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【企業向け】特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)をわかりやすく解説!【人事必見】

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障害者を雇うと特定求職者雇用開発助成金という助成金をもらえることを知りました。どんな仕組みでどのようにすれば受給できるのでしょうか?

特定求職者雇用開発助成金(通称:特開金)は障害者を雇用する採用コストを大きく抑えることができる、障害者雇用に無くてはならない制度です!

特定求職者雇用開発助成金は高齢者や障害者などの、いわゆる特定求職者に分類される方を雇うと発生する助成金です。特に障害者を対象としたものとしては特定就職困難者コースがよく代表的な助成金として挙げられます。

今回の記事では、特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)の概要はもちろん、受給額、利用方法から注意点まで総まとめしていきます!

この記事を見れば知ることができること

  • 特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)の概要
  • 特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)の受給額や利用フロー
  • 特定求職者雇用開発助成金の最新動向

それでは一つずつ見ていきましょう。

特定求職者雇用開発助成金とは

特定求職者雇用開発助成金は障害者などの就職困難者を雇い入れた事業主に対して支払われる助成金です。就職困難な方への再就職を目的としており、厚生労働省が主導で実施している制度です。

特定求職者雇用開発助成金はコースが何種類にも分かれています。

  • 特定就職困難者コース
  • 生涯現役コース
  • 被災者雇用開発コース
  • 発達障碍者・難治性疾患患者雇用開発コース
  • 三年以内既卒者等採用定着コース
  • 安定雇用実現コース
  • 生活保護受給者等再開発コース

高齢者向けコースや生活保護受給者向けのコースなど、求職者の属性によって様々なコースの利用が考えられます。今回は特定就職困難者コースの紹介を行っていきます。

特定就職困難者コースの概要

特定就職困難者コースは以下のように規定されています。

高年齢者、障害者、母子家庭の母などの就職困難者を、ハローワーク等の紹介により、継続して雇用する労働者(雇用保険の一般被保険者)として雇い入れる事業主に対して、助成金を支給します。

厚生労働省

高齢者、障害者といった就職困難者としては人口分布の広い層をターゲットしています。特定就職困難者コースは特定求職者雇用開発助成金の中でも一番オーソドックスなコースと言えるでしょう。

特定就職困難者コースの受給要件

それでは特定就職困難者コースの受給要件を見ていきます。特定就職困難者コースをはじめとした特定求職者雇用開発助成金には、対象者要件と事業主要件の2種類があります。

対象者要件

対象者要件は以下の通りです。

障害者に限って言えば、65歳未満の身体・知的・精神障害者であれば、利用の要件を満たしています。

事業主要件

事業主要件は以下の通りです。

特定機関からを通して求人を発行すること

特定求職者雇用開発助成金を受給するためには、特定のルートで求人を発行する必要があります。具体的には以下の通りです。

  • ハローワーク
  • 地方運輸局
  • 適正な運用を期すことのできる特定地方公共団体
  • 有料・無料の職業紹介事業者または無料船員職業紹介事業者

雇用保険の一般被保険者且つ長期継続雇用者として雇い入れること

特定求職者雇用開発助成金を受給するには雇用保険(週20時間以上)の労働者として迎え入れる必要があります。

また、少なくとも2年以上(短時間労働者以外の重度障害者等を雇い入れる場合は3年以上)の継続雇用を前提としています。

過去半年以内に会社都合解雇をしていないこと

過去半年以内に会社都合の解雇者を出していると特定求職者雇用開発助成金を受給できません。勧奨退職も含むので注意が必要です。

企業が会社都合退職を控えたい理由としては、こうした助成金の利用制限に引っかかるというのが背景にあります。

以上が主な事業主要件です。引っかかりかねないポイントを紹介しましたが、他にも要件があります。以下の要件も含めて確認しておきましょう。

<そのほかの事業主要件>

  • 雇用保険の適用事業主であること
  • 倒産や解雇など特定受給資格者となる離職理由の被保険者数が対象労働者の雇入れ日における被保険者数の6%を超えていないこと
  • 出勤状況および賃金の支払い状況等を明らかにする書類を整備・保管し、必要に応じて管轄労働局に提出協力できること
  • 特定就職困難者コースの支給決定者のうち、雇入れ日から起算して1年を経過する日が5人以上いる場合且つそれらの者の離職割合が50%を超えていないこと

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特定就職困難者コースの受給額

次に特定就職困難者コースの受給額を見ていきましょう。

週31時間以上の方を雇い入れる場合

まずは週換算で31時間以上労働する予定の方を雇い入れた場合の受給額です。

対象労働者支給額助成対象期間支給対象期ごとの支給額
高年齢者(60歳以上65歳未満)、母子家庭の母等60万円
(50万円)
1年
(1年)
30万円 × 2期
(25万円 × 2期)
重度障害者等を除く身体・知的障害者120万円
(50万円)
2年
(1年)
30万円 × 4期
(25万円 × 2期)
重度障害者等240万円
(100万円)
3年
(1年6か月)
40万円 × 6期
(33万円※× 3期)
※第3期の支給額は34万円
( )内は中小企業事業主以外に対する支給額および助成対象期間です。
「重度障害者等」とは、重度の身体・知的障害者、45歳以上の身体・知的障害者及び精神障害者をいいます。

参照:厚生労働省

企業規模によっても支給額に差があることがわかります。ちなみに支給対象期は半年に1回です。つまり「30万円×2期」と表記されていたら、30万円が半年ごとに支給がされるといった具合です。

