障害者雇用なら障害をクローズで働くよりも楽になれるんでしょ?ストレスから無縁になれるんならチャレンジしてみたいな。
甘い!障害者雇用=楽になれるというのは短絡的です。障害者雇用には、配慮を受ける立場だからこそ辛い一面もあるんです。
障害者雇用は障害に対し、配慮を得ながら働くことができる制度です。うまく活用して充実した社会人生活を送られている方は多くいます。しかし、社会人である以上、全員が良い面を享受できるわけではありません。
今回の記事では、障害者雇用の辛い一面を紹介すると共に、どのように対応していけば良いかを紹介していきます。
この記事は以下の人におすすめ
- 障害者雇用に興味を持っている方
- 障害者雇用の負の一面を知っておきたい方
- 障害者雇用で困ったときの対処方法を知りたい方
今回の記事を見れば、それらの疑問を解決できます。
この記事を見れば知ることができること
- 障害者雇用で起こりがちなトラブル
- 障害者雇用で働く上での心構え
- 職場に定着するために活用できる社会資源
それでは実際に見ていきましょう。
目次
障害者雇用が甘くない理由

そもそも、なぜ障害者雇用なのに辛いことが起きてしまうのでしょうか?理由は人によって良し悪しの感じ方が違うからです。
障害者雇用は配慮を受ける立場で入社するため、良くも悪くも一般社員とは異なる立ち位置で働くことになります。障害者と働くことに対し、企業側の捉え方は千差万別です。
「配慮をしているのだから、頑張って働いてもらいたい」
「同じ仲間と見なしているから、一般社員同様に頑張ってもらう」
「無理はしないでほしいから、体調第一に働いてくれればいい」
まず重要なこととして、それぞれの考え方が正解か不正解かということが問題なのではありません。というより、はじめから正解不正解はありません。もちろん差別的な扱いは問答無用でNGですが。それぞれの考え方には一長一短があり、合う人には合うが、合わない人にはデメリットという形で現れてしまうというだけのことです。
たとえば、体調第一主義の会社の場合、体に無理をしたくない人にとっては働きやすいでしょう。一方キャリアアップを望む人にとっては、いつまでも配慮がかえってキャリアアップの妨げになるというデメリットになりえます。
このように、障害者雇用にはメリット・デメリットが紙一重で存在しています。良し悪しの感覚は人によって変わる以上、障害者雇用は決して甘くない制度と言えます。
それでは、どのようなデメリットが考えられるのかを実際に紹介していきたいと思います。
甘くない理由① 勤怠の安定がシビアに求められる
障害者雇用で甘くない理由の一つ目は、勤怠の安定が求められるということです。
え?なんで?障害者雇用だからこそ、勤怠には配慮してもらえるんじゃないの?
そう思いますよね。実は障害者雇用だからこそ、勤怠は人一倍チェックされる可能性があります。
月1、2回程度の休みや早退であれば、おおめに見てもらえる会社は多いです。しかしそれ以上となると企業側が難色を示す場合があります。
それはなぜか?
理由は大きく分けて二つあります。
- 雇用率達成のために一定の労働時間が必要だから
- 戦力としての計算が立ちづらいから
ひとつずつ解説していきます。
雇用率達成のために一定の労働時間が必要だから
企業側が勤怠の安定を求める理由として障害者雇用率の存在があります。

重度を除けば、基本的に週労働時間が30時間以上であれば1人分のカウント扱いになります。20時間以上30時間未満だと0.5人分のカウントになります。
障害者を雇用していても、雇用率のカウントが達成できなければ雇用率未達成企業として、ハローワークの指導対象となります。雇用率未達成は企業側のイメージ悪化にもつながりかねません。また、所定の雇用率に達せない場合、1人の不足あたり、月額5万円の障害者雇用納付金を納めなくてはいけません。
こうしたイメージ・コスト的側面から、障害者社員へ勤怠の安定を求める構造が生まれるわけです。
戦力としての計算が立ちづらいから
企業側が勤怠の安定を求める2つ目の理由は、戦力としての計算が立ちづらいからです。
いや当たり前じゃん!と突っ込まれればそれまでなのですが汗
障害者雇用の場合、仕事内容に関しては配慮してもらえる場合が多いです。しかし、不規則に体調をくずしてしまうという場合は、仕事を割り振るにしても計算が立たなくなります。障害者であっても体調が安定しているかは重視されます。
応募する障害者側もそれをわかっているため、多少体調が安定していなくても、それを伏せて応募に踏み切ってしまう場合があります。そのため、中途半端に障害を開示して、入社後にうまくいかなくなるというパターンは多いです。
といっても、頑張っても体調が安定しないという場合はどうしたらいいの?
