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ジョブコーチとは何かをわかりやすく解説!【職場定着のレスキュー隊的存在】

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ジョブコーチってどういう制度なの?普通の支援者と何が違うの?

ジョブコーチは職場適応のプロともいえる存在です。障害者が職場適応をするために専門的支援を行ってくれます。

障害者雇用に興味がある人の中には、ジョブコーチという言葉を聞いたことがある人もいると思います。

ジョブコーチとは障害者が職場適応のための専門的支援をしてくれる存在です。職場に適応できるかが不安、うまく仕事できるかがわからないという方にはうってつけの制度です。

この記事は以下の人におすすめ

  • ジョブコーチ制度の特徴を知りたい方
  • 職場でうまく適応できずに困っている障害者の方
  • 雇用している障害者の職場適応をはかりたい企業担当者の方

今回の記事を見れば、それらの疑問を解決できます。

この記事を見れば知ることができること

  • ジョブコーチ制度の概要や特徴
  • ジョブコーチを利用するメリット
  • ジョブコーチの利用方法

それでは実際に見ていきましょう。

ジョブコーチとは

まずジョブコーチとはどういう存在かを紹介していきます。

ジョブコーチは職場適応の専門家!

ジョブコーチ制度とは作業性やコミュニケーション等の面で課題のある障害者への専門的支援を行う制度です。厚労省の職場適応援助者(ジョブコーチ)支援事業によって運用がされています。

障害者による支援が中心ではありますが、職場適応のためには社内の上司・同僚や家族などの協力が必要不可欠です。そのため、ジョブコーチは必要に応じて障害者を取り巻く様々な人たちと連携を取りながら支援に当たっていきます。

ジョブコーチには配置型、訪問型、訪問型の3種類がある

ジョブコーチは3種類のタイプがあります。

  • 配置型ジョブコーチ

各都道府県の障碍者職業センターに配置されているジョブコーチです。障害者・企業などからジョブコーチを依頼するパターンでは最もオーソドックスな形式です。

職業生活を営む上で困難なケースを対応する場合が多く、訪問型ジョブコーチとタッグを組んで、同じ職場へ支援を行うこともあります。

  • 訪問型ジョブコーチ

配置型と異なり、社会福祉法人などの職員として雇用されているジョブコーチです。訪問型職場適応援助者養成研修を修了した者で必要相当の経験・能力を有する方が担当します。障害者職業センターからの依頼を受けて、ジョブコーチ支援を行うケースが多いです。

  • 企業在籍型ジョブコーチ

障害者雇用を行う企業に雇用されているジョブコーチです。企業在籍型職場適応援助者養成研修を修了した方が担当します。障害者配慮に特化している特例子会社などでよくお見掛けするケースが多いです。

特例子会社については以下の記事を参考にしてみてください。

特例子会社のメリット・デメリットを忖度なしで教えます【現役支援員が解説】

特別指定が無ければ、配置型か訪問型ジョブコーチの支援を受けることがほとんどになるかと思います。

ジョブコーチと他の支援機関の違い

結局ジョブコーチの支援と他の支援機関の支援はどう違うのさ?

良い質問ですね!ジョブコーチの支援は支援の深さと量に違いがあります!

障害者就業・生活支援センター(以下ナカポツ)および就労移行支援事業所の職場支援(就労定着支援事業)を例にとって比較してみましょう。

ナカポツと就労移行支援事業所については以下の記事を参考にしてみてください。

障害者就業・生活支援センターとは障害者雇用の何でも屋!働くを楽にするためのサービス内容を総まとめ!

就労移行支援事業所とは何か?必要でないと感じるあなたほど必要なサービスです。

ジョブコーチ就労移行支援事業所ナカポツ
支援制度職場適応援助者支援事業就労定着支援事業障害者就業・生活支援センター事業
支援ペース週2~3回~数週間に1回月1回数か月~年に1回
支援期限おおむね2〜4ヶ月最大3年無し
支援内容(障害者に対して)
・職場でのコミュニケーションの取り方
・手順のマニュアル化
(企業に対して)
・障害特性の伝達
・就業条件の調整
・就業面や生活面の課題把握および調整
・企業や関係機関への情報共有
・就業面や生活面の課題把握および調整
・雇用管理方法の助言
・関係機関へのコーディネート

※ 支援ペースなどはあくまで一例です

障害者と職場の間に介入して調整を図る点は支援機関である以上、どこも同じです。ジョブコーチと他の支援機関との決定的な違いは実作業に対しても介入する点です。

就労定着支援事業やナカポツセンターは月に何度も支援に入ることはあまりないため、状況確認や連絡調整の色合いが強いです。対して、ジョブコーチは週に複数回、企業に介入することでより深く障害者と企業に関わることが可能となります。そのため、ジョブコーチの名の通り、職場でのコーチを行うOJTとしての役割を担っています。

最終的には障害者と企業でのやり取りのみで仕事が遂行できるように、職場担当者にバトンタッチをしていきます。

また、それぞれの支援期間は分断して支援をしているわけではありません。ジョブコーチの集中支援が終わるタイミングでナカポツセンターにバトンタッチをしていくなど、各機関が協力して職場定着を推進するように機能しあっています。

ジョブコーチを活用するメリット

それではジョブコーチを活用するメリットを解説していきます。

わからないをわかる化してくれる

ジョブコーチは障害配慮を踏まえた専門的支援を得意としています。時には治具(ジグ)と呼ばれるツールを支援手法に取り入れます。ジグとは、作業遂行をしやすくするための工具を指します。

たとえば、みなさんは「紙を4cm四方に切り取ってください」と指示を受けたらどう対応するでしょうか?

