トライアル雇用で障害者の雇用を考えています。トライアル雇用助成金について詳しく知りたいんですが、どうすればいいですか?
トライアル雇用助成金はトライアル雇用をする企業が活用できる助成制度ですね。一見、ややこしいですが、一度理解さえすれば気軽に活用できますよ!
トライアル雇用助成金はトライアル雇用を活用する企業向けの助成金制度です。今回はトライアル雇用とはどんな制度か踏まえたうえで、助成金制度の詳細について解説していきます!
この記事は以下の人におすすめ
- トライアル雇用助成金がどういったものかわからない方
- トライアル雇用助成金の申請方法や助成金額がわからない方
- トライアル雇用が会社側にどのようなメリットがあるのか知りたい方
今回の記事を見れば、それらの疑問を解決できます。
この記事を見れば知ることができること
- トライアル雇用助成金の概要
- トライアル雇用助成金の申請方法や助成金額
- トライアル雇用の企業側のメリット
それでは一つずつ見ていきましょう。
目次
トライアル雇用助成金とはトライアル雇用制度を活用した企業への助成金
トライアル雇用助成金はトライアル雇用を行う企業に対して支給される助成金を指します。
トライアル雇用は通常の雇用とは異なり、3か月間の有期契約を結んだ後に、継続雇用を行うか否かを判断する制度です。

トライアル雇用はおたがいの見極め期間として活用される制度となります。お見合い期間とでも言い換えることができるでしょうか。
雇った障害者の能力が高い低いに関係なく、3か月のトライアル期間を終えると一旦雇用契約が終了となります。そのため、雇用してから判断するという選択肢が生まれます。
なお、厚生労働省ではトライアル雇用を以下のように規定しています。
職業経験、技能、知識等から安定的な就職が困難な求職者について、ハローワークや職業紹介事業者(※)等の紹介により、一定期間試行雇用した場合に助成するものであり、それらの求職者の適性や業務遂行可能性を見極め、求職者および求人者の相互理解を促進すること等を通じて、その早期就職の実現や雇用機会の創出を図ることを目的としています。
厚生労働省
つまり、トライアル雇用助成金制度は、すぐに安定して働けるかがわからない障害者などを受け入れた企業に対して助成を行う制度ということですね。
トライアル雇用制度は助成金以外にも、企業側の雇用ノウハウを高められるなど、様々なメリットがあります。積極的に活用していきましょう。
トライアル雇用については以下の記事にて詳しくまとめております。参考にしてみてください。
→トライアル雇用でもクビになります。知っておこう!ならない対処法、なった時の心構え
トライアル雇用助成金の支給額
トライアル雇用助成金は障害者トライアルコースと障害者短時間トライアルコースで支給金額が分かれます。
通常の障害者トライアルコースは1人当たり月額最大4万円が支給されます。重度身体、重度知的、精神障害者を対象としています。ただし、精神障害者は月額最大8万円の支給が受けられます。
支給期間はトライアル期間と同様、最大3か月です。ただし精神障害者の場合は、追加で3か月間、トライアル期間を延長することができ、後半の3か月間は月額最大4万円の支給が受けられます。
なお、対象者が母子家庭の母や父子家庭の父の場合は、1人当たり月額5万円(最長3か月間)の助成金が受けられます。
障害者短時間トライアルコースは、1人当たり月額最大2万円が支給されます。週に働ける時間が10時間以上20時間未満の方向けの制度です。
トライアル期間中に週20時間以上働けるように目指していくことを目標につくられた制度です。精神および発達障害者が対象です。期間は3か月間から最大12か月となっています。
精神障害の方を雇い入れる際の助成金額は他の障害と比べて大きいんですね。
それだけ国が精神・発達障害の職場定着に力を入れているということです。精神障害者の就業後1年間の定着率は約50%と他障害の平均(約6~7割)と比べて差がありますしね。
トライアル雇用助成金の対象企業
トライアル雇用助成金制度はかなり採用コストを抑えられるんですね!さっそく使ってみたいです!
