友達から障害者雇用で働くのはやめとけって言われました。実際のところ、やめといた方がいいんですか?
合う合わないがあるのは事実です。ただ、しっかり障害者雇用の活用法を理解すればメリットの方が多いんですよ。
障害者雇用で働くのはやめとけという人がいるのは事実です。しかし、そう言っている人の多くが、障害者雇用を勘違いしていたり、部分的にしか活用できていないパターンであるのも事実です。
今回の記事では、なぜ障害者雇用をやめとけという人がいるのかだけでなく、障害者雇用の実態も含めてお伝えしていきます。
この記事を見れば知ることができること
- 障害者雇用をやめとけと言う人がいる理由
- 障害者雇用をオススメする理由
- 障害者雇用で働くかどうかを決める基準
それでは一つずつ見ていきましょう。
目次
なぜ障害者雇用はやめとけと言う人がいるのか?
さっそくですが、なぜ障害者雇用をやめとけと言う人がいるのかについて、原因を紹介していきます。私自身が支援をしていく中で、障害者雇用に否定的な印象を持っている人から聞いた内容です。
人間関係で配慮が受けられないから
1つ目の障害者雇用をやめとけと言う人が多い理由は「人間関係で配慮を受けられないから」というものです。
以下の表は平成25年度の障害者雇用実態調査における、精神障害者の離職理由です。
離職理由のトップが「職場の雰囲気・人間関係」となっています。障害者雇用であっても人間関係の離職理由がトップというのは、いささか残念な結果と言えるかもしれません。
人間関係を理由に辞められる方の中には、配慮が不十分だったと話される人も少なくありません。人間関係について配慮を受けられると期待する人は多いだけに、それが叶わなかったとなると「やめとけ」という意見に寄って来るのは当然と言えるかもしれませんね。
簡単な仕事しか任せてもらえないから
次に障害者雇用をやめとけと言う人が多い理由は、「簡単な仕事しか任せてもらえないから」です。
正直簡単な仕事しかやりたくないという人もいれば、難しい仕事にチャレンジしてキャリアを積みたいという人もいます。
とはいえ、障害者雇用は正社員が手が回らない業務を切り出すことで仕事を構築されているケースがほとんどです。事務職を例にすると、ファイリングや備品補充など、企画や営業職の社員が手が回らない業務を切り出されているパターンが多いです。
そのため、慣れてくると単調な作業に感じてしまい、モチベーションの悪化につながりがちです。職域を拡大してほしくても、職種の垣根が高くそびえたち、要求が叶わない場合もあります。
給料が安いから
次に障害者雇用をやめとけと言う人が多い理由は、「給料が安いから」です。
以下は健常者と障害者の平均月収をグラフ化したものです。最も障害者雇用にネガティブな印象を持たれる理由の一つと言ってもいいでしょう。

健常者が平均30.6万円に対し、障害者雇用の平均月収は14.6万円(全障害平均)という結果となっています。約2倍もの差があるため、数値の上でも差があるのは事実としてあります。
障害者の場合、障害年金で給与の不足を補填する手段もありますが、全員がもらえるわけではありません。生活の不安から障害をクローズで働きたいという人がいるのは当然とも言えます。
障害者雇用の給料実態は以下の記事にて特集しています。参考にしてみてください。
→【必見】障害者雇用の給料実態を調査!健常者との差は○万円!収入差の理由や年収アップの方法を紹介
それでも障害者雇用をオススメする理由
ここまで障害者雇用をやめとけと言われがちな理由を紹介してきました。
障害者雇用をやめとけと言われがちな理由
- 人間関係で配慮が受けられないから
- 簡単な仕事しか任せてもらえないから
- 給料が安いから
障害者雇用って良いことないじゃん…なんでそれでも障害者雇用で働いている人がいるの?
注意すべき点に気をつければ、さきほど話したデメリット以上のメリットがあるからですよ。
もし障害者雇用にメリットが無ければ、制度として成り立ちません。私のような支援員の仕事も商売あがったりです笑
つまり、障害者雇用が拡大傾向にあるのは、メリットやニーズの裏付けとも言えます。会社の選び方や配慮点を整理さえできれば、今まで話したデメリットは、むしろメリットに変えることができるんですよ。
配慮点の整理・伝え方をミスしなければ配慮は受けられる
まず障害者雇用をオススメする理由は、自己分析と会社選びをミスしなければ配慮は受けられるという点です。
人間関係で配慮が得られないという方は確かに存在しています。入った会社がたまたまブラック企業気質という場合もあります。
その一方で、配慮が受けられなかった方の多くは、入社前に配慮点を整理しきれていないという共通点があります。
残念ですが、企業担当者は仕事のプロであって障害のプロではありません。障害名だけ伝えさえすれば、配慮が叶うといったものではありません。そもそも障害名一つとっても人によって特性は様々です。
具体的に自分が配慮してほしいことを伝えること、それが叶う会社かどうかを吟味することは障害者雇用で働く上で必須事項といっても過言ではありません。
以下の点に着目して、配慮事項を整理・伝達すると良いでしょう。
配慮事項の整理
① 過去を振り返りつまずいたポイントをまとめる
② ①のポイントに対し、どのようにすれば仕事がうまくできたかをまとめる
③ ②のうち、企業にサポートしてもらう必要がある部分(配慮点)をピックアップする
配慮事項の伝え方
① 「してほしい」ではなく「〇〇すればできる」に置き換える
② 配慮事項がいくつもある場合は、重要な部分だけ書類に書いておき、残りの配慮点は面接で伝える
③ 就職後も定期的に配慮点を確認する場を設ける
配慮事項は、障害者雇用で働くのであれば重点的に固めておきたい点です。内定を得られるかどうかにも直結する部分のため、以下の記事を参考に知識を深めるのをオススメします。
→障害者雇用で合理的配慮を得る方法教えます【知らないと危ないです】
障害者雇用求人でも高給な仕事は多い
次に障害者雇用をオススメする理由は、障害者雇用求人でも高給な仕事が多いからです。障害者雇用求人は全体の傾向で見ればクローズ就労よりも薄給であることは事実です。
しかし、障害者雇用の平均月収は短時間雇用の方も含んでいるので、どうしても低くなりがちです。健常者に比べ、特性上、あまり長く働けない方の比率も高いため、数値ではそれが顕著に現れます。
また、先ほど述べた通り、正社員の仕事の切り出しで構成されているため、正社員よりも給与が少ない求人がほとんどです。
とはいえ、そのことと障害者雇用全てが薄給であることがイコールになるわけではありません。
障害者雇用であっても、能力が高ければ高給な仕事は存在します。