え?そんなの定規で測ってカッターで切り取ればいいじゃん。

数字がわからない人がいたら?
当たり前にできそうな仕事でも全員ができるわけではありません。

このような場合、事前に4cm四方に囲われた枠を用意していれば、数字がわからない人でも十分に作業ができます。平衡に切り取りやすいため、精度も上げられます。

企業担当者の視点だけだと、こうした配慮に応じたツールを活用する思考まで至らない場合があります。ジョブコーチはこうしたジグなどを用いて、どのようにわかる化できるかという視点で支援を進めます。

結果的に障害者が職場に適応する確率を上げることにつながります。

人間関係も含めて支援してくれる

ジョブコーチは仕事上のことのみに相談に乗るわけではありません。

昼休みの取り方や同僚とのコミュニケーションに至るまで、人間関係を円滑にする方法を障害者・企業と共に考えてくれます。たとえば、どうしても障害者にとって苦手な人がいるとします。本人だけで対応を完結させることは至難の業です。

ジョブコーチは苦手だと感じる要因を分析していきます。障害者本人が心地よいと感じる声掛け・指導方法を職場内に周知するなど対応を行います。ときには、席配置の変更提案などを行うこともあります。

もちろん、ジョブコーチが単独で権限を持ち合わせているわけではないため、職場担当者と連携しながら対応策を考えます。

自分で申し出るとワガママに捉えられるかもしれないけど、間に誰か入ってくれるなら安心だね。

そのとおり!ジョブコーチは職場担当者とも信頼関係を結び、障害者を取り巻く人間関係の調整もしてくれるレスキュー隊のような役割もあるんですよ!

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ジョブコーチの利用方法

それでは、ジョブコーチの利用方法をまとめていきます。

支援依頼・状況の把握

まずは地域の障害者職業センターに連絡を入れ、ジョブコーチ依頼を行います。

すぐに職場に入ってくれるわけではありません。まずは障害者が置かれている状況を把握する必要があります。依頼主体が誰かによってケースバイケースですが、障害者本人が依頼を行った場合、職業センターや職場にて状況把握の面談を行います。

併せて障害者本人はもちろん、企業側もジョブコーチ依頼の利用意思確認が必要です。ジョブコーチの利用前に職場担当者に利用希望の旨を説明しておきましょう。

支援機関がすでに関わっている場合には、支援者からジョブコーチ依頼および職場への利用確認をサポートしてもらうことをおすすめします。

支援計画・支援の準備

状況確認の面談内容を踏まえて、ジョブコーチ側で支援計画および支援の準備を行います。支援計画の策定のため、現場の下見を行う場合も多いです。

面談から支援開始までの期間はケースバイケースです。急を要するケースも少なくないため、早ければ1か月もかからず企業へ介入してくれる場合もあります。詳しくは職業センターの担当者に確認しておきましょう。

支援の実施

いよいよ支援開始となります。

ジョブコーチ支援は集中支援期と移行支援期で支援機関がわかれています。

平均2~4か月のなかで、初期に課題対策にフォーカスする期間を集中支援期と呼びます。後半の移行支援期では徐々にナチュラルサポート(職場内支援)に移行していき、最終的には障害者と企業で仕事のサイクルが完結できるようにしていきます。

フォローアップ段階では定着状況の確認を行います。このフォローアップをナカポツセンターが担う場合も多いです。

以上が流れとなります。主に障害者職業センターが全体のコーディネートを担うことを覚えておきましょう!

ちなみに障害者職業センターはジョブコーチの他にも求職者向けの職業準備支援や復職者向けのリワークプログラムなどを提供しています。興味がある方は以下の記事を参考にしてみてください。

【実体験】障害者職業センターの職業準備支援を解説 支援者目線で感じたメリット・デメリット

障害者職業センターのリワークプログラムの特徴を解説!無料・職場支援・短期集中支援の3大メリット!

まとめ

  • ジョブコーチは職場適応のために集中的且つ専門的支援を行う
  • ジョブコーチは配置型、訪問型、在籍型の3種類ある
  • 仕事はもちろん人間関係の調整も行ってくれる
  • 平均2~4か月の支援後は地域の支援期間と連携を取ってフォローアップを行う

いかがでしたでしょうか?

ジョブコーチは事態が重いケースであっても対応してくれる可能性があります。職場に適応に自信が無ければぜひとも活用したい制度です。今回の記事を参考に、よりより社会人ライフを送ってくださいね!

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