ところがどっこい!すべての企業が使える制度ではないんです!以下の要項に当てはまっているかを確認しておきましょう。
トライアル雇用助成金制度は、トライアル雇用制度が活用できる企業を対象としています。具体的には、以下に当てはまる企業が対象となります。
すいません…長いです…よくわからないです…
と言うと思いましたので、ポイントをまとめてみました笑
<トライアル雇用対象企業> ※ポイントのみ
- 過去3年以内にトライアル雇用制度を使っていないこと
- ハローワークからのトライアル雇用求人から採用を行っていること
- 労働関係法令の違反をしていないこと(給与未払い、助成金の不正受給など)
- 国、地方公共団体などの行政に準ずる団体・法人ではないこと
- 事業主および取締役の第3親等以内の労働者を雇い入れていないこと
実際に活用する場合は一つずつチェックしてほしいですが、とりあえず上記のポイントだけ抑えていればOKです。
ちなみにトライアル雇用は雇い入れる予定の労働者にも要件が課されています。
① 紹介日の前日から過去2年以内に、2回以上離職や転職を繰り返している
厚生労働省
② 紹介日の前日時点で、離職している期間が1年を超えている
③ 妊娠、出産・育児を理由に離職し、紹介日の前日時点で、安定した職業に就いていない期間が1年を超えている
④ 55歳未満で、ハローワーク等において担当者制による個別支援を受けている
⑤ 就職の援助を行うに当たって、特別な配慮を要する
“いずれか”の要件に当てはまってさえいればOKなので、雇用される側にとっての利用のハードルはそこまで高くありません。
トライアル雇用助成金の申請方法
トライアル雇用助成金制度を受給するには、トライアル雇用終了後に受給申請を行う必要があります。
トライアル雇用助成金はトライアル雇用期間前もしくは最中にもらえるわけではありません。まずはトライアル雇用開始から2週間までの間に、実施計画書を提出する必要があります。
トライアル期間が終了後、終了翌日から2か月以内に結果報告書兼支給申請書を申し込みます。申込後、実施したトライアル期間および雇用した障害者の障害種別などに応じた助成金が振り込まれます。
実施計画書や結果報告書のフォーマットは以下からダウンロードしてください。
新型コロナウイルスの特例制度について
新型コロナウイルスにより、休業に追い込まれた場合は特例としてトライアル雇用期間の延長を行うことができます。ただし、すでにトライアル期間を終えている場合は対象となりません。以下が対象者の要件です。
対象者要件については見たまんまです。続いて、期間の延長例です。

従来は休業した分を3か月の期間満了後に追加分として計上していました。対してコロナウイルス特例では休業している間はトライアル雇用期間に算定せず、復職後から就業日数のカウントをスタートする仕組みになりました。
これにより、急な休業となっても臨機応変にトライアル雇用制度を運用することが可能になります。
(R3.6.23追記)特定求職者雇用開発助成金(特開金)との関係
トライアル雇用助成金は特定求職者雇用開発助成金(通称:特開金)との併用需給が可能です。
特開金は高齢者や障害者などの特定求職者に分類される方を、ハローワーク求人を通して雇用した場合に受給できる制度です。
従来であればトライアル雇用助成金を受け取った後に、特開金をそのままスライドして受給することができました。ところが、令和3年7月1日より、トライアル雇用期間も含めて半年の間は、特開金を受給できなくなりました。
3か月間のトライアル雇用を経て継続雇用に至った場合、特開金受給までに3か月間の待期期間が生じると覚えておくようにしましょう。
トライアル雇用制度を活用する前にチェックしておくこと
最後に、トライアル雇用を活用する企業がチェックしておくべき事項を確認しておきましょう。
障害者へのフォローアップ体制は整っているか
いかにトライアル雇用がおたがいの見極めといっても、障害者雇用に変わりはありません。受け入れる企業側で障害者への配慮が可能な環境になっていることが前提となります。以下の点に関しては最低限整えられているかを確認しておきましょう。
- 障害者が相談できる企業内のキーパーソンを擁立できているか
- 未経験者を想定した業務の切り出しはできているか
- 通院などの休みに対して配慮が可能か、社内でフォロー体制が取れているか
- トライアル雇用期間満了後の正式採用となる基準が明確になっているか
特に4点目の正式採用の基準は大事なポイントです。どこまでを採用の基準とするかが明確になっていないと、企業と障害者側で評価の軸がぶれてしまい、トラブルになりかねません。主観ではなく、客観的な基準をもうけておくようにしましょう。
採用担当と現場社員との連携体制を整えておく
トライアル雇用はまだ障害者を受け入れたことのない企業の利用が想定されています。そのため、現場社員にとって障害者の受け入れは初めてのケースが多いです。
あらかじめ現場社員の不安感を取り除いておくために、障害者雇用に関するミニ勉強会などを開くのも良いでしょう。
また、トライアル雇用に関しては各種申請書類の作成が必要となります。実施計画書などの書類の作成には現場社員の協力も必要不可欠となります。
もしこの記事を読んでいるあなたが人事担当なら、現場社員との交流は密にしておくに越したことはありません。
まとめ
- トライアル雇用助成金制度はトライアル雇用制度を活用する企業に対して支払われる助成金制度
- 助成金の支給額や期間は、雇い入れる障害者の障害種別や労働時間によって異なる
- すべての企業がトライアル雇用制度を活用できるわけではないので、事前に要項を確認しておく
- コロナウイルスによる休業の場合は、休業期間はトライアル雇用期間に算定されない
- トライアル雇用制度を活用する前に、社内のフォローアップ体制や現場との連携が整っているかを確認しておく
いかがでしたでしょうか?
トライアル雇用助成金制度はうまく活用することで、採用コストを大幅に下げることができます。制度を活用することで、結果的に障害者雇用が当たり前となる企業となれば、お互いに思いやりのある社風へと変革することも不可能ではないと思います。
今回の記事を参考に、障害者の採用活動を効果的に進めてみてください。
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