週20時間~30時間未満の方を雇い入れる場合

続いて週20~30時間未満の短時間労働者を雇い入れた場合です。

対象労働者支給額助成対象期間支給対象期ごとの支給額
高年齢者(60歳以上65歳未満)、母子家庭の母等40万円
(30万円)
1年
(1年)
20万円 × 2期
(15万円 × 2期)
重度障害者等を含む身体・知的・精神障害者80万円
(30万円)
2年
(1年)
20万円 × 4期
(15万円 × 2期)
( )内は中小企業事業主以外に対する支給額および助成対象期間です。
「重度障害者等」とは、重度の身体・知的障害者、45歳以上の身体・知的障害者及び精神障害者をいいます。

参照:厚生労働省

特定就職困難者コースの申請方法

次に特定就職困難者コースの申請方法を紹介します。

おおまかには、ハローワークなどへの求人票発行→対象者の雇い入れ→支給申請→助成金受給の流れです。

申請用紙のフォーマットは厚生労働省のサイトよりダウンロードできます。

厚生労働省 特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)

特定求職者雇用開発助成金を申請する際の注意点

次に特定求職者雇用開発助成金を申請する上で陥りがちなポイントをまとめてみます。

障害者初回雇用コースは廃止

特定求職者雇用開発助成金の中には障害者初回コースが存在していました。「していました」という言葉通り、障害者初回コースは令和3年3月末日をもって廃止とされてしまいました。

障害者雇用を行う場合、障害者初回コースでの申請を検討されている事業所もあったかと思います。しかし、現行の制度では、特定就職困難者コースもしくは発達障碍者・難治性疾患患者雇用開発コースでの申請となりますので、注意しておきましょう。

週20時間未満でも助成金は受給できる

週20時間未満の場合、特定就職困難者コースの申請は行えません。しかし、あくまで特定就職困難者コースが利用できないと言うだけで、週20時間未満であっても申請できる制度があります。

特例給付金制度

特例給付金制度は、週10~20時間未満でしか働けない障害者を雇い入れた事業主への助成制度です。障害者総合支援法の改正により、令和3年度から新設された制度です。

障害者手帳を保持していて、1年以上の継続雇用を見据えての雇用であれば申請ができます。支給額・申請方法は以下の通りです。

申請先はハローワークではなく、独立行政法人高齢障害求職者雇用支援機構(JEED)となる点は注意です。

トライアル雇用助成金(障害者短時間トライアルコース)

トライアル雇用助成金はトライアル雇用を行う企業に対して支給される助成金を指します。

トライアル雇用は通常の雇用とは異なり、3か月間の有期契約を結んだ後に、継続雇用を行うか否かを判断する制度です。トライアル雇用制度では、障害者トライアルコースと障害者短時間トライアルコースの2つがあり、それぞれで助成金を受け取ることができます。

障がい者としごとマガジン

障害者短時間トライアルコースは、1人当たり月額最大2万円が支給されます。週に働ける時間が10時間以上20時間未満の方向けの制度です。

トライアル期間中に週20時間以上働けるように目指していくことを目標につくられた制度です。精神および発達障害者が対象です。期間は3か月間から最大12か月となっています。

トライアル雇用助成金制度については、以下の記事で詳しく紹介しています。ぜひご覧ください。

【企業向け】トライアル雇用助成金はいくらもらえるかが3分でわかります【申請方法・コロナ特例も解説】

重度障害者の定義をチェックしておく

特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)は対象者の障害が重度かそうでないかで受給額が変わってきます。重度かどうかは障害者雇用の場合、明確な定義づけがあります。

かならず条件をチェックしておくようにしましょう。

身体障害者で次のいずれかの場合
・等級が1級、2級の人
・等級が3級で重複の障害がある人

知的障害者で、次のいずれかの場合
・療育手帳で程度が「A」とされている。
・児童相談所又は知的障害者福祉法に規定する知的障害者更生相談所、療育手帳の「A」に相当する程度とする判定書をもらっている。
・障害者の雇用の促進等に関する法律に規定する障害者職業センターにより「重度知的障害者」と判定されている。

FVP

障害者雇用促進法では、以上の定義に沿う身体・知的障害者以外の方は重度にはあたりません。今後、基準が拡充される可能性もありますが、現行の制度ではどんなに症状が重くても精神・発達障害などは重度にはあたりません。

症状や障害が重い=重度だと思っていました。

間違えやすいポイントなので、主観ではなく客観的な基準でチェックが必要ですね。

トライアル雇用助成金と同じタイミングでの受給は出来ない

特定求職者雇用開発助成金はトライアル雇用助成金と同じタイミングでの併給はできません。しかし、同時にはできないというだけで、はじめにトライアル雇用助成金の支給を受けた後、特定求職者雇用開発助成金の申請および受給は可能です。あくまで同じタイミングでの併給ができないというだけです。

しかし制度の変更に伴い、令和3年7月1日以降は特定求職者雇用開発助成金の支給タイミングが変わることになりました。

厚生労働省

従来であればトライアル雇用助成金を受け取った後に、特定求職者雇用開発助成金をそのままスライドして受給することができました。ところが、令和3年7月1日以降は、トライアル雇用期間も含めて半年の間は、特定求職者雇用開発助成金を受給できなくなりました。

3か月間のトライアル雇用を経て継続雇用に至った場合、特定求職者雇用開発助成金を受給するまでに3か月間の待期期間が生じると覚えておくようにしましょう。

まとめ

  • 特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)は就職困難者を雇入れる事業主が受けられる助成制度
  • 就職困難者コースは対象者の障害程度・労働時間、事業主の規模によって受給金額が異なる
  • トライアル雇用助成金制度と併給ができる

いかがでしたでしょうか?

特定求職者雇用開発助成金は他の制度との関連性などもあるため、取っつきづらさがあると思います。しかし助成金額は多額のため、企業の人事担当者であれば知っておきたい知識です。

今回の記事や関連記事を参考に、うまく制度を活用してみてくださいね。

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