑えられても、根っこの原因に発達障害が関係している場合、根本的な解決にはならない場合があります。

もし統合失調症となったきっかけが、人間関係などのトラブルの場合は、主治医とも相談して就業上の配慮点を整理しても良いでしょう。

発達障害者が仕事を続ける上でのポイントは以下の記事にて紹介しています。

発達障害の人が仕事探しをする時のポイントを教えます【診断名より特性理解が大事】

統合失調症発症後に仕事を続けるためのポイント

それでは次に、統合失調症を発症した後に仕事を続けるためのポイントを紹介します。

症状を引き起こす原因を知る

まずは症状を悪化させる要因が何かを知っておくことが超重要です。

自分自身が発症のトリガーを知っておかなければ話が進みません。というのも、統合失調症という診断名だけでは、職場に伝えても配慮を得られないからです。

企業担当者は障害のプロではありません。具体的にどのような配慮が必要かを申し出なければ、満足のいく環境を得るのは難しいでしょう。ちなみにこれは障害者雇用で就職していたとしても同様です。

たとえば人間関係が負担だったとしても、具体的にどのような場面や文脈での関係が負担かまで整理しておく必要があります。最終的に配慮を得るための足掛かりとして、具体的な場面での体調悪化の要因を考えてみましょう。

もし症状悪化の要因が職場外にあるのであれば、主治医とも相談してみるのをオススメします。

部署の異動や業務変更を申し出る

もし業務自体が症状悪化の原因となっている場合は、部署の異動願いを行うのも選択肢です。

どんなに服薬を徹底していても、症状の悪化の原因が業務そのものにある場合は話が別です。その原因となるものを取り除かなければ、ジリ貧になることは否めません。

ポイントとしては、発症の要素となる点と業務内容の相関関係が薄い部署や業務を選ぶことです。わかりやすい例では人間関係が発症の原因となるのであれば、営業や管理的な業務を避けさせてもらう…といった具合です。

配慮が叶わない場合は転職を検討する

うちの会社はそんなに異動が叶う会社じゃないよ…異動しても業務内容に変わりはないし…

そういった方は思い切って転職を検討しましょう。

なんとかして就業継続を…と言いたいところですが、配慮がそもそも叶わない、障害への理解が薄いという会社は少なくありません。

もし障害理解が薄い企業に在籍している方は、転職を検討するのも一つです。簡単に言うなと言われそうですが、体調悪化によって働けない体になる方が最悪です。結果的に経済的にも負担が生じてしまいます。

体調に理解のある会社は増えてきてますし、思い切って環境を変えるという選択肢は悪いことではありません。

障害者雇用だと働ける会社が少なくなるので嫌だという方は、セミオープン就労を検討しましょう。セミオープン就労は面接時に一般枠で応募し、障害をオープンにする方法です。

詳細は以下の記事を参考にしてみてください。

障害者雇用の裏技「セミオープン就労」について迫る【障害を開示しつつ高条件求人にチャレンジ可能】

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体調が悪くなったときは休職制度を活用しよう!

実際に統合失調症が悪化して、働けなくなってしまった…という方は休職制度を活用しましょう。

休職することで、仕事を続けるか復職するかをじっくり考える時間をもつことができます。

①休職診断を受ける

まずは休職のための申請を行います。

休職は独断ですることはできません。ほとんどの場合、企業側と主治医からの了解を得なければなりません。

特に主治医から休職が必要であるという診断書が無ければ、傷病手当金などの休職中の生活保障金を受けることができません。

企業での休職制度の確認(就業規則をチェック)→休職したい場合、主治医に診断書を書いてもらえるかの事前確認→上司に休職相談の流れで進めるとスムーズにいきやすいです。

②休職中に活用できる社会資源を知る

休職中であっても生活費はねん出し続けなければなりません。統合失調症で休職中は以下の社会資源を活用できます。

自立支援医療制度(精神通院医療制度)

自立支援医療は精神科通院費や精神科デイケアにおける医療費が一割負担で済む制度です。

統合失調症をはじめとした精神疾患の方が対象となりますので、ぜひ活用しましょう。申請は各自治体の窓口で行う必要があります。

障害者手帳

障害者手帳は各種障害をお持ちの方が申請・取得できる手帳で、以下のメリットがあります。

  • 公共料金の割引制度がある
  • 各種税金の控除が受けられる(参考:国税庁 障害者と税
  • 障害者雇用での就職ができる

障害者手帳を保持していても企業にばれることは有りませんのでご安心ください。手帳をどう活用するかは本人次第なので、取得する上でのデメリットはありません。

休職しているからといって取得の義務があるわけではありません。手帳取得に抵抗感がある人は発行しなくても大丈夫です。

注意点として、初診日から半年以上経過していることが発行条件となります。いざ必要な場合に申請できないという事態を防ぐためにも、早めの医療機関受診が必要です。

障害年金

障害年金は、障害や病気の症状に応じて支給される生活保障制度です。年金制度の一つで国民年金から拠出される障害基礎年金と、厚生年金から拠出される障害厚生年金の2種類があります。

初診日の段階でどちらの年金に加入していたかで申請区分が変わります。障害者手帳を保持していなくても申請はできますが、初診日から一年半経過している必要があります。

一番支給額の低い障害基礎年金2級でも隔月で約13万円を受け取れるため、経済的に大きなメリットがあります。

支給額や条件は以下の記事でわかりやすく解説していますので、ぜひご覧ください。

手帳無しの精神障害でも障害年金は取れる!誰も言わないリアルなメリット・デメリット教えます

傷病手当金

傷病手当金は障害の有り無しを問わず、病気・ケガなどを理由として休職する方に対して支給される生活保障金です。医療保険から支給される制度のため、原則として就業先の健康保険に加入している必要があります。

連続で3日間以上休んだ場合に4日目以降から算定の対象としてお金が支給されます。

傷病手当の申請自体が遅くなっても、さかのぼって満額支給されますのでご安心を。ただ、先ほど述べた通り、申請には主治医の意見書が必要です。

休職期間は会社によりけりなので、事前に確認しておくようにしましょう。

仕事に復帰するときはリワーク支援を活用する

さて、休職期間を経たら、いよいよ復職です。

正直、復職といってもやっていける気がしないんだけど…

そういった方がほとんどですよ!不安な方はぜひリワーク支援を活用しましょう。

復職に不安があるという方は、外部の支援機関を活用しましょう。

支援機関と言っても色々あります。その中でも、地域の障害者職業センターのリワーク支援は復職に特化したサービスなのでオススメです。

リワーク支援は4~6か月の範囲で復職に向けたプログラムを受けるサービスです。メリットとして、支援期間内で職業センターの支援員が企業側に掛け合い、復職環境の整備を行ってもらえる点が挙げられます。

リワーク支援は公的サービスのため、サービスの質にも大きなばらつきが無い点もメリットです。

一人では復職に不安があるという方はぜひ活用しましょう。

障害者職業センターのリワークプログラムの特徴を解説!無料・職場支援・短期集中支援の3大メリット!

まとめ

  • 統合失調症は陽性症状、陰性症状、認知機能障害の3つがあり、企業の理解度も症状によって異なる
  • 統合失調症発症後は、部署異動や業務変更の打診を検討する
  • 各種休職・復職制度を活用して、長く働くための環境整備を行っていく

いかがでしたでしょうか?

統合失調症に限りませんが、精神疾患発症後は企業や医療機関、支援機関など、他の人たちの協力が必要になります。誰かに助けを求める力は今後を大きく左右する要素です。

だれでも良いので、まずは誰かに相談することを大切にしてくださいね。それでは、次回の記事でお会いしましょう。

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