負荷がかかりにくい職場を吟味するか、はじめから時短勤務で働ける会社を選んだ方が良いでしょう。いろんな事情はあるにせよ、背伸びすると後で無理がきます。
甘くない理由② 無自覚な差別が起こる
次に障害者雇用が甘くない理由としては、無自覚な差別が起こりがちであるということです。
障害者雇用が当たり前の世の中になり、以下のように考える企業担当者が非常に多くなりました。
「障害はあっても、ひとりの仲間として普通の人として接する」
もちろん、この考え自体が悪いわけではありません。しかし、聞こえが良い反面、大きな落とし穴があります。それは、そもそも健常者がしんどそうに仕事をしている会社の場合、一般社員と同じように接されてもハードモードでしかないということです。
健常者がしんどそうな会社だと、障害者も居づらくなりやすいです。
— エドガワ@障害者ワークナビ管理人 (@edo_work_navi) May 2, 2021
「障害者手帳=優しく接してもらうためのパスポート」じゃなく、本来は分け隔てなく配慮はあるべきだよなぁと感じます。
障害のあるなしで配慮をしすぎると、かえって色眼鏡で見られて困るという人は割と多い印象です。#障害者雇用
健常者にやさしい会社でないのに、こうした考えを持った企業の場合、定着が難しくなる可能性は正直高いです。
たとえば、高圧的な物言いが苦手であることを配慮点として伝えていたとしても、会社の雰囲気がギスギスしていると、同僚から無自覚につっけんどんな言い方で返される場合があります。
仮に企業担当者にそのことを伝え、改善されたとします。しかし、社風が変わらなければ、別の社員とのやり取りで再び不快感を感じてしまうリスクがあります。トラブル→改善→再発の繰り返しの中で障害者社員が疲弊していき、退職に陥ることは実際にあった話です。
健常者社員に余裕のない会社の場合、こうした無自覚に差別につながる環境が当たり前になっていることがあります。仕事内容はもちろん、健常者がどのような表情で仕事をしているかはチェックしておきたいところです。
極端に風通しの悪い企業が一般社員と同じように扱うと言っても「配慮風差別」になるということです。こうしたブラック企業はこれからの時代、淘汰されていくべきだと思います。
甘くない理由③ 企業がキャリアアップに否定的
最後に障害者雇用が甘くない理由としては、企業がキャリアアップに否定的である場合があるということです。
なぜか?
理由は簡単、体調を崩してほしくないからです。
障害者雇用で入社した社員が、管理職はおろか役職付きまで上り詰めたというケースは残念ながらほとんど見られないのが現状です。というのも、役職付きになると、企業の体制上、配慮が叶わなくなることが起こりうるからです。
先ほど述べた通り、企業は雇用率の関係で障害者社員の体調が崩れることに敏感です。無理はしてほしくないという企業の方が多い印象を受けます。
こうした制度も関係して、キャリアアップには否定的な構図が生まれてしまいます。なにより、ノウハウが積み重ならないため、余計にキャリアアップに及び腰になってしまう傾向が強くなります。
制度の枠組みの問題もあるんだね。
キャリアアップを行った企業への助成制度などが充実していけば良いんですけどね。今は職場定着の方に重きを置かれているように感じます。
ただ同一労働同一賃金の法則があるので、障害があるというだけで キャリアアップの門戸を閉ざすのは違法に当たります。

正社員などに昇格したい意欲があり、能力を兼ね揃えている方は積極的にチャレンジしてほしいと思います!
辛い状況にならないためにはどうすればよいか?
では、障害者雇用において辛い状況に陥らないためにはどうしたらよいのでしょうか?
