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精神保健福祉士は役に立たないと言われる理由、取って良かった理由を紹介【現役PSW解説】

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精神保健福祉士の資格に興味がありますが、あまり役に立たないとも聞きました。
コスパ悪い資格なんですか?

精神保健福祉士に限りませんが、資格は取るまでではなく、取ってからどう活用するかが大事です。そういった意味では精神保健福祉士ほどコスパの良い資格もないです。

精神保健福祉士は、平成9年の精神保健福祉士法の施行に伴って制定された国家資格です。主に心に病をかかげる方の専門援助を行うことを主業務としています。

そんな精神保健福祉士ですが、取得の労力に見合わない資格だと揶揄されることがあります。なぜ役立たないとされているのかを紹介するとともに、現役の精神保健福祉士として取って良かった理由を紹介していきます。

この記事を見れば知ることができること

  • 精神保健福祉士が役に立たないとされている理由
  • 精神保健福祉士の実態
  • 精神保健福祉士の資格取得メリット

それでは一つずつ見ていきましょう。

精神保健福祉士が「役に立たない」と言われる理由

さっそく、精神保健福祉士が役に立たないとされている理由を紹介していきます。

就職するのに役に立たない

精神保健福祉士は就職にあまり役立たないと言われます。ズバリ、その理由は「精神保健福祉士」という仕事は無いからです。

しょっぱなからどういうこと!?
じゃあ精神保健福祉士って専門職じゃなかったの?

正確には「相談員」や「精神科ソーシャルワーカー」といった名称で支援を行う専門職はありますよ。ただ精神保健福祉士の資格保有者でなければ就けないわけではないです。

精神保健福祉士はいわゆる「名称独占資格」です。医者や看護師のような「業務独占資格」と違い、資格の名前がそのまま職種となっている資格とは異なります。つまり、「精神保健福祉士」という仕事そのものは存在はしないということになります。

もっと言えば、精神保健福祉士の資格取得=就職先が担保されているというわけではないということです。これが就職するのに役に立たないと言われている最たる理由とされています。

取った後も実感が無い

次に精神保健福祉士が役に立たないとされている理由は、取った後も実感が無いということです。

先ほど述べた通り、精神保健福祉士は名称独占の資格です。支援専門職に就いていても、周りに資格を保有していない人は多いです。

そのため、精神保健福祉士でないとできない仕事をしているという実感がわきづらいのが事実です。

「資格を活かして仕事をしたい!」という方や精神保健福祉士という資格そのものにステータスを求める人にとっては、やや肩すかしにはなってしまうでしょう。

精神保健福祉士の現状

「就職に役立たない」、「取った実感が無い」という意見もある精神保健福祉士ですが、精神保健福祉士の現状は良い方向に向かっています。実態を紹介していきます。

精神保健福祉士の就職先は増えている

上の図は平成31年2月時点での精神保健福祉士の就職先をグラフ化したものです。

やはり病院・診療所などの医療分野が42.5%と大きな割合を占めています。しかし、医療分野以外にも行政機関や社会福祉協議会など、福祉の様々な分野において活躍できるフィールドは広がっています。

中には一般企業や大学の学生相談室勤務者にも精神保健福祉士の資格保有者は存在しています。特に近年は、メンタルヘルスへの関心が高まっています。

福祉や医療分野以外にも、今後ますます注目をあびる資格といっても差し支えないと思います。

ただし、注意してほしいのは資格を取ることが就職に直結するということではないということです。精神保健福祉士を取得したい方は対人援助職に興味を抱いている方が大半だと思います。

対人援助は人柄・コミュニケーション能力が第一であり、資格を振りかざして仕事をすることではありません。はき違えてしまうと、資格の有り無しを問わず、満足いく就職自体が難しくなります。気をつけておきましょう。

精神保健福祉士の平均年収は資格よりも就職先に依存する

スタディサプリ

精神保健福祉士の平均年収は男性で403万円、女性で321万円が平均年収とされています。

参考として、令和元年度の国税庁調査によれば、40代前半は男性が582万円、女性が318万円の平均年収とされています。世間的な平均年収としては男性の収入は顕著に差が出ていると言わざるを得ません。

収入差が生じているのは精神保健福祉士の待遇…というよりも、上位就職先に福祉サービスに偏りがあるのが関連しています。福祉サービス職は資格の有り無しを問わず、どうしても一般企業よりも平均年収が低くくなる傾向にあります。

いかに精神保健福祉士の資格を持っていても、給与面で大きく手当が付く事業所は少ないです。そのため、精神保健福祉士の収入は資格云々というより、良くも悪くも就職先次第と言えます。裏を返せば、精神保健福祉士が不当な扱いを受けているというわけではありません。

少しでも収入を上げたい方は資格手当がある事業所への就職をオススメします。

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それでも精神保健福祉士を取って良かったと思える理由3選

ここまで精神保健福祉士の役に立たないとされている理由、現状を紹介してきました。

う~ん、取るに見合っているのか気持ちが揺れています。

私自身は取って良かったと思いながら、日々仕事に励むことができていますよ!

