ネットで障害者雇用は優遇されててずるいって言っている人がいたんだけど、実際どんな目で見られるの?まわりからの目が気になっちゃうよ。
ネットだと一部の意見がクローズアップされがちですね。
実際は障害者雇用をずるいと思っている人はほとんどいませんよ。
障害者雇用で働くことに対して、まわりからどう見られるか気になるという方は少なくありません。
ずばり結論ですが、ほとんどの方は理解を示してくれます。
安心して障害者雇用にチャレンジしてほしいです。もちろん、偏見の目で見てくる人はゼロではありません。しかし、ほとんどの場合は障害者雇用の実態を知らないことによる勘違いがほとんどです。
今回は、なぜ障害者雇用をずるいと感じる人が出てくるのか、理解のない発言をされた時の対象方法を紹介します。
この記事は以下の人におすすめ
- 障害者雇用をなぜずるいと思う人がいるのか知りたい
- 障害者雇用は実際に優遇されているのかを知りたい
- 障害に理解が無い発言をされた時の対処法を知りたい
今回の記事を見れば、それらの疑問を解決できます。
この記事を見れば知ることができること
- 障害者雇用をずるいと言う人の特徴
- ずるいと思われる理由に対しての障害者雇用の実態
- 障害に理解のない発言をされた場合の対処方法
それでは実際に見ていきましょう。
目次
なんで障害者雇用がずるいのか?
さっそくですが、障害者雇用をずるいと言う人の特徴を見ていきたいと思います。
実際に私が見聞きした中での発言を抽出しています。正確には「ずるい」とドストレートに言われることはあまりありません。
「〇〇だからいいですよね」と羨ましさもまじった表現で言われることが多いです。記事上では便宜上、「ずるい」と表現しています。
簡単に大手企業に入れるからずるい
障害者雇用だと大手に入りやすいというのはよく聞かれることです。
そもそも「大手」はどこからどこまでをさすのかが不明瞭です。
一部上場だから大手?大企業基準(従業員数300人以上)を満たせば大手?グループ会社でも大手?
解釈は様々ですが、相談者の方に共通している大手は「名前を聞いたことがある」「安定的なイメージ」であることがほとんどです。
障害者雇用を希望される方は中途採用がほとんどです。安定性を重視するためか、新卒学生よりも権威性(かっこいい、オシャレなど)を求める割合は比較的低いです。
大手であればグループ会社でも構わないという人の方が多いでしょうか。そのため、今回の記事では大手を以下の基準で定義したいと思います。
大手企業=一部上場企業およびグループ会社
では実際のところ、障害者雇用だと大手に入りやすいのでしょうか?イエスかノーかを問われれば、答えは「イエス」です。
なんで?やっぱり応募者の母数が違うから?
そうですね、要因として応募者の母数が違うことは否めないでしょう。特に大手本体だと新卒採用で募集の大半を充足してしまいます。
人気企業は倍率が軒並み100倍を超えるなど、見るだけで恐ろしい倍率です…
障害者雇用に関しては、募集人数を差し引いても一般雇用より倍率が高いことは考えにくいでしょう。
そして、障害者雇用の方が入社難易度が低いとされるもう一つの理由は、法廷雇用率の存在です。

企業は障害者を一定基準以上の割合で雇うよう規定されています。2021年4月時点では民間企業は2.3%と規定されています。大手企業ほど毎年多くの人材を雇用しているため、その分障害者を多く雇う必要があります。
そのため、大手における採用試験は以下の図式になりがちです。
大手民間企業における採用の基準
<一般採用>
大量に応募者が来るので、戦力となるレベルの人だけ雇用する→落とすことが前提の選考
<障害者採用>
応募者は多いものの、雇用率を満たすために極力多めに採用したい→(最低限の基準に満たしていれば)採用することが前提の選考
極端な話、一般採用の場合、レベルが見合っていなければ採用しないという選択肢もあります。しかし、障害者雇用は法定雇用率の存在があるため、一定数以上の採用が必要となります。
当然、採用難易度にも影響を及ぼすため、障害者は大手に採用されやすいというイメージが生まれるのでしょう。
楽な仕事ばかりふられるからずるい
障害者雇用の場合、楽な仕事ばかりふられるというイメージがあるようです。

