これから障害者雇用を考えているんだけど、双極性障害を持っていても就職ってできるのかな?
ご安心ください!自己分析と職場選びさえ間違えなければ、しっかり就職できますよ!
今回は双極性障害を持たれていて、これから障害者雇用にチャレンジしたいと思っている方は多いのではないでしょうか?今回はそんな方に向けて、どのように就職活動を進めていけばよいかを書いていきます。
この記事は以下の人におすすめ
- 双極性障害で就職するときの注意点を知りたい
- どのように自分の配慮点を整理すればよいかわからない
- 自分に合った職場をどのような視点で選べばよいか知りたい
今回の記事を見れば、それらの疑問を解決できます。
この記事を見れば知ることができること
- 双極性障害で就職する前に必要なポイント・心構え
- 双極性障害特有の配慮点をうまく会社に伝える方法
- 双極性障害の方にオススメの職場の選び方
- 困ったときの相談支援機関
それでは一つずつ解説していきます。
目次
双極性障害でも就職はできる!
双極性障害を持たれている方の中には本当に自分が就職なんかできるのかな…と不安になっている方もいると思います。特に鬱状態の時は先行きが不安になりがちですよね。
上の画像を見ていただくとわかりますが、精神障害者の就職者数は年々右肩上がりであることがわかるかと思います。障害者雇用率の上昇に伴い、能力のある精神障害者は企業からもニーズが非常に高いです。
私も双極性障害の方の相談をよく受けますが、就職すること自体は問題なくできますとお答えしています。
しかし、双極性障害の方にとって難しいのは、「就職してからも長く働くこと」です。つまり内定はスタートに過ぎないということです。事実、特段の準備をしなくても内定にこぎつける方は毎年大勢見てきています。しかし、焦って就職した方の多くは一年持たずに退職となっていることも事実です。

じゃあやっぱり双極性障害で長く働くって難しいんじゃないの?
いえいえ、退職している人も多いですが、長年ずっと働き続けている人もいるんですよ。
では1年以上働ける人とそうでない人の差はどこにあるのでしょうか?それは本人の持ち合わせている能力以上に、入社前の準備がカギを握っています。
ドライな言い方ですが、早期退職される方の多くは準備不足であることがほとんどです。
障害者という目で見られたくないという人もいれば、もっと障害者扱いしてほしいという人もかなりの数います。
— エドガワ@障害者ワークナビ管理人 (@edo_work_navi) April 1, 2021
大事なのは、どこまで障害を開示するか、どう配慮してほしいかを具体化することだと思います。
企業担当者は仕事のプロではあっても障害のプロではないので。#障害者雇用
厳しいようですが、障害者雇用をしている企業swも、診断名だけ伝えて適切な配慮をしてもらえるわけではないです。私たち支援者であっても至難の業です。同じ診断名で一括りにできない以上、まず自分自身のことを深堀りして考える必要があります。
ではどういった入社前の準備が必要なのでしょうか?
ずばり、キーワードは「自己分析」と「職場選び」です。
自分の障害を分析してみよう
では、まずは自己分析について考えてみましょう。ここでいう自己分析とは、自分の障害への理解を深めるということです。
①双極性Ⅰ型なのかⅡ型なのかを知る
まずは、自分が双極性Ⅰ型かⅡ型かを知っておきましょう。まだはっきりと診断を受けていなければ主治医とも話し合っておくことをオススメします。
みなさんの方がご存じかとしれませんが、Ⅰ型は躁状態が鬱状態と同様に強く出る状態を病態です。Ⅱ型の場合は、躁状態はあるものの、比較的軽躁とされています。その分、鬱状態が再発しやすいとされています。
なんでわざわざⅠ型かⅡ型か知っておく必要があるの?躁も鬱も持ち合わせているとだけ思っていれば良いんじゃないの?
