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【2021年版】就労定着支援事業とはなにか?トラブルにならないための3つの掟、教えます。

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友達が就労定着支援事業っていうサービスで支援を受けているみたい。どんなサービスなの?

就労定着支援事業は一か月に一回、直接支援を受けられるサービスです。メリットもあればデメリットもあるので、しっかり理解して活用しましょう!

今回は就労定着支援事業について紹介していきます。就労定着支援事業は障害者の職場定着率を上げる上で欠かせないサービスです。

一方、最大3年間にわたる支援制度ゆえに、形だけの支援になりやすいという落とし穴もあります。メリット・デメリットをしっかり把握していきましょう。

この記事は以下の人におすすめ

  • 就労定着支援事業の活用を考えている方
  • 現在、就労定着支援事業を利用して支援を受けている方
  • 就労定着支援事業を活用している障害者を雇用している企業の方

今回の記事を見れば、それらの疑問を解決できます。

この記事を見れば知ることができること

  • 就労定着支援事業の概要と特徴
  • 就労定着支援事業のメリット・デメリット
  • 就労定着支援でトラブルにならないための心構え

それでは実際に見ていきましょう。

就労定着支援事業とは

就労定着支援事業とは、改正障害者総合支援法において創設された福祉サービスです。平成30年4月1日より実施されているサービスであり、令和3年4月現在においては、まだ生まれて間もないサービスです。

サービスの特徴

就労定着支援事業は、月1回の支援を通して障害者の職場定着をはかるサービスです。令和3年4月より、障害福祉サービスの報酬改定があったため、サービス要件が一部変更になっています。

なんか数字ばっかだし意味わからないんだけど…

細かいところは覚えなくて全然OK!「月1回」、「支援レポート」、「関係機関との連携」の3つのキーワードだけおさえておけば大丈夫です!

月1回の支援

就労定着支援事業は月1回の支援を行うことが義務付けられています。そのため、細やかな支援を受けやすいです。対面支援が義務付けられていましたが、改定後は支援形態の指定はありません。

支援レポートの作成

就労定着支援事業は支援レポートの提出が義務付けられています。相談形態の指定が無くなった代わりの代替手段として令和3年4月より実施されています。支援レポートは障害者・企業とで共有の上で作成を行います。

関係機関との連携

令和3年4月からの報酬改定で、就労定着支援事業所は関係機関との連携を強化が推奨されています。そのため、関係機関(地域の就労支援機関、医療機関など)とのこまめな連携が今後期待されています。

利用対象者

利用対象者は以下の通りに規定されています。

 就労移行支援等を利用した後、通常の事業所に新たに雇用された障害者であって、就労を継続している期間が6月を経過した障害者(病気や障害により通常の事業所を休職し、就労移行支援等を利用した後、復職した障害者であって、就労を継続している期間が6月を経過した障害者も含む。)

厚生労働省

つまりどういうことだってばよ…

就労移行支援事業所から就職して、半年間経った障害者が使えるサービスってことです。就労移行支援事業所以外にも、生活介護、自立訓練、就労継続支援といった福祉サービスから就職した人も使えますよ。

要注意事項として、規定されている福祉サービスであっても、就労定着支援事業を全員使えるわけではないんです。

就労定着支援事業は、事業所側が国に認可をもらわなければ実施できないサービスです。そのため、人員などの都合でそもそも認可の申し入れをしていない事業所に通う方は、就労定着支援事業を使うことができません。就労メインとしていない福祉サービス(生活訓練など)は申し入れをしていない可能性が高いです。

就労訓練をメインとしている就労移行支援であってもそれは同様です。就労定着支援事業の利用を検討している方は、かならず事業所側にサービスを実施している確認しておきましょう!!

利用期間

就労定着支援事業は最大3年間受けることができます。就労後半年間は各事業所による定着支援を受けることができ、この期間は就労定着支援事業の期間には含まれません。

つまり、就労後最大3年半の間は定着支援を受けることができるということです。

注意点としては就労定着支援事業は就労後3年半までの期間内でしか使えないということです。そのため、就労定着支援事業を就労後2年間経過してから使おうと思い立っても、残りの利用期間は最大1年半になります。

就労定着支援事業を使う場合の利用例は以下の記事を参考にしてみてください。特に就労移行支援事業所からの利用を検討されている方にはおすすめです。

就労移行支援事業所とは何か?必要でないと感じるあなたほど必要なサービスです。

料金

利用料金は他の障害福祉サービスに準じます。

障害福祉サービスの利用料金は前年度の世帯年収に応じます。就労定着支援事業を利用する方は、前年度は訓練系のサービスを受けていて、仕事に就かれていない方がほとんどです。そういった場合は利用料金は0円になります。

あくまで世帯年収なので、他の家族の収入が600万円以上であれば利用料金がかかる場合があります。とはいえ、基本的には1割負担で利用ができるので大きな心配は不要です。

詳しい収入要件はお住まいの自治体の障害福祉課に確認してみてくださいね。

利用方法

就労定着支援事業は通所している(していた)事業所との契約締結によって、利用が開始されます。利用をお考えの方は通所先に確認すれば手続き方法をご案内いただけます。

就労定着支援事業のメリット

それでは次に、就労定着支援事業のメリットを見ていきましょう!