事務系を例にとると、健常者社員は営業や企画などの基幹業務を担うことが求められます。精神的負荷とは切っても切り離せないことが多いです。
障害者雇用で働いている社員に対して、「楽そう」というイメージを持ちがちなようです。
障害者雇用でも専門的知識が必要な仕事もありますし、給料が低い場合もあります。しかし、現状の障害者雇用では、業務の切り分けをされている企業が多いため、上記のような誤解が生まれやすくなっています。
ちなみに軽作業などは、健常者と障害者も同一の仕事内容であることが多いため、上記のような誤解は生まれずらい傾向があります。
厳しく怒られないからずるい
健常者社員は厳しく、障害者社員は優しく指導されていると感じる人もいます。
事務系の場合、営業などの仕事は数値目標が達成できないと理由を問い詰められます。
対して、障害者雇用の場合は事務補助業務をされている方が多いため、理不尽な問い詰められ方をされることは少ないです。もちろんあくまで傾向であり、すべてがそうではありません。
そのため、障害者社員は自分たちよりも厳しさが無いと感じる方が増えてしまうようです。
休みを取りやすいからずるい
障害者は休みを取りやすいからずるいと感じる人もまれに見聞きします。
特に繫忙期に休みを取ることで、現場のフラストレーションがたまるケースがよく見られます。ただでさえ余裕のない時期にまた有給取ってるのか…という目で見られてしまい、障害者が居心地の悪さを感じてしまうといった具合ですね。
休みを取るのはいいけど、別の時期にずらせないのかと感じる人もいるようです。
障害者雇用のずるいはほとんどが勘違い
ここまで障害者雇用におけるずるいと感じられるポイントを見てきました。
- 簡単に大手企業に入れるからずるい
- 楽な仕事ばかりふられるからずるい
- 厳しく怒られないからずるい
- 休みを取りやすいからずるい
ちょっとまって!障害者だって障害者なりの事情があるんだよ!
はい、ここまで見てくださった方は色々とツッコミを入れたくなると思います笑
実際は障害者雇用で働いている人も良いとこ取りをしているわけではありません。
とはいえ、同じ会社で働いていても障害者雇用の裏側を感じずらいのも事実です。上の4つのずるいに対しての実態を書いていきたいと思います。
大手企業に入社しても健常者社員と雇用体系に差がつけられている
こちらの図は、平成30年度障害者雇用実態調査における雇用形態データをグラフにしたものです。

