障害者雇用を知る

障害者雇用であってもいじめはある【差別を受けたら障害者差別相談センターへ】

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障害者雇用で働いている知り合いが職場でいじめを受けたって聞いたんだ。障害者枠で入ってもいじめってあるものなの?

障害者雇用であってもいじめ(差別)はありえます。気持ちよく働くためにも発生のメカニズムと対処法は知っておきましょう。

障害者雇用で雇われている障害者へのいじめは差別として取り扱われます。一般的な常識の範囲では当然NGですが、事実として企業内でのいじめは誰しも起こりうる可能性があります。障害を持ちながら働く場合は、差別の実態を正確に把握しておき、対象法を知っておきましょう。

この記事は以下の人におすすめ

  • 障害者雇用でいじめを受けないか心配な方
  • 差別の実態と理由を知りたい方
  • 差別を受けたらどのように対処したら良いかわからない方

今回の記事を見れば、それらの疑問を解決できます。

この記事を見れば知ることができること

  • 障害者雇用での差別の実態
  • 障害者雇用で差別が発生する理由
  • 差別を防ぐための方法と差別が発生した時の対処法

それでは実際に見ていきましょう。

障害者差別の実態

障害者雇用での企業による差別のことを使用者虐待と言います。使用者虐待の実態を見ていきましょう。厚生労働省の「令和元年度使用者による障害者虐待等」を基に紹介していきます。

差別・虐待の種類

障害者虐待防止法において、障害者差別や虐待は5種類に分類されています。

身体的虐待、性的虐待、心理的虐待、放置等による虐待(ネグレクト)、経済的虐待の5つです。

使用者虐待の通報件数

令和元年度の使用者者虐待の通報件数は以下の通りとなっています。

使用者虐待では経済的虐待および心理的虐待の件数が高い数値となっています。

どうして心理的虐待と経済的虐待が多くなるの?

どちらも企業(使用者)が意識していないと差別につながりやすいからです。

心理的虐待は必要以上に高圧的な指導も差別として取り扱われます。企業の社風によって高圧的な指導が常態化していると、無意識のうちに差別につながっていることが多いです。

経済的虐待は障害があるからという理由だけで昇給の対象外などにしていると差別として取り扱われます。こちらも企業側の雇用管理の認識が甘い場合、よく起こりがちな差別です。

身体的、性的虐待は一般的な常識さえあれば、そもそもあまり起こりにくい差別です。しかし、心理的・経済的虐待の場合は使用者に他意がなくても、ふとした認識不足で起こりがちな差別です。結果として、他の虐待内容と比べて通報件数も格段に多くなってくるというわけです。

障害者差別の実例

次に使用者虐待における障害者差別の実例を見ていきましょう。すでに働いている方で差別に悩んでいる方はもちろん、これから働く方も予備知識として知っておきましょう。

身体的虐待

  • ミスをした障害者に対して、カッとなって肩を押すような行為をした
  • 挨拶をしても無視をされたと感じた上司が障害者の頭をひっぱたいた

上記は一例ですが、軽く体の部位を小突いたりする行為であっても立派な身体的虐待です。

そもそも身体的虐待は身体への接触の強さで判断されるものではありません。たとえ「発破をかけるつもりで」という目的であろうと、身体に外傷を与える恐れがある行為はすべて身体的虐待となります。

性的虐待

  • 障害者の目の前でわいせつな会話を男性社員同士で複数回行う
  • 理由もなく障害者の体の部位を触る

性的虐待はたとえ障害者本人に対してのものでなくても取り扱われます。障害者本人が目や耳で把握できる範囲で性的な話題を話していたとしても性的虐待の範囲となります。

心理的虐待

  • 障害者が度重なるミスをしたことに対して「アホ」と指導と無関係の暴言を吐く
  • 不必要に大きく声を荒げてミスを叱責する

心理的虐待はいわゆるパワハラとも括られがちな差別の種類です。生産性を上げることとは無関係の指導(高圧的な雰囲気、怒鳴り声など)によって心的ストレスを抱えるような場合は精神的虐待として取り扱われます。

特に「アホ」「クズ」など、人格否定をするような言葉は一発アウトです。

ミスが原因だとしても、「自分がダメだからだ…」と思わないでくださいね。指導によって能力を発揮できていないだけですので!

放置等による虐待

  • 今は任せる仕事が無いからという理由で、障害者に継続的に仕事をあてがわない
  • 真夏の屋外作業であっても熱中症対策が講じられていない環境の中で仕事をさせられた

放置等による虐待は、身体的・精神的ストレスを生じる環境を放置していた場合に該当します。そのため、身体的虐待や精神的虐待とセットで通報されることがあります。不当に仕事をあてがわない状態などは、わかりやすい心理的・放置等による虐待の一例と言えます。

経済的虐待

  • 作業性が伴っていないという理由で最低賃金よりも低い給与に下げた
  • 同じ仕事内容や成果を上げているにもかかわらず、昇給・昇格の対象外とした

不当な給与設定などは全て経済的虐待に当たります。昇給なしの雇用形態だからという理由で、給与の見直しを放置した結果、いつの間にか最低賃金の額を下回る給与になっているケースがあります。

最低賃金は労働者を雇う以上、必ず守らなくてはいけない方で定められた給与水準です。基準を守ろうとしていない企業は一発アウトです。また、働きかた改革により、同じ内容の仕事内容をこなしている障害者は健常者と同等の給与水準である必要があります。(同一労働同一賃金の原則)

特に障害者雇用は一般枠と別枠と捉えている雇用主は多いため、給与の設定が見過ごされがちです。

そのため、障害者側から不当な扱いを受けているのではないかと通報につながりやすいです。

虐待が疑われるレベルであっても通報の義務がある

思ったよりも広い範囲が差別になっちゃうんだね。通報する場合はどこからが基準になるの?

