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就労継続支援A型から一般就労へステップアップ!福祉と一般企業のハイブリッド的存在を徹底解説してみた

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いずれは一般企業にチャレンジしてみたい。でも、働かないと収入に不安があるんだけれど、どうしたらいいですか?

そういった人は就労継続支援A型事業所の利用がおすすめです!福祉サービスの一つなので、障害への配慮も得やすいですよ!

就労継続支援A型事業所は、一般企業での就労が困難な方に向けて、就労の場を提供する福祉サービスです。最低賃金を得ながら通所(就労)することができるサービスとしてニーズがあります。

今回はそんな就労継続支援A型の概要から、一般就労へのステップアップ例までまとめてみました。今回の記事を見れば、就労継続支援A型事業所の全てがわかります♪

この記事は以下の人におすすめ

  • 就労継続支援A型事業所がどんなサービスかイメージがつかない方
  • 就労継続支援A型事業所を活用するとどういったメリットがあるか知りたい方
  • 就労継続支援A型事業所から一般就労したケースを知りたい方

今回の記事を見れば、それらの疑問を解決できます。

この記事を見れば知ることができること

  • 就労継続支援A型事業所の概要・利用方法
  • 就労継続支援A型事業所を利用するメリット・デメリット
  • 就労継続支援A型事業所から一般就労した実例

それでは、実際に見ていきましょう。

就労継続支援A型事業所とは

就労継続支援A型事業所とは、雇用契約を結んで就労の機会を提供する福祉サービスです。利用対象やサービス内容など、一つずつ見ていきましょう。

利用対象者

利用対象者は以下のように規定されています。

就労機会の提供を通じ、生産活動にかかる知識及び能力の向上を図ることにより、雇用契約に基づく就労可能な障害者(利用開始時、65歳未満の者)

厚生労働省 就労継続支援A型、B型に係る報酬について

ひとことで言えば、65歳未満の障害を持っている人であれば誰でも利用することができます。誤解されがちですが、就労継続支援A型は障碍者手帳無しでも利用できます。

え?障害者としての働くんだから、手帳は必須なんじゃないの?

それは一般企業に障害者雇用枠で働く場合のパターンですね。就労継続支援A型は福祉サービスの扱いなので、福祉サービス受給者証があれば利用が可能です。

その代わり、障害内容によっては通院の証明が必要になる場合があります。詳しくは最寄りの自治体の障害福祉課もしくは利用希望の就労継続支援A型に問い合わせてみましょう。

サービス内容

就労継続支援A型のサービス内容は以下の通りです。

■ 通所により、雇用契約に基づく就労の機会を提供するとともに、一般就労に必要な知識、能力が高まった者
について、一般就労への移行に向けて支援
■ 一定の範囲内で障害者以外の雇用が可能
■ 多様な事業形態により、多くの就労機会を確保できるよう、障害者の利用定員10人からの事業実施が可能
■ 利用期間の制限なし

厚生労働省 就労継続支援A型、B型に係る報酬について

通所してどのような作業を行うかは事業所によりけりです。箱折りなどの内職作業やPCでのデータ作業を行うところまで様々です。外部企業からの業務請負という形で、施設外で清掃やスーパーの品出しなどを行っている事業所もあります。こうした、外部での作業のことを「施設外就労」と呼びます。

他のポイントとしては、”一般就労への移行に向けて支援”と”利用期間の制限なし”の二点です。

就労継続支援A型は一般就労のステップアップを図る場である側面を持ち合わせています。就労継続支援A型のスタッフは支援員としての立場も持ち合わせています。なかには、就労支援機関とのコーディネートをはかってくれたりと一般就労への橋渡しをしてくれる場合があります。

また、利用期間の制限がありません。業務内容・収入面から満足感を得ているということであれば、期限なく利用し続けることができます。

就労継続支援B型事業所との違い

就労継続支援A型とは同じ福祉サービスである就労継続支援B型事業所とよく比較されます。A型・B型とひとくくりにされることが多いですね。

なんかAとかBとかややこしそう、どう違うの?