なぜⅠ型かⅡ型かを知っておいた方が良いかというと、躁状態への配慮も必要になるかどうかを知っておくためです。躁も鬱もあるとは言っても、Ⅱ型の方の場合、躁状態については特段業務上の配慮がない方もいます。
診断名ありきですべてを判断するわけではありません。しかし、どのように配慮事項を整理すればいいか見当もつかない方にとっては、診断名から考えてみるのはアプローチの一つとしてオススメです。
もし自分がⅠ型かⅡ型かわかったら会社には伝えておいた方がいいの?変な偏見持たれそうで怖いんだけど。
会社の面接の際には診断名をじっくり深堀りしてはいけないとされています。気になるようであれば伏せておいても構いませんよ。
双極性障害の雇用経験のある方以外は、Ⅰ型とかⅡ型と言われてもチンプンカンプンだと思います。就職においては、自己分析のための判断材料として捉えておいてください。
②躁転・鬱転時の状況を整理する
それでは次に、躁転・鬱転した時の状況を整理していきましょう。
といっても、いきなり整理といっても難しいと思います。その場合は時系列順に整理していくとわかりやすいです。

まとめるポイントとしては上の画像の通りです。
発症前、発症時、発症後にどのような体調の変化があるか、またどれくらい期間が続くかをまとめてみましょう。
もし期間が不規則であるというのであれば、無理にまとめる必要はないです。状況を整理していくことで、就職の際に企業側へ伝える配慮事項を格段にまとめやすくなります。もし自分の障害で気になる点があれば、とにかく文章化してまとめておきましょう!
③躁転・鬱転時でどのような配慮が必要なのかを整理する
最後に、②でまとめた自分の症状に対して、企業に伝える配慮事項をつけ加えてみましょう。
以下は参考例です。

あくまで一例であり、まとめ方や配慮事項は人それぞれです。配慮事項をまとめることで、自分の体調について相手(企業)と共通見解をもっておくことができます。どのような配慮があれば自分の力を発揮できるか、気持ちよく働けるかという視点で考えていきましょう。
配慮事項の例は、以下の記事でも紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
→精神障害者の就職攻略法紹介!就職前後で失敗しない3つのポイント教えます
入社した後で「配慮してもらえなかった…」という状況に陥る場合は、自分と相手との症状のイメージに食い違いが生じているケースがほとんどです。企業は面接の時は体調の良い状態のあなたしか見ていないので、どうしてもそのイメージを基に採否を考えがちです。
でも障害者雇用なんだから、思いやりは持ってもらいたいな…
たしかにその通りですね。
企業側の肩を持つわけではありませんが、障害者雇用の面接担当って人事部署が仕事の一環としてやっていたりすることがほとんどなんです。障害者雇用のプロではないので、過度に期待をもってしまうとリスキーです。
おたがいに「こんなはずじゃなかった」という気持ちにならないように、自己分析をしっかりしておきましょう。
自分に合った仕事を考えてみよう
自己分析を終えたら、そのデータを基に自分に合った仕事について考えていきましょう。
ケースバイケースなので、「この会社がオススメ」とお伝えはできませんが、一般的な傾向としてどのような会社がオススメかをお伝えします。
①入社前に見学や実習ができる企業
入社前に見学や実習ができる企業はオススメです。
会社の雰囲気を知っておくと、実際に入社した後に相談がしやすいか等、自分の配慮事項と照らし合わせて考えることができます。
ネックとしては、事務系の企業の場合は個人情報の取り扱いの関係で実習が難しい点です。もし遠巻きにでも見学だけでもさせてもらえるようなら、ぜひ見せてもらいましょう。
見学や実習ってどう依頼するの?