私は障害者就労の支援員として10年弱勤務しています。福祉系の学部を卒業していますが、実は新卒段階では資格を保有していませんでした。私自身のキャリアについては、以下の記事で書いています。

障害者雇用が当たり前の時代で、障害者ワークナビが必要な1つの大きな事実

資格を取ったのは今から3,4年前ほど前で、働きながら資格勉強を行いました。今までに述べた精神保健福祉士の実態は知ったうえで取得しましたが、それでも「取って良かった」と感じています。

なぜそう言えるのかについて、現役の精神保健福祉士として紹介します。

天狗になりにくくなる

まず精神保健福祉士を取って良かった理由の一つが、天狗になりにくくなるということです。言い換えれば謙虚な姿勢で仕事ができるということです。

う~ん、自分で言うのも難だけど天狗にはなりにくいタイプなんで、特に自分には関係ないかな…

そういう方ほど注意した方が良いかもしれません。

仕事で得た知識で仕事が回っている場合、次第に自信が生まれてきます。それ自体はとても良いことです。しかし、自信が傲慢さにつながった場合は別です。

傲慢な人間は新しい知識を取り入れようとしないので、次第に職場での立ち位置も悪くなってきます。特に医療や福祉サービスは閉鎖的な環境です。どうしても傲慢さを生み出しやすいメカニズムになっています。

しかし、精神保健福祉士にチャレンジすることによって、謙虚な気持ちを忘れずに仕事ができます。

資格勉強を行うということは自分の「知らない」、「できない」に日々直面することになります。人は自分の至らない点に直面することで、成長の余地があることを実感することができます。

仮に勉強の効果がすぐに現れなくても、誰に迷惑をかけるわけでもありません。仕事のミスであれば落ち込むこともあるかもしれませんが、勉強の失敗はすぐに取り返せます。

謙虚な気持ちで働き続ける姿勢は必ず誰かが見ていますし、結果的に働きやすさにもつながるメリットがあります。ぜひ積極的にチャレンジしてほしいところです。

このメリットは、働き始めてから資格勉強を始めた人ほど感じやすいかもしれませんね。

体系的に実務を理解しやすい

次に精神保健福祉士を取って良かった理由が、体系的に実務を理解しやすくなるということです。

精神保健福祉士の国家試験は、精神保健分野の各種法制度を出題分野として取り上げています。勉強している間はしんどさを覚えますが、こうした法制度・各種サービスは実務に関わりのあるものが非常に多いです。

すでに医療・福祉分野に従事している方はわかるかと思いますが、精神保健分野は法制度にのっとった事業体系になっていることが多いです。定期的な法改正の際にも、すでに資格勉強で得た知識をアップデートしさえすれば良いため、体系的に理解しやすいです。

それこそ資格勉強でもない限り、法制度やサービスの趣旨まで勉強することはそうそうありません。精神保健福祉士は普段の実務知識を見直す機会としてはうってつけです。

成長意欲が生まれる

最後の精神保健福祉士を取って良かった理由が、成長意欲が生まれる点です。

名称独占とはいえど、精神保健福祉士は国家資格に違いありません。資格を取得したことは確かな自信になりますし、仕事へのモチベーションアップに直結します。

資格取得→モチベーションアップ→さらに知識や経験を吸収する姿勢が生まれる→キャリアアップという流れで仕事にも良いリズムを生み出しやすくなります。精神的な意味でも、資格取得は良い効果を生み出すということですね。

勘違いしないでほしいのが、資格取得はきっかけであり、その後に資格をどう活用するかが大事ということです。当たり前ですが、資格を取ったことで他の職員より偉くなった気持ちで仕事をしていれば、それが態度に出てあっという間に嫌われますよ笑

資格を活かすも殺すも最終的にはその人次第と言えます。

まとめ

  • 精神保健福祉士は就職に直結しない、取っても実感が無いことが役に立たないとされている原因
  • 精神保健福祉士の活躍のフィールドは民間分野をはじめ近年ますます増えている
  • 精神保健福祉士を取得することで、謙虚な気持ちで仕事に取り組めたり、体系的に実務を理解しやすくなる

いかがでしたでしょうか?

精神保健福祉士は表面的な部分だけを見れば役に立たない部分もあるかもしれません。しかし長期的な目で見ると、支援員としての人生を豊かにしてくれる資格です。ぜひ資格取得にチャレンジしてみてくださいね。

興味を持たれた方は以下の記事で受験資格方法を解説していますので、ご覧ください。

精神保健福祉士の受験資格が3分で丸わかり!現役PSWがパターン別で解説してみた!

また、私が資格勉強でオススメの参考書をはっておくので、興味がある方は見てみてください。

  • 精神保健福祉士国家試験過去問解説集2022(過去問)
  • 福祉教科書 精神保健福祉士 出る! 出る! 一問一答 専門科目 第4版(専門科目対策)
  • 福祉教科書 社会福祉士・精神保健福祉士 完全合格テキスト 共通科目 2021-2022年版(共通科目対策)
  • 2021社会福祉士・精神保健福祉士国家試験過去問 一問一答+α 共通科目編(共通科目対策)

なお、各種参考書を使って最短3か月で取る方法を以下の記事で紹介しています。参考にしてみてください。

【2022年】精神保健福祉士の勉強法解説!最短3か月で誰でも働きながら合格可能!

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