どうしても入りたい会社があるんだけど、障害者雇用で募集がかかってない…もうあきらめるしかないのかな
一般枠で応募して、面接時に障害をオープンにする「セミオープン就労」という手段がありますよ!
どうしてもチャレンジしたい会社があるけれど、障害者雇用で求人を出していないから落胆した…そんな経験がある方は多いのではないでしょうか?
今回の記事では、障害を開示しつつ一般枠で応募を行うセミオープン就労について特集します。使いようによっては選択肢がグッと広がります。ぜひ最後までご覧ください。
この記事は以下の人におすすめ
- チャレンジしたい会社に障害者雇用求人が無い方
- 障害者雇用求人だと求人数が少ないと悩まれている方
- 高条件求人にチャレンジしたい方
今回の記事を見れば、それらの疑問を解決できます。
この記事を見れば知ることができること
- セミオープン就労の概要
- セミオープン就労のメリット・デメリット
- セミオープン就労において、障害をどこまで伝えるべきか
それでは実際に見ていきましょう。
目次
セミオープン就労とは何か?
セミオープン就労は、障害を一部の人に限定して伝えて就労を行う方法です。
障害を伏せて一般枠で応募を行い、面接選考の段階ではじめて障害をオープンにする方法が一般的です。障害があることは企業の採用担当もしくは一部の管理職レベルにまで留めておいてもらいます。
まさに「セミオープン」の名の通り、半分は開示してもう半分は伏せるという働きかたです。とはいえ、これは私が便宜上そう呼んでいるだけで、公式的な呼び方はありません。また、公的な機関が推奨もしくは否定している方法でもありません。
そんな働きかたって問題にはならないの?
まったく問題にはならないですよ!クローズ就労という言葉がある通り、障害者手帳があるからと言って一般枠に応募してはいけない決まりはありません。
障害を持っていても一般枠での応募は問題なくできます。
採用面接時は就職差別につながりかねない質問は面接官は避けることが原則とされています。そのため、病歴などのデリケートな質問は避けてくる可能性が高いです。つまり、自身の障害を言うか言わないかも本人次第ということです。
セミオープン就労では、障害者雇用の懸念であった応募求人やキャリアアップの問題を払拭したうえで、障害を伝える機会をもうけることができます。
そのため、伝え方次第では、セミオープン就労はクローズ就労とオープン就労の良いとこ取りをできる働きかたになります。夢のある方法ですが、それだけ就職前後での心構えや求められるハードルは高くなるので、しっかりと確認しておきましょう。
セミオープン就労のメリット
それでは、セミオープン就労のメリットから整理していきましょう。
求人選択の幅が広がる
セミオープン就労の一つ目のメリットは、何と言っても求人選択の幅が広がることです。一般枠も含めて応募を検討できるため、一気に制限がなくなります。
そのため、障害者雇用では手薄な正社員の求人にチャレンジできたり、専門スキルが問われる求人にも応募が可能となります。
障害者雇用枠でなくても配慮が受けられるかも
次のセミオープン就労のメリットとしては、障害者雇用枠でなくても配慮が受けられる可能性があることです。
え?一般枠でも配慮って受けられるものなの?
配慮は保障されているわけではありませんが、会社が配慮できるレベルであれば対応してもらえる場合もありますよ。
一般枠であっても、内容によっては配慮してもらえることがあります。たとえば、服薬配慮などは企業側に負担がほとんどないため、受け入れてもらいやすいです。職業上の合理的配慮は障害者雇用枠ではないと受けられないという決まりは有りません。
なので、企業が対応できる範囲であれば対応を求めることができます。といっても、もともと障害者雇用枠をもうけていない会社の場合、どこまで受け入れてくれるかは企業によって大きく異なります。過度な期待は禁物です。
キャリアアップがはかりやすい
最後のセミオープン就労のメリットはキャリアアップがはかりやすい点です。
セミオープン就労は障害を一部にオープンにはするものの、一般枠からの入社であるため、通常の社内規定に沿ったキャリアアップがはかりやすいです。
良くも悪くもセミオープンで入った社員に対して、あらたな規定をもうけることは会社側にもコストが生じます。それを逆手にとって、順調に能力を発揮さえすれば一般社員同様のキャリアアップをはかることができます。
セミオープン就労のデメリット
セミオープン就労って良いことばっかじゃん!むしろ普通の障害者雇用より良いんじゃない?