配慮事項を整理しておく
まず大事なポイントとしては配慮事項を具体的に整理しておくことです。
配慮事項を整理することで、自分がどんな会社を受ければ良いのかを明確にフィルタリングしていくことができます。また、企業選考の際にも配慮事項を伝えることにより、入社後のミスマッチングを防ぎやすくなります。
「〇〇できない」ではなく、「〇〇を配慮してもらえれば能力を発揮できます」というポジティブな言い方に変えて発信するのがポイントです♪
どのように配慮事項を整理すればよいかは以下の記事も参考にしてみてください。
→障害者雇用で合理的配慮を得る方法教えます【知らないと危ないです】
見学・実習を行う
次のポイントは、入社前に見学や実習を行っておくことです。
入社前に企業の雰囲気をつかんでおくことで入社後のギャップを減らすことができます。ただ、事務系の会社の場合は個人情報保護の観点から実習を断られる場合があります。もし遠目から見学だけでもさせてもらえるのであれば、ぜひお願いしてみましょう。
見るときのポイントは以下を参考にしてみてください。
- 課内の人数(多すぎないか、もしくは少なすぎないか)
- 電話のかかり具合(多さ、受話器の数)
- 社員同士の会話の表情(笑顔があるか)
- 高圧的なトーンで話す社員はいないか
支援機関を活用する
最後のポイントは支援機関を活用することです。外部の支援機関に第三者として入ってもらうことで様々なメリットがあります。
- 面接同行を行ってもらい、配慮事項を第三者の視点から伝えてもらえる
- 入社後の就業条件や人間関係の調整を企業担当者を介して行ってもらえる
- 就業に伴う生活面の相談に乗ってもらえる
以上が一例です。支援機関を使わないにせよ、とにかく一人で抱え込まないことが障害者雇用では重要です。他人と負担を分け合いながら働いていきましょう。
支援機関については、以下の記事も参考にしてみてください。
→障害者就業・生活支援センターとは障害者雇用の何でも屋!働くを楽にするためのサービス内容を総まとめ!
また、応募条件のミスマッチングを防ぐうえでは個人での応募よりも、ハローワークや転職エージェントなどをうまく活用するようにしましょう。
→【2021年版】障害者雇用求人を探すならハローワークへ必ず登録しよう!誰も言わないメリット教えます


それでも障害者雇用にはメリットもある
障害者雇用も楽じゃないってことがわかったよ…
障害者雇用を選べば自動的に楽になるわけではないってことです。でもしっかりと準備を整えておけばメリットが多いのは確かなんですよ♪
ここまでデメリットを中心に述べてきましたが、それでもメリットが盛りだくさんなのが障害者雇用の良いところです。以下の点において、障害者雇用はメリットがありますよ。
- 障害を理解してもらいながら働ける安心感を得られる
- コミュニケーション能力と障害理解さえあれば未経験職種でも採用可能性あり
- 障害を知られるのではないか?という余計な心配をしなくて済む
- 一般雇用で続かなかった時の心のセーフティネットになる
障害者雇用のメリットは以下の記事を参考にしてみてください。
→【当事者向け】障害者雇用はデメリットしかない!←メリットの方が多いです、断言します
大事なポイントはメリットとデメリット両面に目を向けて決断することです。メリットだけみて楽観的になりすぎてもリスクがありますし、デメリットだけ見て悲観的になりすぎるのも考えものです。
まとめ
- 人によって職場の良し悪しが変わるため、障害者雇用だから楽というわけではない
- 勤怠の安定が求められる、無自覚な差別が起こる、キャリアアップに否定的といった面でデメリットがある
- 配慮事項の整理や支援機関の活用などで、対処をすることができる
いかがでしたでしょうか?
今回の記事を通して、障害者雇用について深く考えるきっかけになれば幸いです。とにかくメリット・デメリットの内、片方だけを見すぎないように注意してくださいね。それではまた!
はじめまして。
やっとたどり着いたサイトがこちらでした。
特例子会社の特徴や、傾向を調べてます。とても参考になります。
コミュニケーション、感情を抑えることが最近難しく、非常に厳しい立場におかれています。
今後も参考にさせていただきます。