「大手企業に入社」と言うと正社員を思い浮かべがちです。
ところが、障害者雇用の場合は、正社員以外での雇用形態が主流です。先ほど述べた通り、大手に入社するだけであれば、障害者雇用の方がハードルは低いかもしれません。しかし、同じオフィスでの仕事であっても、契約社員などでの採用であることも多いのです。
障害者雇用で大手に入る方はそれを承知で選考試験を受けている背景があります。
障害者雇用社員と一緒に働いている方がいれば、正社員で楽に入社してきているとは思わない方が賢明です。
業務内容が配慮される分、収入に差をつけられている
障害者雇用社員は障害上、過度な負荷がないように業務内容が配慮されています。そのため、営業などの精神的負荷がかかりやすい業務で募集をかけられるケースは少ないです。
しかし、業務内容が配慮されている分、給料に差をつけられている背景があります。
1月あたりの平均賃金 | |
健常者 | 306,200円 |
身体障害者 | 215,000円 |
知的障害者 | 117,000円 |
精神障害者 | 125,000円 |
発達障害者 | 127,000円 |
上の図の通り、健常者社員と障害者雇用とでは、賃金に大きな開きがあります。産業別の違いはあるものの、業務内容の差が理由であることは明白です(同一労働であれば同一賃金である必要があるため)。
基本給与の違いは、賞与や昇給にも影響を及ぼします。仕事が配慮されているからといって、良いことばかりではないのです。それでも働く上で配慮が必要な人たちにとって、障害者雇用は欠かせない制度になっています。
望んで休みを取っているわけではないケースがほとんど
障害者雇用の場合、休みを取りやすいことは事実です。ただし、それは障害上必要な場合の休みに限ります。
繁忙期に周りからの視線が厳しくなるのをわかっていながら、望んで休みを取る障害者はほとんどいません。それでも不慮の休みを取る場合は、自分でコントロールできない身体的・精神的ストレスを抱えている場合が多いです。
忙しさから逃げ出したいのでは?と邪推せずに、障害者社員が負担を抱える雰囲気・環境があったのではないか?と一歩深めて考えることが大事です。
そういった社員が増えることで、職場の雰囲気も向上して、障害者社員の出勤率改善につながります。
障害者でも怒られます
障害者雇用社員は厳しく指導されることは無いと勘違いされがちですが、そんなことはありません。仕事ですからミスしたら指摘されますし、怒られることもあります。
ただ、障害者雇用の場合は指導方法について配慮されている場合が多いため、わかりやすい叱責(怒鳴るなど)をされる回数は少ないと思います。
とはいえ、今は障害関係なく、過度な精神的負荷を与えるような行為はパワハラとされます。健常者にも障害者にも適した指導方法が求められる時代になってきているのは良い傾向ですね。
このように障害者雇用における”ずるい”は勘違いと背景の知識不足であることがほとんどです。人間同士なので行き違いはあるかと思いますが、お互いに決めつけずに接することがとても大事になってきます。
障害に理解のない発言をされた時の対処方法

ずるいという表現でなくても、「障害者って楽だよね」「障害持ってるから難しい仕事は無理だよね」などと理解のない発言をされることはあるかもしれません。
言っている本人も悪気なく言っている場合もあるため、事態がややこしくなることもよくあります。
もしそのような物言いをされてしまったらどのように対処すればいいのでしょうか?
企業担当者に相談する
まずオススメしたい手段が企業担当者に相談することです。
ほとんどの場合は直属の上司が企業担当者となります。不明な場合は面接を担当してくれた担当者に相談してみましょう。
障害に理解のない発言は、内容によっては障害者差別(心理的虐待)につながる恐れがあります。企業側にとって避けたい事案なので、早めに対応してくれるでしょう。

支援機関に相談する
次にオススメの手段としては、支援機関に相談することです。
残念ですが、企業担当者に相談しても仕事で手一杯の場合、後回しにされてしまうケースも散見されます。そういった場合は、職場介入に手慣れている就労支援機関に相談してみると良いでしょう。障害者と企業との間に入り、解決策を共に考えるパートナーとなってくれます。
支援機関については以下の記事を参考にしてみてください。
→障害者就業・生活支援センターとは障害者雇用の何でも屋!働くを楽にするためのサービス内容を総まとめ!
虐待窓口に相談する
発言や対応が悪質であり、急を要するという場合には虐待相談窓口に対応してもらう手段もあります。
企業側の虐待のことを「使用者虐待」と呼びます。
こうした使用者虐待は各都道府県に通報窓口を設けているため、「〇〇県(お住まいの都道府県) 使用者虐待 相談窓口」などググれば自治体のHPで相談先がわかります。一度調べてみると良いでしょう。
ちなみに東京都では各区市町村ごとに相談センターをもうけられています。
まとめ
- 入社難易度、仕事内容や休みなどの面で障害者雇用をずるいと感じる人がいる
- ずるいと感じる理由のほとんどは勘違い、メリットもあればデメリットもある
- もし理解のない発言をされたら、企業内の担当者や各支援機関に協力をあおぐ
いかがでしたでしょうか?
ほとんどの場合、障害者雇用をずるいと言ってくる人はいませんが、居心地の悪さを感じる物言いをされることはあるかもしれません。できれば言っている本人が自覚してほしいところですが、難しい場合もあります。
心の自衛のためにも対処方法は知っておくに越したことはありません。今回の記事を参考にしてみてくださいね。
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