ちょっとまって!もちろん良いこともありますが、注意が必要な部分も多いんですよ。
求人選択やキャリアアップの幅が広がる一方で、セミオープン就労にはデメリットもあります。
望んだ配慮は受けられない可能性が高い
最初に紹介するセミオープン就労のデメリットは、100%希望通りの配慮が受けられない点です。
セミオープン就労は障害者を雇用することを前提としていません。合理的配慮を求めるのに採用形態は問わないとはいえども、希望通りの配慮が受けられるとは限りません。言葉を濁さず言えば、障害者雇用では物足りないと言えるレベルにないと、セミオープン就労では相当の負荷がかかると思います。
就業条件別に、どこまでのハードルが求められるかを見ていきましょう。
就業内容
就業内容については、専門スキル(IT、企画、経理など)を求められる業種においては内容調整を求めることは厳しいでしょう。専門スキルを想定して給与などを定めている企業が多いため、業務遂行は一般社員と同等レベルが求められます。
一方、専門スキルが問われにくい業種(事務補助など)や、マンパワーが必要な業態(小売店の品出しなど)の場合は、内容調整のハードルが低い傾向にあります。セミオープン就労であっても、付随する業務であれば業務削減をしてもらえるかもしれません。
ただ、業務のハードルが高くない仕事の場合、最初から障害者雇用でも募集がかかっていることがあります。無理にセミオープン就労でチャレンジする価値があるかは、よく考えて決断した方が良いでしょう。
就業時間
就業時間の調整については、企業がどれだけ人手がほしいかによって異なります。時短勤務であっても、とにかくマンパワーが必要な企業の場合、1,2時間の時短勤務であれば応じてくれる可能性があるでしょう。
正社員でフルタイムが前提の企業だと、時短勤務自体が選考上不利になりうるため注意が必要です。もし時間的配慮がほしいという場合には、フレックスタイム制を採用している企業などを選ぶようにしましょう。また、テレワークを積極的に導入している企業であれば、体力的な負荷を減らすことも可能です。
コミュニケーション
コミュニケーション面の配慮は求める上でのハードルが高いというのが正直なところです。
就業内容や時間は、あくまで契約内容の調整となるため、わかりやすさがあります。しかし、コミュニケーションは可視化できるものではありません。面接の場で配慮が可能かを企業担当者が判断できないため、内容によっては選考上、不利に働く場合があります。
仕事に慣れるまでは担当者をもうけてほしいなど、障害を問わずに必要と思われる配慮点には対応してくれる場合があります。しかし、月1回の定期面談でフィードバックをしてほしいなど、新たにルールや枠組みをもうけるような配慮は難色を示される可能性があります。
異動
異動が伴う雇用形態の場合は、障害者社員だけ異動させないといった配慮はできないケースが圧倒的です。というのも、雇用条件の中に転勤を伴うことが最低条件として含まれているからです。
障害という理由で転勤対象外にすると、配慮ではなく優遇につながりかねません。結果的に、周りから懐疑的な目で見られることになり、障害者本人にデメリットが生じます。
地域限定職にするにせよ、給与が転勤を伴う総合職などに比べて目減りする可能性は高いです。
面接時の障害の伝え方が難しい
次のセミオープン就労でのデメリットは、面接時の障害の伝え方が難しいということです。障害者雇用の場合、障害があることが前提のため、配慮内容を伝える上での心理的ハードルは低くなります。面接官から配慮事項は何かを聞いてくれますしね。
対して、セミオープン就労は、いつどのようなタイミングで、どこまで障害を伝えるかを自己判断しなくてはいけません。面接官はこちらが障害をもっていることを知らないわけですから、相手に理解してもらえるように伝える必要も出てきます。
そのため、面接での立ち振る舞いやシミュレーションは、障害者雇用よりも高いレベルが求められます。
支援機関をフル活用できない
最後のセミオープン就労でのデメリットは、支援機関をフル活用できない点です。
支援機関が職場に介入することは、障害があることが社員にバレることにつながるため、訪問支援のハードルが障害者雇用枠よりも高くなります。
てことは、セミオープン就労だと支援機関は使えないの?