基本的には同じですよ。最も大きな違いは雇用契約を結んでいるかどうかですね。

就労継続支援B型はA型とは異なり、雇用契約を結びません。そのため、就労継続支援A型とは以下のような違いが出てきます。

<就労継続支援A型とB型の違い>

A型事業所B型事業所
利用者一般就労にチャレンジするには困難がある方A型よりも作業性に困難がある方
(あくまで傾向)
サービス内容軽作業系以外にも事務系など多様性がある軽作業系が多い
給与最低賃金保障工賃という形で月数万の支給
出勤率毎日通所が原則毎日通所が原則だが、A型よりは寛容な事業所が多い

就労継続支援B型は知的障害者の利用割合が5割を超えており、サービス内容も利用者に合わせて軽作業系に限定されている事業所が多いです。また、給与に関しても、就労継続支援B型は雇用契約を結ばないため、工賃という形で支給されているという違いがあります。

ただ、就労継続支援B型は最低賃金を支払うという規定が無いため、同じ軽作業系であっても、農作業などの多種多様な作業種別があります。

詳しくは以下の記事を参考にしてみてください。

就労継続支援B型事業所ってどんなサービス?B型にしかない魅力やA型との違いを徹底解説!

就労継続支援A型事業所の利用方法

就労継続支援A型事業所の利用は以下の流れで進められます。

ひとつずつ見ていきましょう。

①見学

まずは見学から進められることがほとんどです。見学は特別な申請手続きは必要ありません。直接利用したい就労継続支援A型などに問い合わせてしてみましょう。その際に、利用定員に空きはあるかを必ず確認しましょう。見学しておいて、今は利用者の受け入れをしていないとなると骨折り損になっちゃいます。

②体験利用・面接

見学を終えて双方が良ければ体験利用(実習)を行います。期間は事業所によりけりです。2,3日程度のところもあれば、一週間以上かけるところもあります。

体験利用の結果、お互いに利用の方向性で一致すれば面接の運びになります。なお、面接の際にはハローワークで紹介状を発行手続きを行う必要があります。

③受給者証発行

採用の方向性になったら、自治体の障害福祉課などで、福祉サービス受給者証発行の手続きを行います。福祉サービス受給者証は福祉サービスを利用するためのパスポートのようなものと認識してもらえればOKです。

この福祉サービス受給者証を発行するためには、事前に計画相談支援事業所でサービス等利用計画を作成してもらう必要があります。そのため、理想を言えば見学の前段階から、計画相談支援事業所探しをしておくのが良いです。障害福祉課や自治体のHPを参考にしながら、どんな計画相談事業所があるかをリサーチしておきましょう。

サービス等利用計画は、障害者本人や家族が作成できるセルフプランで申請をすることもできます。就労継続支援A型への利用をお急ぎの方は活用してみましょう。

④サービス開始

すべての手続きが終わったら、いよいよサービス開始となります。

通常は福祉サービス受給者証が発行されてからとなりますが、自治体によっては「暫定支給」という形を取って、発行手続きが終わった時点から利用を開始できる場合があります。

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就労継続支援A型事業所を利用するメリット

就労継続支援A型は様々なメリットがあります。

最低賃金以上の給与をもらいながら働ける

なんと言っても、最低賃金以上の給与をもらいながら通所できる点がメリットです。

就労の準備が整っていない方に関して、「就労移行などで、ゆっくり訓練を積んでから…」と支援者が言うのは簡単です。とはいえ、生活者である以上、日々の生活にお金はかかりません。

