特例子会社の就職に興味があるんだけれど、一般企業で働くのと何が違うの?
特例子会社は障害者を中心に雇用されている企業です。一般企業よりも手厚い配慮を受けながら働くことができるんです♪
今回は特例子会社について解説していきます。
この記事は以下の人におすすめ
- 特例子会社と一般企業の違いを知りたい
- 特例子会社で働くメリット・デメリットを知りたい
- どんな人に特例子会社が向いているのか知りたい
今回の記事を見ればそれらの疑問を解決できます。
この記事を見れば知ることができること
- 特例子会社がどういった会社か
- 特例子会社で働くメリット・デメリット
- 特例子会社に向いている人、向かない人
それでは実際に見ていきましょう!
目次
特例子会社とは?一般企業とどう違うの?
まずは、特例子会社と一般企業の違いをまとめていきましょう。

ひとことでいえば、特例子会社は親会社の出資を受けて障害者を中心に雇用している子会社をさします。
「障害者の雇用の促進及び安定を図るため、事業主が障害者の雇用に特別の配慮をした子会社」として規定されており、2009年より新設された制度です。企業グループ算定特例(関係子会社特例)とも呼びます。子会社を親会社の一部門にみなして雇用されるため、親会社の雇用者に合算することができます。
特徴としては、特例子会社を設置しているのは大企業に多い点です。大企業は人材流動が激しく、障害者雇用率(2021年4月時点で2.3%)を満たすだけでも多くの環境調整が必要となります。そのため、特例子会社を設置することで雇用促進を図れるようにする…というのが背景としてあります。
電通や日立、リクルートなど名だたる大企業が特例子会社を設置しています。
ただし、厚生労働大臣から認定を受けた会社に限られています。認定要件は以下の通りです。
なんのこっちゃわかりづらい!という方もいると思うので、以下の要点だけ覚えておけば大丈夫です!
- 特例子会社は障害者同士で働く企業
- 大企業に多く設置されている
- 管理を行う社員は親会社からの出向で派遣されるケースが多い
- 親会社からの請負業務を行うことが多い
ちなみに、親企業から請け負う業務内容によって、知的障害を多く雇用していたり、身体や精神障害が多いといった違いがあります。
特例子会社のメリット
それでは次に、特例子会社のメリットを紹介していきます。
配慮してもらいやすい
特例子会社の第一のメリットとしては、一般企業よりも障害への配慮がされやすいということです。
障害者を中心に雇用しているのに配慮されないって意味わからないですしね笑
特例子会社の場合、親会社からの出向社員が「支援員」という形で障害者社員の現場管理を行っているケースが多いです。障害者を5人以上雇用している企業は、障害者職業生活相談員という資格を有している社員を配置する義務があり、該当する社員がフォローアップに当たっています。
一般企業よりも周りの目を気にせずに、相談に乗ってもらいやすいという点はメリットとして挙げられます。また、障害への基礎知識が備わっている社員と相談できる安心感がある点もメリットです。
支援体制が整っている
次に紹介するメリットとしては、支援体制が整っている点です。
上記の、配慮してもらいやすいという点とも重複しますが、会社独自の支援体制を整えている点があります。以下は私が実際に見てきた実例です。
- 体調管理ボードがオフィスの壁面に貼られており、どの社員がどの程度体調がわるいかを視覚的にわかるようにしている
- 支援機関の支援などを積極的に受け入れており、定期面談の機会をもうけている
- 日報を通して、人間関係や就業面の不安をいちはやくキャッチできるようにしている
このように、特例子会社は雇用している障害者全体をフォローするための支援体制を整えています。就業の定着に気を遣っている企業が多いため、私のような支援員が訪問を打診しても快く受け入れてもらえることが多い印象を受けます。
人によっては、支援体制がかえって自分に合わない、辞めてほしいという方もいると思います。そのため、自分に合った企業であるかどうかは見学や実習を通して確認しておくことが大事です。
管理職につける可能性がある

次に紹介するメリットとしては、特例子会社内で管理職につける可能性がある点です。
一般企業だと、まだまだ障害者社員が管理職どころか、正社員に昇格する仕組みが作られていない方が多いです。一方、特例子会社は人事権が現場の一般社員にゆだねられている場合があります。そのため、仕事ができて体調が安定している障害者社員の場合、正社員に昇格させたり役職をつけることが可能になります。
キャリアアップ制度をうまく活用できている企業の場合、現場の業務は障害者社員がすべて回しており、一般社員は緊急時の対応・フォローアップに専念しています。障害者社員同士で成長し合えるという良い循環をつくることができているということです。
昇格することで給与もアップできるため、キャリアアップ志向の方は、そういった制度がある特例子会社を探してみるのをオススメします。
穏やかな環境を重視する人にオススメ
次に紹介するメリットは、穏やかな環境を重視する人にとってはオススメできる点です。
特例子会社は障害者社員が多い特徴から、高圧的な指導・物言いを良しとしない社風であることがほとんどです。たとえば一般企業だと、営業部署が近くにあると発破をかける声(たまに怒声)が聞こえてくるため、不快に感じてしまうというケースがあります。
特例子会社は特性に応じた業務割り振りをされているため、ピリついた雰囲気になりにくいという話はよく聞きます。もちろん人間同士なので、個人間でのいさかいはあると思いますが、相談できる企業担当者が存在しているため、大きなトラブルまでは発展しづらいです。
ピリピリした雰囲気が特に苦手意識を感じるという方にとってはオススメと言えるでしょう。
特例子会社のデメリット
次に特例子会社のデメリットを紹介していきます。
特例子会社のデメリットは実体験に沿って、以下の記事でも紹介してますので、ぜひご覧ください。
→【実体験】特例子会社の実態を解説!一般企業よりも障害に厳しくなるメカニズムをあばく!
障害者同士ゆえのトラブルが起きやすい
まずよく聞くデメリットとしては、同じ障害者同士特有のトラブルやいさかいが起きやすいです。
以下の画像をご覧ください。