いえいえ、セミオープン就労でも支援機関を活用する方法はありますよ。
<セミオープン就労で支援機関を活用する方法>
- 企業担当者が支援機関の介入を認めてもらえれば職場訪問支援も可能となる。ただし、一般社員にも障害があることが人づてでバレてしまう可能性がある。
- 企業ではなく、支援センター内での定期面談という形で支援を継続できる。
企業側の了解さえ取れれば、セミオープン就労でも職場に訪問は可能です。ただ、一部の社員にしか障害は分からない形で入社している経緯がある手前、障害があることが何かしらの形で知られる可能性は否めません。そうしたリスクも想定したうえで、利用を検討してみてください。
定着支援を行う事業所については、以下の記事を参考にしてみてください。
→【2021年版】就労定着支援事業とはなにか?トラブルにならないための3つの掟、教えます。
→障害者就業・生活支援センターとは障害者雇用の何でも屋!働くを楽にするためのサービス内容を総まとめ!
セミオープン就労での障害をどこまで伝えるか
セミオープン就労にもデメリットはあるんだね、結局のところ、面接ではどこまで障害を伝えたらいいのかな?
個人の価値観にもよりますが、体調維持に関わる配慮事項であれば伝えるべきかと思います。
セミオープン就労において障害をどこまで伝えるかは、だれもが直面する悩ましい問題です。障害を伝えすぎたら不利になってしまうという想いがありますよね。かといって、障害を知っておいてもらいたいからこそ、クローズ就労ではなくセミオープン就労を選ばれていることと思います。
現役支援員としては、健康維持に関わるかどうかを伝えるかどうかを伝えるかどうかのラインにすることを勧めます。

わかりやすい例としては、通院配慮が挙げられます。通院を月1回必ずしなければならない方が面接時にそれを伝えずに、通院日も通勤していたとしたら、結果はどうなるか明らかですよね?
自分だけでコントロールが難しく、配慮以外でカバーすることが難しい要素は、選考上に不利になってもオープンにすることを勧めます。もし伏せたことで体調が悪化した場合、退職はおろか、再就職するまでにかなりの時間を要してしまうリスクがあります。
対して、自分でカバーできるレベルの配慮点であれば、あえて伝えないのも選択肢です。入社後の対処方法を周りの方と相談しておくのも良いですね。重ね重ね言いますが、あくまで体調不良にならないことが前提での選択肢です。積もり積もって過度のストレスになってしまっては身も蓋もありません。事前に家族、支援機関、主治医などと配慮事項をどこまで伝えるか相談しておくようにしましょう。
まとめ
- セミオープン就労は一般枠で応募して、面接段階で障害をオープンにして働く方法
- 応募求人の幅が広がるだけでなく、キャリアアップがはかりやすい点でメリットがある
- 障害者雇用よりも配慮が受けづらく、障害の伝え方も難しい点がデメリット
- 健康維持に関わるレベルかどうかを配慮事項として伝えるかどうかの線引きにする
いかがでしたでしょうか?
セミオープン就労はあまり一般的な方法ではないので知らない方も多かったのではないでしょうか?
クローズ、オープン就労以外の第三の選択肢として検討すると、考え方の幅を広げることができますよ。興味のある方はぜひ、周りの方と相談しながら活用してみてくださいね。
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