どうしたって準備が整う前にお金の心配はつきまといます。そんな方々にとっては、就労継続支援A型は無くてはならない存在です。

一般企業よりも配慮をもらいやすい

次のメリットは一般企業よりも配慮をもらいやすい点です。

障害があることを前提で働くこと、スタッフが支援員という立場で関わることから、一般企業よりも自身の障害を伝えやすい点がメリットです。

せっかく配慮を受けるのであれば、しっかりと自身の特性を把握しておくことが大事です。合理的配慮の得方については、以下の記事も参考にしてみてくださいね。

障害者雇用で合理的配慮を得る方法教えます【知らないと危ないです】

一般就労に向けての自信をつけやすい

次のメリットは、一般就労に向けての自信をつけやすい点です。

たとえば、体調不良で会社を退職してしまった場合、「次の会社でも体調不良になるのではないか…」という不安はつきまといがちです。就労継続支援A型では実際の就労を行うことで、自分がうまくいかなかった点に向き合うことができます。

通所する日々の中で、次のステップにチャレンジできそうだという自信を焦ることなく身に着けやすいです。また、支援員からのフィードバックをもらいやすいため、客観的な意見も得られる上でもメリットがあるでしょう。

就労継続支援A型を利用する上での注意点

一見、万能そうに思える就労継続支援A型も注意点があります。

短時間・最低賃金の事業所が多い

一点目の注意点は短時間且つ最低賃金の事業所が多い点です。

就労継続支援A型はあくまでも”一般就労にチャレンジすることに困難がある方”を想定したサービスです。

そのため、4、5時間程度の就業時間の事業所が多いです。また、業務内容も高い生産性が求められるわけではないため、最低賃金程度のところがほとんどです。

就労継続支援A型でステップアップすることはできないんですか?

よく受ける質問ですね~。ただ、就労継続支援A型はあまり個人のキャリアアップは想定されていないことがほとんどです。

就労継続支援A型は、請け負った業務を個々人に割り振って仕事を進めていくケースが多いです。それもあってか、特定の個人だけ業務時間を延長させたり、給与を上げることを想定した業務形態になっていません。

もし障害者が多い環境の仕事でキャリアアップをしていきたいという方は特例子会社への就職をおすすめします。特例子会社については、以下の記事を参考にしてみてください。

特例子会社のメリット・デメリットを忖度なしで教えます【現役支援員が解説】

仕事の確保がされていない事業所もある

就労継続支援A型の中には、仕事の確保がされていないブラックな事業所もあります。

え?なにそれこわい?福祉のサービスなのに?

いわゆる悪しきA型として、福祉関係者の中でも取り沙汰されていた問題です。令和3年の現在はややマシにはなっていますが…

なぜ就労継続支援A型なのに、やってもらう仕事が無いといった状況が起こるのか?それは、助成金目当てで就労継続支援A型を立ち上げる企業が一時期多かったことが要因です。

就労継続支援A型の助成金は、利用者の賃金を差し引いても多額のため、「立ち上げさえすれば収支がプラスになる存在」でした。本来は本業の利益から賃金を支出することが前提なのですが、一時期は監督官庁からの口頭指示のみで済んでいたことがありました。

令和3年の現在は、国の厳格な取り締まりでそうした事業所は減ってきています。しかし、その時のなごりで利用者の業務の振り分け・確保ができていない事業所もあることは事実です。必ず見学・実習で雰囲気や実態の確認をしておくようにしましょう。

障害者が多い環境の中で働くことに不向きな人もいる

配慮されやすいとは言えど、障害者が多い環境の中で働くことに変わりはありません。

体調不良などで事業所内で怒鳴り声を上げてしまったり、意志疎通がうまくいかなかったりということも起こりえます。いくら仕事ができるという方であっても、そういった周りの環境に対して、我慢ができないという方もいます。

就労継続支援A型に定着できないから一般就労にステップアップできないというわけではありません。就労移行などを経由して一般就労をする手段もあります。自分にとって向いているかそうでないかをしっかり考えておきましょう。

【2021年版】本当におすすめの就労移行支援事業所3選【現役支援員が解説】

就労継続支援A型から一般就労した実例

それでは、実際に就労継続支援A型から一般就労した方の実例を紹介していきます。

ケース1 就労経験が無いところから自信をつけてステップアップできたケース

  • 障害

30代/発達障害

  • 作業内容

清掃(施設外就労)