最近ではハイクラス求人を取り扱う障害者転職エージェントも増えてきています。たとえば、トゥモローブライトは年収500万以上の正社員求人を取り扱う障害者雇用エージェントです。
これを言ったら元も子もないですが、能力が高ければ高給な求人にチャレンジすれば良いですし、それに満たないのであれば、別の手段を考える必要があります。それは健常者であっても障害者であっても変わりないことだと思います。
大事なポイントとして、障害者だからハイレベルな求人が存在しないというのは誤解ということです。チャレンジするかどうかは置いておいて、知識としては知っておいてほしいです。
障害者雇用専門の転職エージェントについては、以下の記事で特集しています!
→障害者雇用でホワイト企業に就職したい方にオススメする転職エージェント3選
また、企業選びに関しては以下の記事も参考にしてみてください。
→【2021年版】障害者雇用でおすすめな企業5選【本当のホワイト企業はここだ!支援員目線で解説】
いざ障害者雇用にチャレンジしたいという場合に、主要な転職エージェントにも登録しておくことをオススメします。障害者雇用求人の実情は自分の目で確かめてみるのが一番です。


就労移行支援事業所を活用して就職をスムーズに進める
障害者雇用にはメリットの方が多いことがわかっても、一人で障害者雇用で就職を進めるのは不安はつきものです。
そんな方には、就労移行支援事業所の活用をオススメします。
就労移行支援事業所は、最大2年間の訓練を通して、障害者雇用枠での就職および就職後のアフターフォローをしてくれるサービスです。
最大2年間というと長く聞こえるかもしれませんが、就職する上での課題さえクリアできていれば短期間での就労も可能です。
とはいっても、最近では新規参入の事業所も増えてきており、支援の質にも差が生じています。もし就労移行支援事業所に興味がある方は、以下の記事でオススメ事業所を紹介しておりますので、ご一読ください。
→【2021年版】障害者雇用就職で後悔しないための就労移行支援事業所オススメ3選【現役支援員が解説】
最後に選ぶのは自分自身
障害者雇用の避けられがちな理由と、それに対してのメリットを紹介してきました。結局のところ、障害者雇用にチャレンジするかどうかは自分自身であることに変わりありません。
なにも障害者雇用を選んだ方が良いと押し売りをするつもりもありません。クローズ就労の方が向いているという人は、一般求人で働くのも良いと思います。
しかし、障害者雇用は障害者しか選べない選択肢です。当然ですが、健常者はどんなにつらかろうが、企業で働く以上、一般求人しか選択肢は取れません。
ぜひ「障害者雇用しか選べない」ではなく「障害者雇用”も”選べる」という考えを持ってほしいと思います。障害者雇用に悲観的な見方をすることに時間を費やすようであれば、一般求人にシフトすることに考えを向けた方が建設的です。逆もまたしかりです。
すぐに切り替えができない方はぜひ周りの人と相談して悔いのない就活を送ってくださいね。
まとめ
- 障害者雇用をやめとけと言う人は、配慮が受けられない、薄給などを理由として挙げる人が多い
- 配慮点の整理、転職エージェントの活用をすれば、適した配慮や求人にたどりつくことができる
- 「障害者雇用しか選べない」ではなく「障害者雇用”も”選べる」という考えを持つことが大事
いかがでしたでしょうか?
障害者雇用をやめとけと言う人は現実として存在していますし、彼らの言うことがすべて間違いではありません。しかし、就活に限らず、物事の一面しか見ずにすべてを判断するのはもったいないです。
しっかり実態を知ってから、後悔の無い判断をすることが大事です。ぜひ今回の記事を参考にしてみてください。