月1回の定着支援を受けられる

定着支援事業の第一のメリットは月1回の支援を受けられる点です。従来の定着支援は数か月に1回がほとんどでした。地域によっては半年1回、年1回ということも少なくないため、障害者が就業上のトラブルをため込みやすい点が課題とされていました。

量的な支援ですべてカバーすることが望ましいわけではありません。しかし、一定期間の間、こまめに支援に入ってもらえるという事実は働く障害者にとっても安心材料が多いです。

定着支援を行うスタッフの中には、精神保健福祉士など有資格者もいます。そういった専門スタッフから支援を受けられる点はメリットですね。

精神保健福祉士ってなに?という方は以下の記事も見てみてください。

精神保健福祉士は役に立たないと言われる理由、取って良かった理由を紹介【現役PSW解説】

障害特性を”本人と関わっていた人”の目線から企業に伝えてもらえる

次のメリットは、障害者本人と関係のあった支援員が企業訪問をしてくれる点です。

就労移行支援事業は、職場への介入を通して障害者の支援に当たることがほとんどです。障害者本人からでは言いづらい特性を企業の人に伝えてもらうことができます。

それって他の支援機関の支援と同じじゃないの?

良い質問ですね!就労定着支援事業は、本人と関わっていた支援員が企業訪問を行うことに良さがあると考えています。

企業の担当者は障害者雇用経験が無い場合、たいてい不安でいっぱいです。

「身体を壊したらどう対応しよう?」

「どういう風に声掛けしたら良いの?」

「どこまで仕事を任せたら良いの?」

などなど…。そうした疑問に対して、通所していた事業所の支援員であれば、通所状況に照らして助言をすることができます。具体的なアドバイスは説得力を持たせ、障害者だけでなく企業担当者の安心感につながります。

その安心感が障害者とのコミュニケーションを生み、職場定着につながるメカニズムになるわけです。

私が企業に伝える助言よりもめちゃくちゃ説得力ありますよ笑
なにせ、数年関わったことのある人からの発言なので。少し羨ましいと感じる瞬間です笑

生活面の相談もしやすい

3つ目のメリットは生活面の相談をしやすい点です。就職すると仕事以外に家庭の変化や余暇の過ごし方など、生活面でも大きな変化が生じます。企業には伝えずらいナイーブな話題であるかと思います。

企業担当者よりも支援員の方が話しやすいという方にとっては、就労定着支援事業はうってつけです。もし就労定着支援事業だけではカバーしきれない課題であっても、生活支援の機関にコーディネートしてくれる場合があります。

こうした仕事以外の相談支援も対応可能である点は大きなメリットと言えます。

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就労定着支援事業のデメリット

一見、万能そうな就労定着支援事業ですがデメリットも存在します。

形だけの支援になる可能性がある

就労定着支援事業は事業所によっては形だけの支援になるリスクがあります。

え?なんで?月1回の支援だったら形だけにならなくない?

令和3年4月より支援の方法に指定がなくなったことで、形式だけの支援になりうるリスクが増しました。

従来(令和3年3月まで)であれば月1回の対面支援が義務付けられていました。そのため、支援員の質にばらつきがあっても、量である程度課題のカバーが可能でした。

ところが報酬改定の影響で、就労定着支援事業の支援方法に指定がなくなりました。月1回だけ数分間状況確認をするだけでも「支援をした」と見なすことも可能になってしまったわけです。事業所の支援にかける想いや方針が良くも悪くも形として反映されやすくなります。

代わりに支援レポートの提出が求められるわけですが、令和3年4月時点では運用され始めた制度のため、不透明な部分が大きいです。どのように支援の質を担保していくべきかは今後も課題となるでしょう。

誰が支援に入るかは選べない

就労定着支援事業は限られたマンパワーの中で支援を行う必要があります。そのため、障害者本人からどの支援員に定着支援を行ってほしいかは選べないケースがほとんどです。

人同士のやり取りである以上、支援員の好き嫌いはあるかもしれません。しかし、就労定着支援事業を使う場合は好みの支援員が介入されていることが担保されているわけではありません。あらかじめ把握しておきましょう。

支援の期限が決まっている

先にも述べた通り、就労定着支援事業は支援の期限が3年間と決まっています。期限終了時点で職場のトラブルが起きていても、支援が終了となるリスクもあり得るということになります。

事業所によっては善意で期限終了後も課題が落ち着くまでは支援に入ってくれる事業所もあります。とはいえ、すべてではありませんし、こればかりはルールである以上、踏まえておかなければなりません。

就労定着支援事業でトラブルにならないための3つの掟

せっかく就労定着支援事業に興味が出てきたところなのに怖くなっちゃったよ…

ご安心ください!対応方法はありますよ!