  • 利用経緯

前々から、一般就労にチャレンジしたいと考えていた。しかし、就労経験が無いため、実績や体力面共に自身が無い。まずは就労継続支援A型で経験を積んでから一般就労にチャレンジしたいと思い、利用に至った。

  • ステップアップ詳細

最初は週4日の3時間程度の通所からはじめていき、仕事に慣れるというところからスタートしていく。通所をしていく中で、臨機応変な作業が苦手であるという特性に気づいていく。本来は清掃という作業はできたかどうかが可視化しにくく、負担が生じやすいと覆っていたが、ルーチン化しやすい点で自分の特性とマッチしていることがわかった。

最終的には週5日、休むことなく通所ができたため、一般就労にチャレンジしたいという気持ちが強くなった。相談支援機関からの紹介で福祉用具清掃・管理の仕事への就職が決まり、無事ステップアップを果たすことができた。

体力や自身の特性を把握できたうえで一般就労を果たしたケースです。ステップアップの形としては、オーソドックス且つ理想的な形と言えますね。

ケース2 障害者が多い中での就労は合わないとことに気づき一般就労をしたケース

  • 障害

20代/発達障害

  • 作業内容

事務作業(データ入力)

  • 利用経緯

一般就労経験者だったが、企業の雇用管理がずさんだったため、退職した。一般就労のための橋つなぎとして、就労継続支援A型の利用を決めた。

  • ステップアップ詳細

はじめから所定の時間にフルで通えており、作業上の問題もなかった。仕事にも慣れるのも早かった。しかし、通所するにつれて、周りの障害者が声を上げたり、利用者同士の作業スペースの距離感が近すぎることにストレスがたまることが多くなった。

ストレスの高まりに伴い、自分自身も怒りを覚えることが多くなってきたため、利用開始から半年で一般就労にチャレンジすることに決めた。保護者や支援員からは、まだ時期尚早なのではないかという声があったが、自身で求人を探し、事務職への採用を決めている。

転職後はたびたび業務内容で不安を抱えていることは多かったものの、5年経過した時点でも就労をしており、一定の満足感を得られている。

障害者が多い環境の中で働くことに負担を覚えたケースですね。一見、ネガティブな理由での転職理由ですが、環境面での向き不向きをしっかりと気づけたため、転職に成功できています。

一般就労にステップアップして成功した人の共通点は”気づき”の有無

ステップアップ就労で一番大事なポイントは、就労継続支援A型で自分の特性に対して気づきを得られたかという点です。今回の記事で一番重要な点といっても良いかもしれません。

もし気づきを得られれば、それがネガティブな理由であったとしても、決して悲観することはありません。

たとえば就労継続支援A型のようにチームで働くことに対してストレスを感じたということであれば、単独作業が中心の作業環境の方が合っているのではないかという気づきを得られるチャンスになります。こうした気づきをたくさん得られれば、転職した時のミスマッチングを防ぎやすくなります。

周りの人からはネガティブな理由での転職を止められることもあるかもしれません。しかしそうしたネガティブな理由からどのように次に活かすか、自身の特性はどういった部分か説明をできさえすれば、むしろ有益な経験となります。

逆に一見問題なく通所できていても、自分の得意不得意が説明ができないとなると、ステップアップに失敗するというおそれがあります。

ステップアップ就労には問題のあるなしではなく、気づきの有無が大事であることはよく覚えておきましょう。

まとめ

  • 就労継続支援A型事業所は雇用契約を結んで通所する福祉サービス
  • 一般企業よりも配慮をもらいやすく、ステップアップ就労への自身もつけやすいというメリットがある
  • 体制上、問題のある事業所があったり、障害者が多い環境の中で働くことに不向きな人もいる
  • 就労継続支援A型からステップアップ就労をする際は気づきをどれだけ得られたかが大事

いかがでしたでしょうか?

就労継続支援A型はメリット・デメリットを理解できれば、ステップアップ就労の際にはとても良いサービスです。今回の記事を参考に、ぜひ悔いのない通所生活、就職活動を送ってくださいね。では、次回の記事でお会いしましょう!

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