就活する際には、ハローワークや転職サイトを使われることがほとんどだと思います。担当の支援員にその旨を伝えれば、会社側と連絡を取ってくれますよ♪
②業務スピード・納期を自分である程度調整ができる
次にオススメする企業は業務スピードや納期に関して、ある程度の裁量を持たせてもらえる会社です。
上の画像は双極性障害の職場への満足度が低い理由をアンケートして、グラフ化したものです。ご覧の通り、「仕事量が多い、納期に追われる」という項目が最多となっています。
理由としては、納期に追われる場合、体調不良に陥った時の通院配慮などが叶いにくくなることが考えられます。また、精神的負荷も大きいことや相談の場がもちづらくなるなど、様々な弊害が考えられます。
なるべく納期が長めに取られている仕事や、スピード感を自分で調整できる会社を選ぶことをオススメします。
以下はあまりオススメしない業種です、参考にしてみてください。
- 工場のライン作業などの所定のスピードが決まっている仕事
自分の体調がどうあっても、スピードを機械に合わせるしかない。頓服薬を飲みたくても、タイミングが取りづらい。
- 業務企画などの自分が欠けると誰もカバーできない仕事
自分が業務の主軸を担っているため、誰かに仕事の相談がしづらい。また、休んで穴をあけられないという精神的プレッシャーが大きい。
③迷ったらハローワークのトータルサポーター制度を活用する
もし職場選びで迷ったら、ハローワークのトータルサポーター制度を活用することをオススメします。
ハローワークのトータルサポーター制度は、障害者雇用にチャレンジする精神障害者に対しての就職支援サービスです。担当のカウンセラーが仕事選びや企業へのはたらきかけを行ってくれます。先ほど述べた職場実習の依頼なども行ってくれるので、ぜひ活用してみましょう。
ハローワークのトータルサポーター制度は以下の記事でも紹介しています。
→【2021年版】障害者雇用求人を探すならハローワークへ必ず登録しよう!誰も言わないメリット教えます
一人で不安な人は就労支援機関を活用しよう
ここまで双極性障害の方向けに自己分析や職場選びの方法を紹介してきました。とはいえ、すべてを自分で行うのはひと苦労だと思います。
そんな方は、ぜひ就労支援機関を活用してみましょう。
体調が変化した時に第三者目線で助言してくれる
就労支援機関を利用するメリットとしては、自分の体調が変化した際の相談相手に乗ってくれることです。もちろん医療的なアドバイスは主治医しかできません。しかし、就労支援機関は会社での状況を踏まえたうえで、第三者の視点から相談に乗ってもらうことができます。
実際に働いてみると、体調のバイオリズムが変化するなど、想定外の事態はよくありうることです。そんな想定外のことが起きた場合、自分から企業に状況を話すこと勇気が必要ですよね。
これは日本人の悪いところなのかもしれませんが、当事者から言うよりも第三者から伝えてもらった方が説得力が生じます。就労支援機関をうまく使って、長く働いていきましょう。
就業条件の変更を申し出たいときに間に入ってもらえる
仕事に慣れてきたら給与をアップしたい、もっと長い時間働きたいという希望を持たれる方もいると思います。こうした就業条件の変更の申し出の際に、就労支援機関を間にはさんで交渉することができます。
自分から伝えると厚かましいのでは…と感じる人も多いので、私もよくあいだに入って調整させていただいています。
もちろん、状況によりけりなので思い通りにいかない場合もありますが、交渉自体を断られることはあまりありません。
就労移行支援事業所を活用すれば、就職に関する訓練を行ってもらえる上に、就労定着のサービスを受けることができます。前年度の所得によっては無料で利用できますので、ぜひ検討してみてください。
参考:就労移行支援事業所とは何か?必要でないと感じるあなたほど必要なサービスです。
まとめ
- 双極性障害者の就職には、自己分析と職場選びが何より大事
- 自己分析は時系列に沿って症状を整理してから配慮事項を整理していく
- 職場選びは見学・実習ができるところ、納期・スピードなどの融通がききやすいところを選ぶ
- 一人での就職活動が不安であれば就労支援機関の利用を検討する
いかがでしたでしょうか?
双極性障害を持たれている方の就職では、入社前の準備がとにかく大事です。就職してから後悔しないように、自己分析と職場選びにチャレンジしてみましょう。それではまた次の記事でお会いしましょう。