虐待を受けているだけでなく、疑われるというレベルでも通報するよう義務付けられていますよ。

虐待を発見したもしくは受けた人は、市町村か都道府県の虐待防止窓口に通報する義務があります。重要な点としては、障害者本人に虐待の自覚が無くても通報の必要があるということです。

障害者本人の特性によって差別されているという自覚が無い場合があります。こうした場合、虐待が見過ごされるリスクがあります。「虐待かどうか微妙だから様子を見ておく」というのは、一見合理的な判断とも取れます。しかし時間がかかった分だけ取り返しのつかなくなる可能性があります。

通報したことの秘密は守られますので、早めに対応をするようにしましょう。

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障害者差別が発生する理由

それでは次に企業内で障害者差別が発生してしまう理由を考えてみましょう。

①自分の足を引っ張られていると感じるから

まずはじめに使用者虐待が発生する理由は、自分の足を引っ張られていると感じる社員がいるからです。

残念ながら誰しもが聖人君子ではありません。一定の寛容さがあれば、障害者への受け入れも業務の一環として受け止められます。しかし、なかには障害者への配慮を余計な仕事を増やされたと捉える社員もいます。

特に閉鎖的な環境で第三者の目が入りにくい場合、虐待が助長されやすくなります。

②誰しも平等であるという意識がパワハワにつながるから

次に使用者虐待が発生する理由は、企業担当者の誰しも平等であるという意識が無意識のパワハラにつながるからです。

障害者を一人の社員として平等に扱おうと考えること自体は決して悪いことではありません。それを望んでいる障害者も数多く目にしています。

しかし、配慮が必要だからこその障害者雇用で就業していることには変わりありません。フラットに関わり合うべきという意識が強すぎると、配慮すべき点をスルーしてしまう恐れがあります。

特にありがちなのが、コミュニケーションに配慮が必要である方に対して健常者と同様のやり取りを強いてしまうケースです。こうしたコミュニケーション面のストレスは心理的虐待につながりかねないため、障害者、企業担当者双方に注意が必要です。

③障害者ばかり優遇されていると勘違いされるから

最後に使用者虐待が発生する理由は、障害者ばかり優遇されていると勘違いされがちだからです。

たとえば、繁忙期に通院配慮をもらい休んでいる障害者がいるとします。企業担当者は事情を知っていますが、事情を深く知らない周りの社員は、障害者だから優遇されていると思い込む場合があります。

こうした勘違いを防止するために、入社前に配慮事項を的確に伝えておく必要があります。どのくらいの人に伝えておくか考えておくことも大切です。

他の障害者雇用における勘違いや差別につながりかねない要素については、以下の記事を参考にしてみてください。

障害者雇用をずるいと言う人の特徴4選 言われた時の対処法もセットで教えます

障害者差別を受けないための対処法

それでは、障害者差別を受けないための対処法を紹介します。

それはずばり、地域の支援機関に登録をしておくことです。支援機関に登録しておくメリットは、以下の通りです。

  • 支援員が企業に訪問することで、差別や虐待が未然に防ぎやすい
  • 第三者の目線で配慮事項を伝えてくれるため、障害特性の食い違いが防げる
  • 企業側の相談にも乗ってくれるため、企業担当者のストレス軽減も可能
  • 万が一、差別や虐待が生じても適した相談窓口にコーディネートしてくれる

まだまだ他にもありますが、支援機関に登録することで様々な観点から障害者差別を防ぎやすくなります。特に第三者の目線が入ることで、企業側としても一定の雇用管理意識を持ちやすくなります。

また、配慮を伝えること=ワガママだと捉えられてしまうのではないかと感じる障害者は少なくないです。そんな方にとっても、支援機関への登録はおすすめです。支援機関から配慮事項を伝えてもらうことで、客観的な意見として受け取られやすくなるというメリットがあります。

支援機関に関しては、以下の記事を参考にしてみてください。

障害者就業・生活支援センターとは障害者雇用の何でも屋!働くを楽にするためのサービス内容を総まとめ!

障害者差別を受けた場合の対処法

あまり考えたくない事態ですが、もし働いた後に差別を起きた場合の対処法を紹介します。

それは、障害者差別相談センターに相談をすることです。障害者差別相談センターは、国や地方公共団体が設けている障害者を理由とした差別に関する相談機関です。なお、障害者差別解消法では、以下のように規定されています。

国及び地方公共団体は、障害者及びその家族その他の関係者からの障害を理由とする差別に関する相談に的確に応ずるとともに、障害を理由とする差別に関する紛争の防止又は解決を図ることができるよう必要な体制の整備を図るものとする。

障害者差別解消法第14条

使用者虐待以外にも家庭内での虐待など、様々な相談に応じてくれます。いじめに感じる出来事が継続していれば、とにかくまずは障害者差別相談センターに相談すると覚えておきましょう!

まとめ

  • 使用者虐待をはじめとした虐待は、身体的虐待など5つに分類される
  • 過度に平等に取り扱ったり、障害者ばかり優遇されているという勘違いが差別を生み出す
  • 障害者差別は地域の支援機関に登録しておくことで防止につながる
  • 障害者差別を受けた場合は障害者差別相談センターに相談をすること

いかがでしたでしょうか?

「障害者差別」や「虐待通報」という言葉を聞くと、物騒な印象がして自分には関係のないものだと思い込みがちです。しかし、健常者同士でもいじめがある以上、障害者雇用であっても起こりうることは知っておきましょう。

特に、すでに差別に感じられる行為をされている方は早めの対応方法を取ることが重要です。

今回の記事を参考に適した対応方法を検討してみてください。

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