業務上のやり取りで相手が体調をくずしてしまったり、誤解が生まれるのはよく聞かれるケースです。この画像の場合、Aさん、Bさんのどちらが悪いわけではありません。ただ、特例子会社である以上、ささいなやり取りが相手に影響を及ぼす可能性は否定できません。
その結果、自分自身が「障害者嫌いな障害者」になってしまうリスクもありえます。実際に特例子会社で働いていた方の中には、なるべく健常者が多い環境で働きたいという希望がある方もいました。
一般社員が常に現場に介入してトラブルを防止している企業もありますが、そういった場合はキャリアアップの仕組みが生まれづらい側面があります。どちらかが立てばどちらかが立たずの難しい問題ですね。
支援に融通が利かない場合がある
次のデメリットとしては、支援に融通が利かない場合があることです。特例子会社の中には、支援の枠組みをガッチリ決めすぎており、臨機応変な対応ができないケースがあります。
たとえば、障害者自身が支援機関への登録を望んでいないのに、「入社試験を受けるには支援機関に登録が必要」と促されて相談に来られる方がいます。こちらから理由を問うと「そういう決まりになっているから」と返答されることが多いです。
体調管理ボードにしても、自分の体調を知られたくないという方もいるので、一概に良いことばかりではありません。支援の枠組みを決めすぎた弊害として、障害者本人が望んでいない支援をもたらすリスクがあるということですね。
矛盾しているようですが、特例子会社なのに一般企業よりも支援に対しての柔軟性が失われている場合もあるので、実態はチェックしておきましょう。
スキルアップしにくい構造になっている
次のデメリットとしては、スキルアップしにくい構造になっていることです。
え?さっき特例子会社はキャリアアップしやすいって言ってたじゃん
それは会社内での役割の話ですね。これは仕事の内容・能力的な意味でのスキルアップをさします。
特例子会社は障害者が身体・精神的に無理なく仕事できるように、仕事の切り出しをされています。このこと自体は悪いことではありません。しかし、チームで仕事をすることも多いため、一人の仕事内容を調整すると周りに影響を及ぼす可能性も大きいです。
多くの特例子会社は周りへの余波を抑えながら仕事をしてもらいたいと考えているため、個別のスキルアップの要望に応えづらいというデメリットをはらんでいます。良くも悪くも、ぬるま湯になりがちです。
特例子会社からキャリアアップして一般企業にチャレンジしたいという方は、注意しておいた方が良いです。
給与は低水準からスタートする場合が多い

最後のデメリットとしては、給与が低水準からスタートすることが多い点です。
上の画像は野村総合研究所が2016年に特例子会社を対象にとったアンケートです。給与水準は、親会社と同様の基準を取ろうとしているのは5.5%にとどまっています。たいして、最低賃金を考慮して設定しているのは26.6%と開きがあります。
理由は明確で、親会社と同じ専門性を求められる業務内容ではないからです。先ほど述べた通り、スキルアップをしにくい構造になっているため、特例子会社のみの給与で健常者と同様の給与を目指そうとするとかなり無理があります。
参考として、年収が200万円までの範囲に収まる企業が全体の56.3%(野村総合研究所調べ)を占めています。
給与面の解決策としては、キャリアアップ可能な特例子会社内で長く働き続けるか、一般企業で働く選択肢があります。
一般企業での障害者雇用に関しては、以下の記事で特集しているので、参考にしてみてください。
→【当事者向け】障害者雇用はデメリットしかない!←メリットの方が多いです、断言します
また、最近は副業で稼ぎながら働くという手段もあります。クラウドソーシングサイトに登録して稼ぐやり方が一番手っ取り早いです。何もスキルがないという方は単価の低いWebライティングからはじめてみるのがオススメです。



特例子会社に向いている人、向かない人
それでは、今までの内容を踏まえて、特例子会社に向いている人と向かない人をまとめてみたいと思います。
特例子会社に向いている人
特例子会社に向いている人は以下の通りです。
- 一般企業よりも手厚い配慮が欲しい人
- 専門性の高い仕事は避けたい人
- 高圧的な雰囲気が苦手な人
なるべく環境を大事にしており、ワークライフバランスを重視したいという方にはオススメです。とはいえ、合う合わないは企業によっても異なりますので、極力、見学や実習の場をもうけてもらうようにしましょう。
特例子会社に向かない人
特例子会社に向かない人は以下の通りです。
- 仕事のスキルを高め続けていきたい人
- 高収入を望む人
- 障害者同士で働くことに抵抗がある人
スキルや給与などの面を重視して働きたいという人には、特例子会社はあまり向いていません。もちろんすべての会社に当てはまるわけではありません。少しでも興味があればハローワークの専門援助部門などで相談してみてくださいね。
→【2021年版】障害者雇用求人を探すならハローワークへ必ず登録しよう!誰も言わないメリット教えます
まとめ
- 特例子会社は障害者が中心に働く企業形態
- 配慮が手厚く、特性に応じた仕事内容を割り振ってもらえる
- スキルアップや高収入を望む人にはあまり向いていない
- 障害者同士の環境で働くことに自分が向いているかはよく検討する
いかがでしたでしょうか?
特例子会社には様々なメリット・デメリットがあります。働きかたの一つの選択肢としてぜひ参考にしてみてください。それではまた!
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