就労定着支援事業は事実として試行錯誤の点も多いです。しかし、適した対応方法や心構えをしておけば、有効活用することができます。

主役は自分であるという意識をもつ

まず抑えておきたい心構えとしては、支援員任せの支援にはしないということです。言い換えれば、自分がどのような課題を持っているのか、それに対してどう対処してほしいかを主体的に考えましょうということです。

先ほど述べた通り、就労定着支援事業はともすれば形だけの支援になりうる恐れがあります。3年間という長い支援機関だからこそ、おたがいに楽な支援形態に終始しがちです。それ自体は決して悪いことではありません。問題なのは、障害者本人がなんで支援を受けているのかを忘れてしまうことです。

いざという時に対応が取れるように、支援員には自分の希望点を伝えておくようにしましょう。

ポイントは余裕のある時に話を詰めておくことです。事態が起きてからだと、それどころではないケースが多いです。

通所する時から支援員とのコミュニケーションを意識しておく

次に抑えておきたい心構えとしては、就労移行支援事業所などに通所している時から、支援員とのコミュニケーションを意識することです。通所時から良好なコミュニケーションを築いておけば、だれが支援員で入っても、定着支援がスムーズにいきやすいです。

こっちが合わせなきゃいけないの?通所しているのは自分たちなのに…

たしかになんでこっちが心構えしなくちゃ…という気にもなりますよね。大事な点としては、人間同士のやり取りである以上、お互いの歩み寄りが大事ということです。

別に肩を持ちたいということではないですが、支援員とは言えど一人の人間です。「支援員である以上、〇〇のような対応を取るべきではないか?」と要求水準を高くしてしまうと、良好な人間関係が築きずらいです。

結果的に、支援に入れる人とそうでない人という溝が出来上がってしまい、自分の首を絞めることにつながりかねません。歩み寄ることは労力を使いますし、できれば考えたくない気持ちはよくわかります。しかし、こうした人間関係を考えることは就活後にも活かせるスキルになるので、決して無駄にはなりません!

コミュニケーションに不安がある方は、スキルのある支援員の多い就労移行支援事業所を選ぶことをおすすめします。以下の記事でおすすめの就労移行支援事業所を紹介しています。

【2021年版】本当におすすめの就労移行支援事業所3選【現役支援員が解説】

地域の就労支援センターにも登録しておく

最後におすすめする対処法は地域の就労支援機関にも登録をしておくことです。

まじめに仕事をしていても就労上のトラブルは起き得るものです。たとえば、急な異動で上司が変わり、障害には配慮した指導を受けられなくなるといったことです。

もしその対応のさなかに、就労定着支援事業の期限が切れてしまった場合、トラブルになりがちです。それを防止する手段として別の支援機関にも登録しておくことをおすすめします。事前に登録をしておけば、就労定着支援事業所と連携しながら、期限後の定着支援に入ってもらうことができます。

代表的な機関としては障害者就業・生活支援センターが挙げられます。以下の記事で紹介していますので、参考にしてみてください。

障害者就業・生活支援センターとは障害者雇用の何でも屋!働くを楽にするためのサービス内容を総まとめ!

まとめ

  • 就労定着支援事業は月1回以上、障害者・企業・関係機関と連携して定着支援にあたるサービス
  • 就労移行支援事業所などを通して、最大3年間の間サービスを受けられる
  • 本人と関わりのあった支援員が企業に入ってもらえるメリットがある
  • 事業所によっては形式的な支援になったり、トラブル中に期限切れになるリスクがある
  • 支援員と良好なコミュニケーションを取ったり、地域の就労支援機関に登録することでデメリットに対処できる

いかがでしたでしょうか?

就労定着支援事業はメリットばかり取り上げられがちであるため、制度の落とし穴を理解していない人が非常に多いです。しかし、デメリットを把握したうえで、心構えを知っておけば、より有効に活用できる制度なんです。

ぜひ周りの方にも教えてあげてもらえると嬉しいです。それではまた!

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